【アナリスト水田雅展の銘柄分析】神鋼商事は調整一巡して切り返し、今期大幅増益見通しを評価して14年9月高値試す

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 鉄鋼・非鉄金属関連商社の神鋼商事<8075>(東1)の株価は、11月の戻り高値284円から反落したが、12月16日の直近安値253円から切り返しの動きを強めている。調整が一巡したようだ。今期(15年3月期)大幅増益見通し、そして低PERや低PBRといった指標面の割安感を評価して14年9月高値285円を試す展開だろう。

 鉄鋼製品、鉄鋼原料、非鉄金属、機械・情報、溶接材料・機器などを扱う商社である。13年6月発表の中期経営計画(14年3月期~16年3月期)では、神戸製鋼所<5406>グループの中核となるグローバル商社を目指し、数値目標として16年3月期売上高1兆円、経常利益90億円、海外取引比率40%以上を掲げている。14年7月には筒中金属産業が新設分割で設立した国内卸売事業会社の株式70%を取得して子会社化した。

 また14年9月には、メキシコにおける線材二次加工拠点となる合弁会社を設立(出資比率は当社40%、メタルワン25%、神戸製鋼所10%、大阪精工10%、メキシコGrupo Simec10%、米O&k American5%)した。15年末稼働予定である。メキシコは世界の自動車・自動車部品メーカーの相次ぐ進出で自動車関連産業の成長が期待されており、自動車用ファスナーや冷間鍛造部品などの素材となる冷間圧造用鋼線を製造する。

 今期(15年3月期)の連結業績見通し(4月28日公表)は売上高が前期比11.8%増の9400億円、営業利益が同22.0%増の70億円、経常利益が同20.3%増の64億円、純利益が同26.6%増の40億円、配当予想が前期と同額の年間6円(第2四半期末3円、期末3円)としている。

 世界的に自動車生産が高水準であることに加えて、エレクトロニクス産業の生産回復や国内の建設需要拡大なども追い風となり、鉄鋼セグメントや非鉄金属セグメントを中心として好調に推移する。前期は大型案件一巡の影響を受けた機械・情報セグメントも、製鉄関連資機材、太陽電池関連資材、液晶用電子材料などが増加する見通しだ。

 第2四半期累計(4月~9月)は前年同期比3.5%増収、同22.1%営業増益、同35.3%経常増益、同97.3%最終増益となり、通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が45.4%、営業利益が43.5%、経常利益が46.8%、純利益が49.6%と概ね順調な水準である。

 設備投資関連は第4四半期(1月~3月)の構成比が高いことや、ドル高・円安が進行していることなどを考慮すれば通期増額の可能性があるだろう。グローバル展開の強化で中期的にも収益拡大基調が期待される。

 株価の動きを見ると、11月5日の戻り高値284円から一旦反落したが、12月16日の直近安値253円から切り返しの動きを強めている。調整が一巡して今期大幅増益見通しを再評価する動きだろう。

 1月6日の終値265円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS45円17銭で算出)は5~6倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間6円で算出)は2.3%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS399円53銭で算出)は0.7倍近辺である。

 週足チャートで見ると、26週移動平均線近辺で下ヒゲを付けて反発した。サポートラインを確認した形であり、強基調に変化はないだろう。今期業績見通し増額の可能性、さらに低PERや低PBRといった指標面の割安感を評価して14年9月高値285円を試す展開だろう。

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