【アナリスト水田雅展の銘柄分析】第一実業は戻り高値圏で堅調、今期増収増益見通しを評価して14年9月高値試す

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 機械専門商社の第一実業<8059>(東1)の株価は、戻り高値圏580円~620円近辺で堅調に推移している。今期(15年3月期)増収増益見通しや低PERを評価して14年9月高値623円を試す展開だろう。

 機械の専門商社で、プラント・エネルギー事業、エレクトロニクス事業、産業機械事業、その他事業を展開し、海外は米州、中国、東南アジア・インド、欧州の世界18カ国36拠点で事業展開している。

 13年5月発表の新経営計画「AIM2015」では、最終年度16年3月期の売上高1550億円、営業利益57億円、経常利益59億円、純利益37億円を目標値として掲げている。グローバルビジネスを積極展開する方針だ。

 新規事業としては、植物工場システムの販売に関するプロジェクトを立ち上げて、埼玉県入間市にパイロットプラントを建設した。また14年3月には長野県飯田市でメガソーラー「第一実業飯田太陽光発電所」が竣工した。茨城県笠間市の太陽光発電所に続く2カ所目のメガソーラーだ。

 バイナリー発電装置ビジネスに関しては焼却プラント6基、温泉地熱プラント5基が稼動している。14年4月に米アクセスエナジー社のバイナリー発電装置の日本国内での独占的製造権を取得し、14年5月に地熱・温泉業界向け小型バイナリー発電装置の独占販売代理店契約を締結した。地熱、温泉熱、焼却廃熱、一般工場廃熱など、未利用熱エネルギーを有効活用して発電するバイナリー発電システムの拡大を目指す戦略で、15年4月までに国内での製造を開始する予定だ。

 なお1月14日~16日開催の「第7回国際カーエレクトロニクス技術展」および「第44回インターネプコン・ジャパン」には、機器メーカーと共同で検査装置などを出展する。

 今期(15年3月期)の連結業績見通しは前回予想(5月9日公表)を据え置いて売上高が前期比14.7%増の1400億円、営業利益が同22.7%増の50億円、経常利益が同16.2%増の52億円、純利益が同30.1%増の32億円としている。

 セグメント別売上高の計画はプラント・エネルギー事業が同20.0%増の340億円、エレクトロニクス事業が同18.7%増の360億円、産業機械事業が同4.1%増の380億円、海外法人が同18.4%増の290億円、その他が同24.7%増の30億円としている。

 なお配当予想は年間16円(第2四半期末8円、期末8円)としている。前期の年間18円との比較で見れば2円減配の形だが、前期に実施した創立65周年記念配当3円を落としているため、普通配当ベースで見れば実質的に1円増配となる。

 第2四半期累計(4月~9月)は前年同期比17.6%増収、同10.6%営業減益、同5.6%経常減益、同18.0%最終増益だった。プラント・エネルギー事業の粗利益率低下、販管費の増加などで営業減益だったが、エレクトロニクス事業での中国・ベトナム向け電子部品実装機、産業機械事業の自動車向け設備需要などが好調であり、プラント・エネルギー事業や海外法人での大口案件も寄与して大幅増収だった。純利益は税金費用の減少が寄与した。

 通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が52.4%、営業利益が34.5%、経常利益が38.1%、純利益が40.8%である。利益進捗率が低水準の形だが、設備投資関連は第4四半期(1月~3月)の構成比が高い収益構造であることを考慮すれば概ね順調な水準と言えるだろう。

 第2四半期累計の受注高は前年同期比11.5%増の728億15百万円と好調に推移した。そして通期の受注高については前回予想から70億円増額して同19.7%増の1520億円としている。自動車関連業界の設備投資需要が国内外で高水準であり、メキシコでの自動車関連ビジネスも増加基調だ。電子部品実装関連などの需要も回復して通期ベースで好業績が期待される。

 株価の動きを見ると、10月中旬~11月中旬の直近安値圏520円近辺から切り返し、12月以降は戻り高値圏580円~620円近辺で堅調に推移している。好業績見通しを評価する動きだろう。

 1月7日の終値588円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS60円19銭で算出)は9~10倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間16円で算出)は2.7%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS586円85銭で算出)は1.0倍近辺である。

 週足チャートで見ると、26週移動平均線がサポートラインとなって下値を切り上げ、13週移動平均線も突破して強基調の形だ。予想PERに割安感があり、今期増収増益見通しを評価して14年9月高値623円を試す展開だろう。

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