【アナリスト水田雅展の銘柄分析】アルファの16年8月期第1四半期はM&A効果も寄与、収益改善基調で指標面に割安感

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 アルファ<4760>(JQS)はPOP広告など店舗販促用品を企画・製作・販売する総合販売促進企業である。16年8月期第1四半期(9月~11月)の連結業績はM&A効果も寄与して、前年同期の非連結業績との比較で増収増益だった。通期も収益改善基調が予想される。株価は地合い悪化も影響して安値圏だが、3%台の予想配当利回りや0.5倍近辺の低PBRと指標面の割安感は強い。反発のタイミングだろう。

■POP広告やイベント関連用品などの総合販売促進企業

 スーパーや家電量販店などの小売業者や、食品・飲料メーカー向けなどに、POP広告やイベント関連商品など、消費関連市場におけるセールスプロモーション(販売促進)に係るさまざまな販促用品を企画・製作・販売する総合販売促進企業である。

 日本最大級の販促通販サイト「POP GALLERY」による自社企画製品の拡販、メーカー・小売のタイアップ企画である消費者向け販促キャンペーンの受注拡大、動画POPなどデジタルサイネージ(デジタル技術を活用した広告媒体)を組み込んだ新販促商品・サービスの企画・提案営業を強化している。五感を刺激して購買意欲を喚起させる新メニューとして、香りのプロモーションツール「かおるくん」も好調だ。

■中期成長に向けて「買い物コミュニケーション創造企業」を目指す

 中期的な収益力向上に向けては、ショッパー(買い物客)の購買行動やインサイト(深層心理)を捉えた「買い物コミュニケーション創造企業」を目指している。

 15年9月にはオーケー企画(東京都)完全子会社化した。16年8月期から連結対象となる。同社は全国のホームセンターやドラッグストアなどに向けて、販売促進用器具・備品全般を販売している。同社を子会社化することによって、当社では比較的手薄だった全国のホームセンターやドラッグストア向けの事業拡大が見込める。また海外仕入ルート一元化などで原価低減や利益率の向上などのシナジー効果も期待される。

■クリスマス・年末年始需要で上期の構成比が高い傾向

 15年8月期の非連結業績は、大口スポット案件の一巡や低採算取引の見直しなどで減収、営業減益、経常減益だった。純利益は特別利益に中国の関係会社の株式配当および売却益を計上して増益だった。売上総利益率は38.8%で同横ばい、販管費比率は36.7%で同0.2ポイント上昇、ROEは3.6%で同0.5ポイント上昇、自己資本比率は53.1%で同4.6ポイント上昇した。配当性向は45.8%だった。

 商品別の売上構成比は自社企画製品が15.8%、別注製品が54.9%、商品が29.3%、粗利益率は自社企画製品が58.9%、別注製品が36.4%、商品が32.4%、粗利益額構成比は自社企画製品が24.0%、別注製品が51.6%、商品が24.4%、業種別売上構成比は小売業41.3%、製造業23.3%、サービス業17.7%、卸売業13.2%、飲食業1.5%、その他3.0%だった。

 15年8月期の四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期(9月~11月)18億35百万円、第2四半期(12月~2月)15億78百万円、第3四半期(3月~5月)16億43百万円、第4四半期(6月~8月)13億87百万円で、営業利益は第1四半期1億03百万円、第2四半期92百万円、第3四半期17百万円、第4四半期75百万円の赤字だった。クリスマスや年末・年始商戦の需要などで上期(9月~2月)の構成比が高くなる傾向の収益構造だ。

■16年8月期第1四半期はM&A効果も寄与して増収増益

 1月14日に発表した今期(16年8月期、オーケー企画を完全子会社化して連結決算初年度)第1四半期(9月~11月)の連結業績は、売上高が20億28百万円となり、営業利益が1億19百万円、経常利益が1億17百万円、純利益が70百万円だった。

 今期から連結財務諸表を作成しているため単純比較はできないが、前年同期の非連結業績との比較で見ると売上高は10.5%増、営業利益は15.5%増、経常利益は13.6%増、純利益は9.4%増となった。M&A効果も寄与して増収増益だった。

 商品別売上高は、自社企画製品が2億94百万円(前年同期の非連結ベースは3億円)、別注製品が9億55百万円(同10億51百万円)、商品が7億78百万円(同4億83百万円)だった。自社企画製品ではオンラインショップを利用した受注が増加した。別注製品では採算性を重視した取引の選別を継続している。商品はイベント商品などが堅調で、新規連結のオーケー企画の売上が寄与した。

 なお売上総利益率は38.9%(前年同期の非連結ベースは39.9%)、販管費比率は33.0%(同34.2%)だった。オーケー企画に対するのれん償却が発生したが、別注製品を中心に売上総利益率は改善傾向としている。

■16年8月期通期も収益改善基調

 今期(16年8月期、オーケー企画を完全子会社化して連結決算初年度)の連結業績予想については、前回予想(10月14日公表)を据え置いて売上高が72億20百万円、営業利益が1億52百万円、経常利益が1億42百万円、純利益が60百万円としている。配当予想は前期と同額の年間5円(期末一括)としている。予想配当性向は67.0%となる。

 前期(15年8月期)非連結業績との比較で見ると、売上高は12.1%増、営業利益は11.0%増、経常利益は1.4%増、純利益は31.0%減となる。純利益は特別利益が一巡して減益だが、増収、営業増益、経常増益予想だ。売上総利益率は同0.1ポイント改善の38.9%、販管費比率は同0.3ポイント改善の35.3%と想定している。

 16年8月期は中期経営計画(14年8月期~16年8月期)で掲げた最終年度の目標数値(16年8月期売上高78億円、経常利益2億円、純利益1億円)を減額修正する形となったが、売上拡大に向けたBtoB向けノベルティ商品の拡販強化、販促キャンペーンの拡販強化、成長ドライバーとしての動画POPやデジタルPOPの拡販強化、自社企画製品Web受注システム「POP GALLERY」による拡販強化、そして連結子会社化したオーケー企画とのシナジー効果などで増収増益を目指すとしている。収益は改善基調だろう。

■株価は調整一巡して反発のタイミング

 株価の動きを見ると、地合い悪化も影響して水準を切り下げ、1月21日には13年4月以来の安値となる147円まで調整した。ただしその後は150円台を回復して調整一巡感を強めている。

 1月28日の終値152円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS7円46銭で算出)は20~21倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間5円で算出)は3.3%近辺、前期実績PBR(前期実績の非連結ベースのBPS313円14銭で算出)は0.5倍近辺である。時価総額は約14億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえ、170円~180円近辺のモミ合いから下放れた形だが、3%台の予想配当利回りや0.5倍近辺の低PBRと指標面の割安感は強い。反発のタイミングだろう。

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