【編集長の視点】ベル24HDは続落も3Qの主力事業堅調推移を手掛かりに内需系直近IPO株買いが再燃余地

編集長の視点

 ベルシステム24ホールディングス<6183>(東1)は、19円安の1174円と続落して始まっている。きょう4日の日経平均株価が、前日の米国市場での急速な円高・ドル安の進行が響き、218円安と3日続落しフシ目の1万7000円台を割ってスタートしていることから、同社株にも目先の利益を確定する売り物が続いている。ただ同社が今年1月8日に発表した今2月期第3四半期(3Q)決算で、主力のCRM他事業が堅調に推移していることを見直し下げ過ぎとして下値に内需系直近IPO(新規株式公開)株買いも交錯しており、寄り付きの安値からはやや下げ渋る動きもみせている。国内証券が新規に最上位の投資判断でカバレッジを開始したことや、来2017年2月期業績が増益転換と観測されていることもサポート材料視されている。

■伊藤忠グループと連携し3QのCRM継続業務は前年同期比9.7%増

 同社の3Q業績は、前年同期比9.6%減収、54.9%営業減益、53.3%税引前減益、46.2%減益となった。2004年8月にソフトバンクグループ<9984>(東1)との包括的業務提携の一環で全株式を取得した旧BBコール(現ベルシステム24)の業務で、通常より割高で受託していたコールセンター業務を他社並みの通常価格並みに引き下げたことが要因となった。ただこれ以外のCMR(データセンター)事業の既存業務と新規業務合計の継続業務の売り上げは、511億9800万円と前年同期より9.7%増となった。2014年10月に資本提携した伊藤忠商事<8001>(東1)グループとの協業により3Q累計で新規業務30件を受託し、昨年6月以降には総務省や金融機関向けなどにマイナンバー業務を開始したことなどが寄与した。

 今2月通期業績は、昨年11月のIPO時の予想に変更はなく、売り上げ1033億6900万円(前期比7.8%増)、税引前利益81億7000万円(同50.1%減)、純利益50億2400万円(同49.1%減)と見込んでいる。ただ昨年9月にリコールなどに即座に対応する「緊急コールセンターパッケージ」の提供を開始し、同11月に伊藤忠テクノソリューションズ<4739>(東1)などと連携して音声認識ソリューションを搭載したクラウドプラットフォーム「BellCloud VC」を発表、さらに今期第4四半期には電力小売自由化関連業務の積極的な受注活動を進めることなどから、業績上ぶれ期待も続いている。国内証券では、この伊藤忠グループのシナジー効果を評価して投資判断を新規に「オーバーウエート」とし目標株価を1700円とした。また、東洋経済会社四季報最近号は、来2017年2月期業績が増益転換、純利益を67億円と観測している。

■大発会安値でダメ押しをしてPER16倍台の割り負け修正に再発進

 株価は、公開価格1555円で約10年ぶりに直接、東証第1部に再上場され、資金吸収額が581億円超と大規模で、今期業績の減益転換が予想されていることが響いて1478円で初値をつけ、その後も、公開価格や初値を下回る下値固めが続いて上場来安値1119円へ突っ込み、今年の大発会につけた1122円でダメ押しをして底上げ機運を強めている。PERは、16倍台と既上場の類似データセンター株に比較して相対的に出遅れており、下値買いからIPO株の投資セオリー通りに「小さく産んで大きく育てる」展開が有望となる。(本紙編集長・浅妻昭治)

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