【どう見るこの相場】夏相場の行方

■景気対策で7月中旬まで意外高の可能性、日経平均1万8500円も

<Q>今年のゴールデン・ウイークの谷間は暴落相場に見舞われた。連休明けから夏相場は期待できそうか。

<A>期待できるとみている。連休谷間の5月2日(月)は、日経平均が一時600円を超す下げになった。すべては、「円高」が原因だった。円高さえ消えれば、夏相場は期待できるはずだ。今年は、夏相場はないとみられていたが、逆に期待できるのではないかと思われる。

<Q>海外で1ドル・105円台まで進んだ円高が、簡単には円安になるとは思えない。とくに、アメリカは日本を通貨監視下に置くと言っている。

<A>アメリカは、経常収支が黒字の国は内需拡大に力を入れるべきだというのが基本姿勢だ。日本の2015年(暦年)の経常収支は5年ぶり高水準の約17兆円と好調だった。(1)原油価格が下がり、(2)円安で輸出が増え、(3)インバウンド需要などが大きく寄与したからだ。アメリカとしては、これ以上の円安政策には反対で、財政投資など内需拡大に力を入れるべきであるという要求といえる。サミット前後、あるいは6月の日銀金融政策決定会合で追加の量的緩和、公共投資などの景気対策が行われるものとみられる。相場はこの景気対策を好感する展開が予想される。

<Q>どれくらい期待できるのか。

<A>日経平均でみれば賞味期間が1~1.5カ月ていど、上値は1万8500円程度が見込めるのではないかと思われる。4月に日銀が追加の量的緩和見送ったことで大きく下げた悲観人気相場の裏返しによるリバウンド相場のように思われる。かなり空売りも増えたようだから買戻しが予想される。これに、外国人投資家がどれだけ日本株に強気になるかによって日経平均は1万8500円ではなく2万円に行く可能性もあるとみている。

<Q>3月期決算発表との兼ね合いは。

<A>景気対策が予想される5月中旬から6月には、決算発表は一巡、相場には織り込み済みとなっているはず。仮に、17年3月期が期待できない数字であっても、足元の景気対策を評価する力が働くものとみられる。

<Q>注目セクターは。

<A>内需関連、輸出関連ともリバウンドで買われるだろう。ただ、内需のインバウンド関連には陰りがみられるので思ったほど活躍しない可能性はありそうだ。一方、今年も猛暑予想でサマーストック、九州の復旧・復興関連、輸出関連も円相場が120円ていどまで一時的には円安に振れる可能性もあるので、トヨタ自動車などが意外にリバウンドは大きいのではないか。ただし、夏相場は7月中旬くらいまでのように思われる。決して、深追いはしないことだ。

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