インフォマートの15年12月期は「ASP受発注システム」等の順調な利用拡大により最高益更新を達成

■業界、国の垣根を超え、グローバルなBtoBプラットフォーム企業を目指す

 インフォマート<2492>(東1)の15年12月期は、主力の「ASP受発注システム」等の順調な利用拡大により増収増益と最高益更新を達成した。

 15年12月期連結業績は、売上高56億32百万円(前年同期比13.1%増)、営業利益20億94百万円(同7.7%増)、経常利益20億40百万円(同4.0%増)、純利益13億08百万円(同11.1%増)であった。

 主力のASP受発注事業の業績は、売上高33億57百万円(同14.0%増)、営業利益17億34百万円(同17.6%増)と2ケタの増収増益。

 ASP規格書事業は、売上高9億59百万円(同29.3%増)、営業利益3億28百万円(同47.9%増)と大幅増収増益。

 ES事業は、売上高12億21百万円 (同1.7%増)、営業利益53百万円(同83.5%減)と大幅減益となった。

 15年12月期は増収増益であったが、当初の計画を下回った。要因の一つとしては、ES事業において「BtoB電子請求書プラットフォーム」の稼働を優先したため、新規契約からのセットアップ費用等の売上が計画未達となったことが挙げられる。

■ASPからプラットフォームへ移行、商品ブランド名、事業セグメント名も変更

 2月15日に15年12月期決算説明会が行われ、「2016年―2018年12月期中期経営計画」についても説明が行われた。中でも、ASPからプラットフォームへ移行することにより、商品ブランド名、事業セグメント名も16年12月期より変わる。

 商品ブランド名については、ASP受発注システムを「BtoBプラットフォーム 受発注」、ASP規格書システムを「BtoBプラットフォーム 規格書」、BtoB請求書プラットフォームを「BtoBプラットフォーム 請求書」、ASP商談システムを「BtoBプラットフォーム 商談」と変更する。

 それに伴い、事業セグメント名もASP受発注事業(ASP受発注システム)を受発注事業(BtoBプラットフォーム 受発注)、ASP規格書事業(ASP規格書システム)を規格書事業(BtoBプラットフォーム規格 書)、ES事業(BtoB電子請求書プラットフォーム)(ASP商談システム)をES事業(BtoBプラットフォーム 請求書)(BtoBプラットフォーム 商談)に変更する。但し、その他(海外・メディア事業)はそのまま。

 社数表記等も変更する。業界については、これまでフード業界中心としていたが、今後はすべての業界とする。社数については、有料利用者数を掲載していたが、16年以降は無料利用を含む社数とする。流通金額は、フード業界の受発注金額としていたが、今後は全ての業界の受発注金額と請求書金額とする。

■18年度までに利用企業数を5万社に、システム取引高を2兆円へ拡大

 インフォマートが目指す姿として、「BtoBプラットフォーム」で、取引関係のある企業と企業を、社内を、ビジネスパーソンをつないで結び、会社経営、ビジネススタイルを大きく変えるシステムを提供する。
 そして、企業や人が中心となり自然に業界の垣根を超え、国の垣根を超え、世界に広げるシステム、事業を構築し、グローバルなBtoBプラットフォーム企業を目指すとしている。

 具体的な数値目標として、フード業界の徹底的なシェア拡大により、18年度までに利用企業数を3万9000社(15年度)から5万社に、システム取引高を1.2兆円(同)から2兆円へ拡大することを目指す。
 また、電子請求プラットフォームのデファクト化により、18年度までに利用企業数4万8000社(同)から100万社に、システム取引高を1,261億円(同)から3兆円へと大きく伸ばす。
 この様に、BtoB電子商取引プラットフォームの構築により、18年度までに全業界対応する体制となることを目指す。

 今期16年12月期連結業績予想は、売上高66億49百万円(前期比18.1%増)、営業利益22億92百万円(同9.4%増)、経常利益22億89百万円(同12.2%増)、純利益14億81百万円(同13.2%増)を見込でいる。

 当社代表取締役社長村上勝照氏は、ASP型とプラットフォームの違いについて、「ASP型でお客様にご契約いただくと、お客様の取引先リストを当社に出していただきます。そこで、お客様の取引先をつないで、準備が整ったら、説明会などを開いたうえで、使用を開始していただくことになります。ある程度私共がシステムを作ったうえで、スタートするのがASP型の仕組みといえます。
 一方、プラットフォーム型というのは、お客様自身が、勝手にシステムを使えるような仕組みになっています。今までは、お客様は取引先リストを我々に提出しないとシステムを使いませんでした。現在は、登録するとすぐに取引先に無料のIDを配って、次の日から使えるようになります。今まで、我々で行っていた作業を、システム上に加味しています。元々、これを目指してシステム投資を行ってきています。」とASP型とプラットフォームの違いを説明した。

 従って、プラットフォーム型で取引ができるような仕組みを構築したことから、従来のASPで行っていた作業、説明会等が無くなり、代わりに、顧客に無料のIDを配るだけで取引が開始することから、効率的であることに加え、新規顧客開拓のスピードが加速するものと思われる。

 BtoBプラットフォームのシステム構築が完成したことで、フード業界のみならず、全業界へと当社の取引が広がるため、今後の業績の急拡大が期待できる。

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