貿易赤字で輸出比率高い銘柄避ける展開が強まりそうだ、短期売買も難しい相場=犬丸正寛の相場展望

犬丸正寛

 日々の売買で生計を立てている知人に最近の相場について聞いたところ、短期売買も稼ぎ難くなっているという。某氏がいうには、「その日に買ってその日に売るのが基本だが、最近は、安い値段でうまく買えたとしても、たとえばトイレに行くなどちょっと目をはなしたら大きく下げている。最近の相場に持続力がなくなっている。短期売買は非常に難しくなっている」と話してくれた。

 ましてや、3カ月~6カ月の中期投資では、短期売買以上に難しくなっているようだ。3カ月前、6カ月前の株価に比べると値下がりしているケースが目立つ。いわゆる安値更新型の流れとなっている。

 そうした中でNYダウは昨年8月、9月、今年1月、そして2月と、いずれも1万5500ドル前後が下値となっていることが下値に対する安心感となっている。一方、日経平均は昨年夏安値、今年1月安値を下回り2月12日には1万4865円(場中値)と2014年10月以来の1万5000円割れに沈んでいる。

 こうした日米株価の違いは、景気(GDP)の強弱の差ということだろう。金利引き上げが可能なほど堅調な米国景気に対し、日本のGDPはマイナス(10~12月)転落、さらに、今年1月の貿易赤字で続く1~3月のGDPにも黄色信号が点滅している。外国人投資家が日本株を売り越しているのも当然とだろう。

 日銀はマイナス金利でバブル型形勢によって景気の上向きを狙っているが、果たして、どこまで景気が熱くなるか。この点が中期的な相場の視点となりそうだ。

 ただ、先の日経平均1万5000円割れではPERが12倍台となるなど底打ちしているとみられる。中期的相場強気の目安となる26週線(1万8253円)を上抜いて上値を伸ばすことができるかどうかは疑問だが、少なくとも、今年5月頃のGDPと決算発表までは1万5000~1万8000円の往来相場のようにみられる。このモミ合いにおいて2017年3月期を織込み、5月の発表では決算悪出尽くしにもっていけるかどうかがポイントとなりそうだ。いずれにしても、貿易赤字発表から輸出関連株を避ける展開は予想されそうだ。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

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