【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ティムコは調整一巡してモミ合い上放れ、16年11月期収益改善基調

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 ティムコ<7501>(JQS)はフィッシング用品およびアウトドア用品の企画・販売事業を展開している。16年11月期第1四半期は赤字が縮小した。通期ベースでも収益改善基調が期待される。0.2倍近辺の低PBRも注目され、株価は調整が一巡してモミ合い上放れの展開だろう。

■フィッシング用品とアウトドア用品の企画・販売

 フィッシング用品とアウトドア用品の企画・開発・販売事業を展開し、当社オリジナルアウトドア衣料ブランドである「Foxfire(フォックスファイヤー)」の商品力強化や、直営店舗「Foxfire Store(フォックスファイヤーストア)」の収益力向上に取り組んでいる。

■15年11月期は減損損失計上

 15年11月期は消費マインド低迷、商品納期遅延発生、在庫商品値引き販売などで減収減益だった。差引売上総利益率は45.8%で14年11月期比0.2ポイント上昇、販管費比率は45.0%で同0.2ポイント上昇した。特別損失に本社および商品センター等の土地・建物等の有形固定資産等について減損損失13億96百万円を計上したため純利益は赤字だった。自己資本比率は82.8%で同3.7ポイント低下した。

 セグメント別(連結調整前)に見ると、フィッシング事業は売上高が同8.1%減の8億94百万円、営業利益が同12.1%減の1億06百万円、アウトドア事業は売上高が同1.3%減の19億12百万円、営業利益が同0.1%減の1億31百万円、その他(不動産賃貸収入など)は売上高が同55.9%増の30百万円、営業利益が同55.0%増の22百万円だった。

 四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期(12月~2月)6億31百万円、第2四半期(3月~5月)7億62百万円、第3四半期(6月~8月)6億75百万円、第4四半期(9月~11月)7億69百万円、営業利益は第1四半期31百万円の赤字、第2四半期33百万円、第3四半期14百万円の赤字、第4四半期35百万円だった。

■16年11月期第1四半期は増収で営業赤字縮小

 今期(16年11月期)第1四半期(12月~2月)の非連結業績は、売上高が前年同期比5.0%増の6億63百万円、営業利益が27百万円の赤字(前年同期は31百万円の赤字)、経常利益が24百万円の赤字(同30百万円の赤字)、純利益が21百万円の赤字(同24百万円の赤字)だった。

 個人消費低迷で厳しい事業環境だったが、積極的な営業活動で増収となり、赤字が縮小した。差引売上総利益は1.0%増加した。差引売上総利益率は43.5%で同1.7ポイント低下、販管費比率は47.7%で同2.5ポイント低下した。営業外では為替差益が増加(前期0百万円計上、今期1百万円計上)した。

 セグメント別(連結調整前)に見ると、フィッシング事業は売上高が同2.7%増の1億96百万円、営業利益が同4.2倍の16百万円だった。ルアー用品の仕入遅延を改善し、フライ用品の新製品投入も寄与して増収となった。利益面では経費削減も寄与した。アウトドア事業は売上高が同6.0%増の4億58百万円だが、営業利益が同43.3%減の10百万円だった。暖冬の影響で冬物商品の早期マークダウン(値引き販売)を行ったため大幅減益だった。その他は売上高が同9.8%増の7百万円、営業利益が同4.4%増の6百万円だった。

■16年11月期通期は増収増益予想で収益改善基調

 今期(16年11月期)通期の非連結業績予想(1月19日公表)は、売上高が前期(15年11月期)比5.0%増の29億80百万円、営業利益が同2.1倍の49百万円、経常利益が同70.6%増の52百万円、純利益が41百万円(前期は14億83百万円の赤字)としている。配当予想は前期と同額の年間12円(期末一括)で予想配当性向は72.5%となる。

 基本戦略としては規模の拡大よりも内容の充実に重点を置き、アウトドア衣料ブランド「フォックスファイヤー」の商品力強化、直営店舗「フォックスファイヤーストア」の収益性向上に努める方針としている。店舗オペレーション効率化や販管費圧縮などの効果も寄与して収益改善が期待される。

■株主優待制度は毎年11月末に実施

 株主優待制度は毎年11月30日現在の株主を対象として実施している。優待内容は、100株以上~1000株未満保有株主に対してFoxfire Store20%OFFお買物優待券1枚、1000株以上保有株主に対してFoxfire Store20%OFFお買物優待券2枚贈呈する。株主優待券利用対象店舗は直営店(会社ホームページを参照)となる。

■株価は調整一巡してモミ合い上放れ

 株価の動きを見ると、470円~490円近辺でのモミ合い展開だが、徐々に下値を切り上げている。調整が一巡したようだ。

 5月10日の終値482円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS16円56銭で算出)は29~30倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間12円で算出)は2.5%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS1989円07銭で算出)は0.2倍近辺である。時価総額は約16億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線を突破した。そして13週移動平均線が上向きに転じて下値を支える形となった。0.2倍近辺の低PBRも注目され、調整が一巡してモミ合い上放れの展開だろう。

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