【編集長の視点】はてなはもみ合いもUGCサービスの成長可能性の再評価が根強く下値買いが交錯

編集長の視点

 はてな<3930>(東マ)は、112円安の2208円と4日続落して始まり、今年3月1日につけた2291円を下抜き上場来安値を更新したが、同安値からは14円高と切り返す場面がありもみ合いを続けている。同社株は、今年2月24日に今年2016年の新規株式公開(IPO)市場の第1号として公開価格800円でIPOされ、3025円で初値をつけ上場来高値3355円まで買い進まれる高人気となり、セカンダリーでは地相場模索となっているものだが、下値には改めて同社が、パイオニアとして展開しているUGC(ユーザー発信コンテンツ)サービスの成長可能性を再評価する買い物も続き、直近IPO株買いも交錯している。

■日米のネット広告市場ではコンテンツマーケティング手法の注目度がアップ

 同社は、2001年にネット上で他のユーザーに簡単に質問したりアンケートを実施できる人力検索サイト「はてな」を立ち上げ、2005年にはユーザー同士がネット上のお薦め記事を共有するサイト「はてなブックマーク」のサービスを開始するなど、ユーザー自身がコンテンツを発信するさまざまなUGCサービスを次々に開発し、とくネットのハイエンドユーザーを中心に支持されてきた。同社のウェブサイトを1カ月間に訪問した月間ユニークユーザー数は、昨年7月に5400万人と前年同月比54%増となるなど利用者が増加し、登録ユーザー数も、同12%増の450万人に達した。

 日米のインターネット広告市場では、独自のコンテンツが消費者にアピールするコンテンツマーケティング手法に注目が集まっており、同社の同サービスサイト「はてなブログMedia」の案件数が、前期比54%増と伸びてシステム利用料、コンテンツ作成支援料が増加、コンテンツプラットフォームサービスのアフリエイト広告と、今期末に506万人と見込んでいる登録ユーザーの有料オプション購入の課金も好調に推移している。このため今7月期業績は、売り上げ14億8000万円(前期比35.3%増)、営業利益1億8700万円(同8.6%増)、経常利益1億6600万円(同1.0%増)、純利益1億500万円(同91.7%増)と予想している。

■3.7倍の初値高倍率をテコに直近IPO株買いに弾みをつけリバウンド幅拡大

 株価は、IPO初日は買い気配値を切り上げたまま推移し、2日目に公開価格の3.78倍となる3025円で初値をつけて上場来高値3355円と買い進まれて2700円と下ぶれ、3日は前日終値に対してストップ高となる3200円までリバウンドしたが、定石通りにセカンダリーで地相場を探る動きも続いて上場来安値2208円と突っ込んだ。調整4日目に入り直近IPO株買いの再燃は有力で、一段の戻りを試そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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