【編集長の視点】UMCエレはもみ合いも好配当利回り買いに割安直近IPO株買いが相乗し底上げトレンドは不変

編集長の視点

 ユー・エムー・シー・エレクトロニクス<UMCエレ、6615>(東1)は、3円高の2200円と反発して始まったあと、26円安と下ぶれるなど前日終値を挟んでもみ合っている。ただ、今年3月18日につけた上場来安値2001円からの底上げには変わりはない。同社株は、今年3月15日に公開価格3000円で東証第1部に新規株式公開(IPO)され、2480円で初値をつけ2554円と上ぶれたものの、上場来安値まで調整したが、3月18日に今期配当を44.6円と発表したことで急反発、来週3月28日に今3月期の権利付き最終日が迫っていることから、下値には好配当利回り買いが続いている。また株価水準自体も割安として、直近IPO株買いも相乗している。

■車載向け新基板の量産を開始し中国撤退企業から肩代わりビジネスも成約

 同社のIPO後の初決算となる今3月期の配当は、同社が、株主に対する利益還元を経営上の重要課題として認識し、配当実施を予定しているとしたが、具体的な配当金については未定と予想していた。それを18日に44.6円として実施すると発表したもので、前2015年3月期は、300円と実施しており、昨年10月1日付けで実施した株式分割(1対20)を勘案すると15円となり、実質で29.6円の大幅増配となる。

 この配当実施の前提となる今3月期業績も、堅調推移が予想されている。具体的には売り上げ1152億6300万円(前期比1.5%増)、営業利益23億1300万円(同13.2%増)、経常利益22億8800万円(同8.4%減)、純利益18億3600万円(同18.4%増)と見込まれている。同社は、電子回路基板の実装や加工組立製造・開発を国内外の有力メーカーから受託するEMS(受託製造サービス)メーカーで、同EMS業界は、中国経済の減速やスマートフォンの伸び悩みなどの逆風が吹いたが、同社は、スマホ部品より車載機器や産業機器向けのウエートが高く、売り上げの5割近くを占め、中国撤退を検討する顧客先には事業肩代わりを提案し、大手日系企業向けに肩代わりビジネスを成約、以前から準備していた車載向けの動力系制御基板の量産を開始したことなどが要因となる。

■TOPIX算入に伴う好需給思惑も加わりPER7倍台の割安修正に拍車

 株価は、上場来安値近辺の2000円台固めから底上げを続けているが、PERはわずか7倍と下げ過ぎとなり、配当利回りも2.0%と東証1部全銘柄平均の1.80%を上回っている。IPO株の投資セオリーは不人気場面で下値を拾い、株価高成長を先取りする「小さく産んで大きく育てる」ことといわれており、今後、東証株価指数(TOPIX)算入に伴う好需給思惑も加わり、インカム・ゲインとともにキャピタル・ゲイン(値上がり益)妙味も示唆しており、まず公開価格奪回が狙えよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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