【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ジオネクストは16年12月期営業黒字化目指す、上場廃止回避に向けて株価は思惑含み

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 ジオネクスト<3777>(JQS)は収益柱を再生可能エネルギー事業にシフトして16年12月期営業黒字化を目指している。なお16年12月期営業利益および営業活動によるキャッシュ・フローがいずれもマイナスに留まった場合には、JASDAQ市場の上場廃止基準に抵触して上場廃止となる。株価は安値圏で推移している。16年12月期営業黒字化に対する期待感が低下しているようだ。ただし3月の株主総会で経営陣が交代したため、上場廃止を回避すべく事業戦略を見直す可能性があり、株価は思惑含みの展開となりそうだ。

■再生可能エネルギー事業に収益柱をシフト

 14年4月にターボリナックスHDから現社名ジオネクストに商号変更した持株会社である。傘下の事業会社で、従来のIT関連事業(ターボリナックスのITソリューション)、環境事業(東環のビルメンテナンスサービス)、新規事業の再生可能エネルギー事業(エリアエナジーの太陽光発電所開発・運営・O&Mサービス、日本地熱発電の地熱・温泉バイナリー発電開発)、ヘルスケア事業(仙真堂の調剤薬局・サプリメント事業)を展開している。

 収益改善および中期成長に向けた基本戦略としては、14年に開始した新規事業の再生可能エネルギー事業に収益柱をシフトし、従来のIT関連事業と環境事業の収益性を確保しつつ、新規事業のヘルスケア事業の拡大・収益化も目指す方針としている。

■16年12月期営業黒字化目指す

 前期(15年12月期)連結業績は売上高が前々期(14年12月期)比3.9倍の7億96百万円だったが、営業利益が1億47百万円の赤字(前々期は1億75百万円の赤字)、経常利益が2億09百万円の赤字(同2億46百万円の赤字)、純利益が8億11百万円の赤字(同2億74百万円の赤字)だった。

 太陽光発電開発案件譲渡に伴う太陽光パネル売買契約や他の譲渡案件の成約がズレ込んだため売上高、各利益とも期初計画を下回り、営業赤字が残った。また減損損失3億17百万円などの特別損失を計上したため、純利益は赤字が拡大した。

 今期(16年12月期)の連結業績予想(2月12日公表)については、売上高が前期(15年12月期)比22.5%増の9億76百万円、営業利益が44百万円の黒字(前期は1億47百万円の赤字)、経常利益が9百万円の赤字(同2億09百万円の赤字)、純利益が13百万円の赤字(同8億11百万円の赤字)としている。

 なお特別利益に、連結子会社ターボリナックスが保有する関連会社の北京拓林思への出資持分全てを北京拓林思の親会社である北京万里に譲渡した関係会社株式売却益約16百万円、持分法適用関連会社だった遺伝子治療研究所について保有する全株式を譲渡した関係会社株式売却益約19百万円を計上する。

■継続企業の前提に疑義注記、16年12月期営業赤字なら上場廃止

 なお営業損失の発生および営業キャッシュ・フローのマイナスが10期継続して発生している。このため継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような状況が存在している。また15年12月期末において、11年4月1日以降開始する事業年度について、4期連続で営業利益および営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなったため、上場廃止にかかる猶予期間に入る見込みだ。

 そして16年12月期に、営業利益および営業活動によるキャッシュ・フローがいずれもマイナスに留まった場合には、JASDAQ市場の上場廃止基準に抵触して当社株式は上場廃止となる。

■経営陣交代で戦略見直しの可能性

 ただし3月29日開催の第22期定時株主総会において、経営陣(代表取締役および取締役)が交代したため、上場廃止を回避すべく、16年12月期営業利益および営業活動によるキャッシュ・フロー黒字化に向けて、事業戦略および16年12月期~18年12月期の中期経営計画が見直される可能性があるだろう。

■有利子負債削減は進展

 なお14年12月発行の第15回新株予約権340個(=3400万株)について、割当先であるEVO FUNDから、S&BROTHERS(シンガポール)へ200個、および当社第4位株主である須田忠雄氏へ35個譲渡した。第15回新株予約権の行使状況は、16年1月31日時点で未行使予約権個数325個となっている。

 また15年8月には、親会社リゾート&メディカルとの間で14年9月に締結したコミットメントライン契約に基づく借入金3億68百万円を全額返済し、当該契約を解除した。再生可能エネルギー事業を中心として一定の収益が実現されたため、借入金の返済により有利子負債の削減を図るとともに、親会社リゾート&メディカルからの独立性を明確にする。良好な関係は継続する。

■株価は安値圏で思惑含み

 株価の動きを見ると安値圏60円~70円近辺で推移している。4月5日と6日には53円まで下押す場面があった。その後は一時的に80円台まで急伸する場面もあるが買いが続かない。16年12月期営業黒字化に対する期待感が低下し、上場廃止を警戒する動きを強めているようだ。

 4月27日の終値は71円、時価総額は約29億円である。週足チャートで見ると戻りを押さえている13週移動平均線突破の動きを強めている。チャート面では目先的にリバウンド妙味がありそうだが、経営陣の交代で思惑含みの展開だろう。

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