【アナリスト水田雅展の銘柄分析】アールシーコアの16年3月期第3四半期累計は増収増益、4%近辺の高配当利回りも注目

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 アールシーコア<7837>(JQS)はログハウスのオリジナルブランド「BESS」の販売を展開している。1月28日発表の16年3月期第3四半期累計連結業績は増収増益だった。受注回復基調で通期利益予想に再増額余地があり、17年3月期も収益改善基調が期待される。株価は地合い悪化の影響で調整する場面があったが出直りの動きを強めている。4%台の高配当利回りも注目され、15年12月の昨年来高値を目指す展開だろう。

■ログハウスのオリジナルブランド「BESS」を販売

 自然材をふんだんに使った個性的な木の家であるログハウスのオリジナルブランド「BESS」の販売を国内直販部門、連結子会社BESSパートナーズ(BP)社、および国内販社で展開している。

 国内直販部門では東京・代官山「BESSスクエア」と神奈川県「BESS藤沢展示場」の直営展示場2拠点、およびタイムシェア別荘施設「フェザント山中湖」も運営している。

■中期経営計画で17年3月期ROE18%目標

 中期経営計画では、目標数値として17年3月期の契約棟数1600棟、売上高180億円、営業利益率8%、ROE18%を掲げている。

 重点戦略として「BESS」ブランドの深耕、強みであるログハウスを主軸に据えたマーケティング・商品戦略、商品の納期短縮・コスト削減・価格競争力向上、営業拠点と営業員の拡充、営業スキル向上と営業力強化に向けたBESS営業(ホームナビゲーター)資格制度導入、展示場50拠点展開などを推進している。

 15年3月期は営業拠点として香川県高松市、千葉県柏市、新潟県新潟市、静岡県吉田町の4拠点を新設して、15年3月期末の契約販社数は27社、営業拠点数は全国43拠点(直営2拠点、BP社2拠点、販社39拠点)となった。さらに埼玉県、京都府、長野県にも新拠点開設を予定している。中期経営計画目標の50拠点に向けて着実にネットワーク拡大が進展している。

 商品戦略強化では14年11月に新世代ログハウスとして新商品「G-LOG」を発売した。またΩ戦略室で法人向け等の事業開発に着手した。

 なおカントリーログハウスのキット部材を製造販売するカナダの連結子会社BFM社の株式をカナダAAA社に譲渡する件(14年11月発表、15年1月譲渡価格と譲渡日程の変更を発表、15年2月譲渡日程の変更を発表)については、カナダAAA社において本件に係る資金調達に支障をきたしているため、15年3月に譲渡を一旦中止すると発表した。

 ただしファブレス化で経営資源をマーケティングや商品開発に集中させる方針に変更はなく、今後は他の譲渡候補先も視野に入れてカナダAAA社との交渉も継続するとしている。

■契約(受注)高は回復傾向

 15年3月期の四半期別の推移を見ると、契約(受注)高は第1四半期(4月~6月)15億25百万円(前年同期比31.9%減)、第2四半期(7月~9月)30億47百万円(同26.2%減)、第3四半期(10月~12月)24億42百万円(同38.6%増)、第4四半期(1月~3月)34億75百万円(同2.0%減)だった。

 売上高は第1四半期28億11百万円、第2四半期32億75百万円、第3四半期29億16百万円、第4四半期29億39百万円、営業利益は第1四半期1億14百万円、第2四半2億23百万円、第3四半期1億95百万円、第4四半期1億45百万円だった。

 契約(受注)高は回復傾向を強めている。また15年3月期のROEは14年3月期比5.2ポイント低下して10.2%、自己資本比率は同2.8ポイント上昇して42.7%、配当性向は43.6%だった。

■16年3月期第3四半期累計は増収増益

 1月28日に発表した今期(16年3月期)第3四半期累計(4月~12月)の連結業績は、売上高が前年同期比2.7%増の92億47百万円となり、営業利益が同4.0%増の5億54百万円、経常利益が同横ばいの5億36百万円、そして純利益が同3.6%増の3億63百万円だった。契約(受注)高は同12.4%増の78億88百万円だった。

 高水準だった期首契約(受注)残高、および販社部門の順調な期中契約(受注)を背景に、ブランドロイヤリティ収入増加も寄与して増収となり、増収効果や販管費抑制効果などで営業増益だった。売上総利益率は32.7%で同0.3ポイント低下、販管費比率は26.7%で同0.4ポイント低下した。経常利益は、営業外費用でコミットメントライン契約更新手数料などの費用を計上したため同横ばいだった。純利益は税金費用の減少も寄与して増益だった。

 セグメント別(連結調整前)に見ると、直販部門は契約(受注)高が同7.3%増の23億30百万円、売上高が同6.1%増の26億82百万円と増加したが、人件費増加などで営業利益が同9.8%減の1億72百万円だった。販社部門は契約(受注)高が同19.3%増の45億61百万円、売上高が同5.1%増の59億22百万円、営業利益が同5.1%増の11億44百万円と順調だった。

 BP社は、契約(受注)高が同0.1%増の9億73百万円で、前期の受注不振も影響して売上高が同21.4%減の10億32百万円、営業利益が同92.4%減の3百万円だった。北米部門は売上高が同12.0%減の4億76百万円、営業利益が同4.6%増の15百万円だった。北米市場での小売販売を終了したため減収だが、日本市場向け売上で補い、販管費圧縮も寄与した。

 集客面の動向を見ると、全国BESS展示場への新規来場者数は前年同期並みだったが、強化ポイントとしている再来場者数は同4.7%増加した。展示場拠点は契約販社28社、営業拠点43(直営2、BP社2、販社39)となった。さらに16年春オープン予定1拠点、16年夏オープン予定2拠点、16年内オープン予定1拠点を含めると合計47拠点となる。

 最重要課題として取り組んでいる営業員の質・量の拡充については、販社を含むBESS事業全体の営業員数(成約稼働ベース=トレーニング実施済み)が143名となり、15年3月期末比3名増加した。営業員数は本部一括採用および販社合同募集によって量の拡大を推進する。また販社営業の定着率向上・早期戦力化に向けて、教育・研修の専門部署を立ち上げて体制整備を推進している。

 四半期別の推移を見ると、契約(受注)高は第1四半期(4月~6月)22億17百万円(前年同期比45.4%増)、第2四半期(7月~9月)35億10百万円(同15.2%増)、第3四半期(10月~12月)21億61百万円(同11.5%減)で、売上高は第1四半期28億59百万円、第2四半期34億93百万円、第3四半期28億95百万円、営業利益は第1四半期1億29百万円、第2四半期3億02百万円、第3四半期1億23百万円だった。

■16年3月期通期は営業減益予想だが、利益予想に再増額余地

 今期(16年3月期)通期の連結業績予想については、前回予想(10月13日に売上高を減額、利益を増額修正)を据え置いて、売上高が前期比8.9%増の130億円だが、営業利益が同4.0%減の6億50百万円、経常利益が同7.6%減の6億30百万円、そして純利益が同10.0%減の3億80百万円の増収減益予想としている。

 契約(受注)棟数は同32.3%増の1200棟、売上総利益率は同0.6ポイント上昇の33.9%、販管費比率は同1.3ポイント上昇の28.9%の計画としている。

 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は、売上高が71.1%、営業利益が85.2%、経常利益が85.1%、純利益が95.5%で、利益進捗率が高水準である。中期成長に向けた諸施策への費用投下を積極的に行うため減益予想だが、営業強化策も奏功して受注が回復傾向を強め、売上総利益率も改善が期待される。通期利益の会社予想に再増額余地があるだろう。さらに受注が回復基調で来期(17年3月期)も収益改善基調が期待される。

■株主還元はDOEを重視、株主優待は3月末と9月末に実施

 今期(16年3月期)の配当予想(5月14日公表)は前期比3円増配の年間45円(第2四半期末22円、期末23円)で予想配当性向は52.5%となる。利益配分についての基本方針は、DOE(純資産配当率)を重視した長期的視点での安定的配当を実施するとしている。15年3月期のDOEは4.5%で、16年3月期のDOEは4.7%となる見込みだ。

 株主優待については15年3月に優待内容の改訂を発表した。毎年3月末・9月末時点で100株以上保有株主に対して、保有株数に応じて「BESS指定工事請負契約にかかる優待割引」「フェザント山中湖タイムシェア・別荘オーナー制度・メンバー制度の優待割引」「フェザント山中湖宿泊利用割引・サービス利用割引」「BESSオリジナル外部用防腐スプレー販売割引」などの優待券を贈呈する。15年3月末から適用した。

■株価は調整一巡して出直り、15年12月の昨年来高値目指す

 株価の動きを見ると、地合い悪化の影響で1月26日に990円まで調整する場面があったが、調整が一巡して出直りの動きを強めている。2月1日には1097円まで上伸した。

 2月1日の終値1086円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS85円70銭で算出)は12~13倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間45円で算出)は4.2%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS964円78銭で算出)は1.1倍近辺である。時価総額は約48億円である。

 週足チャートで見ると、26週移動平均線を割り込む場面があったが、長い下ヒゲをつけて反発し、13週移動平均線も回復した。調整が一巡して強基調に回帰した形だ。4%台の高配当利回りも注目され、15年12月の昨年来高値1167円を目指す展開だろう。

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