【アナリスト水田雅展の銘柄分析】メディアフラッグは着実に下値切り上げ、15年12月期の増収増益期待で出直り

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 店舗巡回・覆面調査のメディアフラッグ<6067>(東マ)の株価は、期末の配当権利落ちも影響してやや水準を切り下げたが、10月~11月安値圏500円近辺まで下押すことなく、概ね530円近辺で推移している。着実に下値を切り上げており、今期(15年12月期)の増収増益期待で出直り展開だろう。

 店舗・店頭に特化して流通・飲食チェーンや消費財・食品メーカーなどのフィールドマーケティングを支援する企業だ。リアルショップサポート(店舗巡回)で消費財・食品メーカーなどの店頭販売を支援する営業支援事業、リアルショップリサーチ(覆面調査)で流通・飲食チェーンなどの店舗活性化を支援する流通支援事業を主力として、店舗・店頭状況をデータベース化する独自ソフトウェアのASP事業、コンビニエンスストアなどを運営するストア事業、子会社化した十勝たちばなの和菓子製造販売事業などを展開している。

 これまでに巡回調査を行った企業は約500社、延べ60万店舗以上という実績を誇り、覆面調査などに携わるメディアクルーの登録数は14年6月時点で全国19万人を突破している。また北海道から沖縄の離島まで登録ネットワークがあり、日本全国の流通店舗の巡回調査を可能としている。

 4年以内に売上高100億円という目標達成に向けて、M&Aも活用しながら小売・飲食店舗の受託運営事業、流通・小売企業に特化した再生事業、ASEANを中心とした海外事業の拡大戦略も積極推進している。

 13年8月には関西でセールスプロモーション人材サービス事業を展開するキャビックを子会社化し、13年9月にはスポーツ関連のフィールドマーケティング強化に向けて子会社K9を設立した。13年10月には和菓子製造販売の十勝とその子会社たちばなを子会社化(14年6月十勝がたちばなを吸収合併して十勝たちばな)した。

 また13年11月事業再生コンサルティングの子会社O&Hを設立、14年6月推奨販売事業の取引先であるジェイフロンティアの第三者割当増資を引き受けた。14年7月には小型デジタルサイネージ市場NO.1企業であるシアーズを子会社化した。

 なお14年11月に連結子会社3社の商号変更を発表した。メディアフラッグ沖縄をMEDIAFLAG沖縄、シアーズをimpactTV、キャビックをcabicに変更する。

 海外は、インドネシアおよびインドで大手流通チェーンからコンビニエンスストアの店舗改善コンサルティング案件などを受注し、中国ではメディアフラッグ上海が営業活動を強化している。

 12月18日にはキャビックが「SP WORK NET」フランチャイズ加盟店を京都府福知山市に開業したと発表している。SP(セールスプロモーション)に特化して開発した業務システムをベースとして、事業運営のための各種ノウハウをパッケージ化した「SP WORK NET」の全国ネットワーク構築を推進する方針だ。

 前期(14年12月期)の連結業績見通し(8月11日に売上高を増額、利益を減額修正)については、売上高が前々期比92.1%増の66億円、営業利益が同1.1%増の2億50百万円、経常利益が同10.7%減の2億20百万円、純利益が同18.4%減の1億10百万円としている。なお「未定」としていた配当予想については、12月15日に年間3円(期末一括)と発表した。前々期との比較では2円減配となる。

 第3四半期累計(1月~9月)は前年同期比2.1倍増収、同8.2%営業増益、同9.4%経常減益、同50.0%最終減益だった。営業支援事業ではリアルショップサポートや推奨販売サービスの新規案件が増加し、流通支援事業では地方銀行や高速道路サービスエリアでのリアルショップリサーチが順調に推移した。小型電子POP開発・販売のシアーズ(現impactTV)の新規連結も寄与して大幅増収、営業増益だった。

 通期ベースではフットサルコートなどを運営するK9、事業再生途上で新規ブランド立ち上げに伴う出店費用が先行する十勝たちばなの収益が想定を下回るため利益を減額修正したが、売上面では営業支援事業と流通支援事業の稼働店舗数が増加基調である。

 14年11月の月次実績はリアルショップリサーチが前年同月比10.0%減の1万190店舗、リアルショップサポートが同2.1倍の4万1849店舗、合計が同64.3%増の5万2039店舗だった。リアルショップサポートでは定期稼働案件が順調に増加している。また14年1月~11月累計の総稼働店舗数は33万342店舗となり、13年合計の25万2123店舗を大幅に上回っている。

 主要株主である博報堂DYホールディングス<2433>など大手広告代理店経由の新規受注が増加基調であり、アベノミクス重点戦略「地方創生」も追い風となりそうだ。今期(15年12月期)は連結子会社の収益改善や海外事業の収益化も寄与して増収増益が期待されるだろう。

 株価の動き(14年12月30日付で貸借銘柄)を見ると、12月期末の配当権利落ちも影響してやや水準を切り下げたが、10月~11月安値圏500円近辺まで下押すことなく、概ね530円近辺で推移している。

 1月7日の終値530円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS24円03銭で算出)は22倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間3円で算出)は0.6%近辺、前々期実績PBR(前々期実績の連結BPS206円97銭で算出)は2.6倍近辺である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んだが、前期利益見通し減額修正を嫌気した8月の安値473円をボトムとして、9月493円、10月500円、11月503円、12月525円と着実に下値を切り上げている。今期の増収増益期待で出直り展開だろう。

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