【アナリスト水田雅展の銘柄診断】協立情報通信は下値固め完了して反発のタイミング、17年2月期増収増益予想

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 協立情報通信<3670>(JQS)は法人向けソリューション事業とモバイル事業を展開している。16年2月期は計画超の2桁営業増益だった。マイナンバー関連を含む法人向けソリューション事業の好調が牽引して17年2月期増収増益予想である。株価は安値圏でモミ合う展開だが下値固め完了感を強めている。1桁台の予想PERや3%近辺の予想配当利回りなど指標面に割安感があり、好業績を評価して反発のタイミングだろう。

■法人向けソリューション事業とモバイル事業を展開

 法人向けソリューション事業(情報通信システムソリューション、会計情報ソリューション、情報活用教育ソリューション、情報活用レンタルソリューション)、およびモバイル事業(法人向けモバイルソリューション、ドコモショップ6店舗運営)を展開している。

 企業のICT(情報通信技術)化実現に向けて、NEC<6701>、オービックビジネスコンサルタント<4733>、NTTドコモ<9437>、サイボウズ<4776>、日本マイクロソフトなどパートナー企業の製品・サービスを融合し、情報通信インフラ機器の販売だけでなく、システム構築から導入・保守・運用・教育までをソリューションとして提供している。

 ソリューション事業においては、情報通信システムソリューションでNECのPBX(構内交換機)、会計情報ソリューションでオービックビジネスコンサルタントの「奉行シリーズ」をベースとして、中堅・中小企業向けを中心に情報インフラ、情報コンテンツ、情報活用支援(プラクティカルユース)の3分野を統合した経営情報ソリューションを、ワンストップサービスで提供していることが強みだ。

 さらに常設デモスペースの体感型フューチャーラボ「情報創造コミュニティー」において、製品活用体験セミナー、フェア、イベント、システム導入相談会、教育サービスなどを提供していることも特徴だ。

 モバイル事においては、NTTドコモの一次代理店であるティーガイア<3738>の代理店として、ドコモショップ6店舗(東京都内2店舗、埼玉県内4店舗)を運営し、個人向けモバイル端末などの店頭販売、および法人向けモバイルソリューションを展開している。

 なお光コラボレーションモデル事業者であるティーガイアからの再卸を受けて、自社ブランドによる法人向け光アクセスサービス「KCC光powered by TG光」事業を16年1月から開始した。当社の強みである通信機器の販売・設置・工事・保守に加えて、光回線までワンストップでの提供が可能になる。

■第1四半期の構成比がやや高い収益構造

 15年2月期の四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期(3月~5月)15億47百万円、第2四半期(6月~8月)14億43百万円、第3四半期(9月~11月)13億66百万円、第4四半期(12月~2月)14億10百万円、営業利益は第1四半期1億02百万円、第2四半期88百万円、第3四半期24百万円、第4四半期52百万円だった。

 法人向けソリューション事業は企業のIT投資関連のため、3月期決算企業の年度末となる第1四半期の構成比が高くなる傾向がある。また15年2月期の売上総利益率は30.4%で14年2月期比2.9ポイント低下、販管費比率は25.8%で同3.5ポイント低下、ROEは22.3%で同7.3ポイント上昇、自己資本比率は42.2%で同3.0ポイント上昇した。配当性向は30.1%だった。

■16年2月期は計画超の2桁営業増益

 4月12日発表の前期(16年2月期)非連結業績は、売上高が前々期(15年2月期)比7.2%増の61億81百万円、営業利益が同25.6%増の3億37百万円、経常利益が同27.0%増の3億45百万円、純利益が同10.3%減の1億95百万円だった。前々期計上の特別利益が一巡して純利益は減益だったが、ソリューション事業の好調が牽引して売上高、各利益とも計画を上回り、2桁営業増益だった。

 ソリューション事業は売上高が同20.4%増の20億33百万円、営業利益が同94.2%増の3億19百万円だった。情報創造コミュニティーの移転・改装に伴って減価償却費や消耗品費が増加したが、PBX(構内交換機)リプレース需要の取り込みや大型案件の計上が寄与した。マイナンバー制度対応案件も徐々に顕在化している。受注高は同28.0%増の10億60百万円、期末受注残高は同22.9%減の1億92百万円だった。なおマイナンバー法施行後にマイナンバー対策セミナー開催数が減少したため、情報創造コミュニティー来場社数は減少したが、新規来場社比率は上昇した。

 モバイル事業は売上高が同1.7%増の41億48百万円と前々期水準を維持したが、営業利益が同81.9%減の18百万円だった。第2四半期(6月~8月)に来店客数と販売台数が減少したことに加えて、手数料収入の減少、端末仕入原価の上昇、減価償却費・広告費・人件費の増加、三郷インター店改装関連費用の発生などで営業損益が悪化した。

 全体の売上総利益は同7.9%増加し、売上総利益率は30.6%で同0.2ポイント上昇した。販管費は同4.7%増加したが、販管費比率は25.2%で0.6ポイント低下した。また特別利益では前々期計上の移転補償金1億22百万円が一巡した。特別損失では前々期計上の事務所移転費用32百万円が一巡したが、減損損失が増加(前々期3百万円計上、前期23百万円計上)した。

 なおROEは17.4%で同4.9ポイント低下、自己資本比率は49.1%で同6.9ポイント上昇した。配当は前期の年間55円(記念配当5円含む)から5円減配の年間50円(期末一括)とした。配当性向は30.6%である。利益還元については、継続的かつ安定的な配当を年1回(期末)行うことを基本方針としている。また配当水準については、配当性向30~40%程度を目途として業績に連動させ、適正な配当を行うとともに、万一業績が悪化したとしても一定の水準を維持していきたいとしている。

 四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期(3月~5月)17億01百万円、第2四半期(6月~8月)14億30百万円、第3四半期(9月~11月)15億19百万円、第4四半期(12月~2月)15億30百万円、営業利益は第1四半期1億37百万円、第2四半期64百万円、第3四半期75百万円、第4四半期60百万円だった。

■17年2月期増収増益予想

 今期(17年2月期)通期の非連結業績予想(4月12日公表)は、売上高が前期(16年2月期)比5.8%増の65億40百万円、営業利益が同8.9%増の3億68百万円、経常利益が同7.2%増の3億70百万円、純利益が同13.7%増の2億22百万円としている。配当予想は前期と同額の年間50円(期末一括)で予想配当性向は26.9%となる。

 法人向けソリューション事業が堅調に推移し、モバイル事業の収益改善も寄与して増収増益予想だ。セグメント別の計画については、ソリューション事業の売上高が同15.1%増の23億40百万円、営業利益が同3.4%増の3億30百万円、モバイル事業の売上高が同1.3%増の42億円、営業利益が同2.0倍の38百万円としている。

■ソリューションへのシフトやストック型モデルの強化で高収益化目指す

 企業のICT投資需要は「クラウド」「モバイル」「セキュリティ」をキーワードとして高水準に推移することが予想されるため、中期的に物販からソリューションへのシフトやストック型収益モデルの強化によって高収益化を目指す方針だ。

 なお中期基本方針としては、情報創造コミュニティーの活性化(教育サービスメニューの開発、顧客創造力の増強、定期的なパートナー交流)、パートナー企業との共同開発の積極化、ソリューションサービスのモバイル化とインフラ・コンテンツ・教育・生産価値情報・セキュリティをキーワードとしたサービス展開を掲げている。

■株主優待制度は2月期末に実施

 株主優待制度は毎年2月末に実施している。優待内容は500株以上~1000株未満保有株主に対して島根県仁多郡産コシヒカリ「仁多米」2kg(1500円相当)、1000株以上保有株主に対して同5kg(3700円相当)を贈呈する。

■株価は下値固め完了して反発のタイミング

 株価の動きを見ると反発力がやや鈍く、安値圏1600円~1700円近辺でモミ合う展開だが、下値固め完了感を強めている。

 4月26日の終値1634円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS185円56銭で算出)は8~9倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間50円で算出)は3.1%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS994円39銭で算出)は1.6倍近辺である。時価総額は約20億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを抑える形だが、1600円近辺で下値を固める動きだ。1桁台の予想PERや3%近辺の予想配当利回りなど指標面に割安感があり、好業績を評価して反発のタイミングだろう。

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