【材料でみる株価】日本精密はASEANで飛躍、新たに国内大手時計メーカーと長期納入契約、株価急伸の芽

材料でみる株価

 日本精密<7771>(JQ・1000株)は、13日、『ASEANプロジェクト』の見直しと、国内大手時計メーカーとの長期安定供給契約によりカンボジアに子会社を設立(今年7月予定)すると発表した。

 腕時計のバンドを主力に、メガネフレームを手掛ける同社は早くからアセアンでの製造を強化している。1994年にベトナム工場を設立し日本企業ではもっとも早いアセアン進出として注目されてきた。時計関連部品の製造は中国が中心だったが、近年、中国では人件費の高騰、労働者・熟練工の不足、オーナーの高齢化などから部品メーカーの廃業・撤退が進み、アセアン地域で一貫生産体制と安定的な供給により同社の優位性が発揮され注目されている。

 同社では2013年11月に、『ASEANNプロジエクト』を発表、18年3月期の売上100億円、営業利益8億円と公表していた。今回、この数字を売上114億円、営業利益4億7100万円へ修正した。ベトナム、カンボジア工場での労務費費の増加、為替変動による商品仕入価格の上昇等により利益は計画を下振れだが、売上は好調で16年3月期に売上93億3500万円(前期比18.5%増)、17年3月期売上102億0800万円見通しと売上100億円の計画を1期早く達成する。

 13日には、カンボジアに子会社を設立すると発表した。今年4月に国内大手時計メーカーとの間で継続的供給を行うことで合意締結していることに伴う今回の子会社設立だ。国内時計メーカーの名は明らかにされていないが、有力大手メーカーとみられ、既に、工場建設(今年9月着工)のための資金として前受け金も受け取っているようだ。来春稼動予定でステンレス製無垢バンドを月間5万本製造する見通し。

 アセアンでも労務費は上昇しているが、中国に比べると小さく、しかも、生産効率化の余地もあり、今後、売上拡大と共に利益面での期待ができる。

 17年3月期は売上9.3%増の102億0800万円、営業利益8.5%増の3億0600万円、純益は7.1倍の3億5200万円の見通し。長期無配が続いているが、復配が近そうだ。

 13日(金)の終値は4円安の388円と小安いが出来高は前の日に比べて3.2倍に急増している。長期の推移では14年11月に300円台乗せとなった後、今年2月まで長期間にわたって300円を挟んだモミ合いだったが、足元では大手時計メーカーとの長期契約を好感して400円台に乗せモミ合い放れから上値を追う動きとなっている。過去、4ケタの実績がありアセアン関連の有望銘柄として注目できそうだ。

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