【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】サクセスフル・エイジング達成への残された生存期間は?

 多くの方から「あとどれくらい健康寿命があるのか?」との問いがありますが、非常に難しくデリケートな問題です。健康寿命が推定できれば、サクセスフル・エイジング達成に重要な社会的貢献にも参加しやすいと話されます。

 健康寿命期間を推測する多くの研究がありますが、最も信頼されているのが米国医師会雑誌(JAMA 2006 15;295:801-8)のリー博士の指標です。この米国の研究では、自宅で自立生活している11,701人(平均年齢:67±10歳)、57%女性が対象でした。4年間の追跡調査で、経過観察中に1,361人(12%)が死亡しました。手術歴や入院回数など健康寿命に関連する予測因子として41項目を選択し、統計解析で最終的に12項目が選択されました。

 スコアは、年齢(60~64歳;1点,65~69歳;2点,5歳毎に1点加算、85歳以上は7点)、性別(男性2点)、糖尿病(1点)、癌(2点)、慢性肺疾患(2点)、心不全(2点)、数週間前までの喫煙(2点)、BMI(体重kg/身長m2)25以下(1点)、1人で入浴出来ない(2点)、500m~1km歩行不能(2点)、金銭管理が困難(2点)、椅子などを動かせない(1点)と規定されました。

 BMI25以下で生存率が低いのは、米国だからではなく高齢者ではある程度の余力が必要との証しかもしれません。ただ日本人ではBMI20~28ぐらいが適正と判断します。

 合計点数で4年後の死亡率は、1点では2%、3点では4%、5点では8%、7点では15%、9点では20%、10点では28%、12点では44%、13点では59%、14点以上では64%と医学統計学的に推計されました。米国ではこのスコアで現在の内服薬が本当に必要なのかどうかを決定する判断にも使用されています。では次月号で実際に本スコアを使用した、薬の管理方法や検診の推奨方法などを説明したいと思います。このスコアにあまりにも依存して一喜一憂するのはお勧めしませんが、年齢・性別以外の10項目を少しでも改善・予防するように日々の生活の中で気をつけて下さい。(元気会横浜病院々長・元、自衛隊中央病院消化器内科部長)

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