【株式評論家の視点】加賀電子の今3月期営業利益13.2%増益、年55円(期末35円)配当、PBR0.54倍

株式評論家の視点

 加賀電子<8154>(東1)は、1968年の創業以来、エレクトロニクスの独立系総合商社として、時代とともに変わる顧客のニーズに合わせて、事業分野を拡大している。そして現在では、電子部品・半導体ビジネス、EMSビジネス、情報機器ビジネス、ニュービジネスの4つの事業を通じて、顧客の声に応えている。同社事業部門およびグループ各社の横串・連携機能の役割を担うべくGr経営本部を設置し、既存大手顧客への拡販や海外ビジネスの拡大および費用削減に注力している。

 電子部品・半導体ビジネスでは、国内をはじめ、アメリカ、ヨーロッパ、アジアに広がるグループ会社と連携し、世界各地に50社を超えるネットワークを展開している。そのグループ力を生かし、専門の技術チームのもと、世界最高水準の部品を顧客へ提供している。

 EMSビジネスでは、アジアやヨーロッパに展開する生産工場を活用し、顧客の希望に合わせた地域で生産できる体制を整えている。製品の設計開発をはじめ、多品種・小ロット生産、半完成品から完成品まで柔軟に対応できるトータルサポート体制を実現しているほか、アメリカ、ヨーロッパ、アジア各国など数々の仕入先から、お客様に最適な使用部材の代替提案をすることも可能にしている。

 情報機器ビジネスでは、世界の有名ブランドPCや周辺機器などを、国内の家電量販店や写真専門店、コンビニエンスストアなどへ届ける独自の流通チャネルを活用し、確かでスムーズな販売代理店業務を行っている。また、企業や官公庁向けにLANシステムの構築や、情報セキュリティシステムなどの提案も行い、ネットワークソリューション分野におけるワンストップサービスを実現してる。

 ニュービジネスでは、アミューズメント業界と密接な関係を持つ同社では、エンターテインメントの世界を広げるソフトやアミューズメント機器を提供している。顧客の要望に即したOEMによる機器開発なども可能にしている。ソフト面においては、CM・映画・アニメーション番組や、高度なCG技術を用いたオリジナルコンテンツの制作も行っている。

 今2016年3月期・第3四半期業績実績は、売上高が1822億0500万円(前年同期比2.9%減)、営業利益が61億4500万円(同23.0%増)、経常利益が64億4200万円(同7.0%増)、純利益が43億7200万円(同18.4%増)に着地。

 通期業績予想は、売上高が2520億円(前期比1.2%減)、営業利益が72億円(同13.2%増)、経常利益が77億円(同0.5%増)、純利益が50億円(同13.2%増)を見込んでいる。年間配当は55円(第2四半期末20円、期末35円)を予定している。

 株価は、昨年11月19日につけた昨年来の高値1963円から2月12日に昨年来の安値1209円まで調整。その後、モミ合っている。同社は、国内外2,000社を超える仕入先と、4,000社(7,000口座)を超えるお客様と直接取引きをしている。取り扱い商材に制限がないという独立系のアドバンテージを活かし、数多くの仕入先と全世界に広がるネットワークで、顧客が望む電子部品をさまざまな産業領域に提供しているが、昨年11月18日に16年ソニー系のUKCホールディングスと経営統合を目指すことで基本合意したと発表。UKCHDを株式交換完全親会社、加賀電子を株式交換完全子会社とする株式交換を行う予定だが、株式交換比率は今後、両社協議の上、経営統合に係る最終契約締結(16年5月までを予定)までに決定する方針。顧客ニーズ対応力の強化グローバル戦略の加速、業務効率化によるコスト削減、強固な経営基盤の確立し、国内業界トップクラスの規模・質を確立することへの期待は膨らむ。1200円どころの下値圏に届き値ごろ感が出ているほか、PBR0.54倍と割負け、配当利回り4.2%と利回り妙味が増す。3月期末に向けて水準訂正高も期待されることから、押し目は注目したい。(株式評論家・信濃川)

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