インテージHDの16年3月期は、売上高、営業利益、経常利益ともに過去最高を達成

■ドコモ・インサイトマーケティングが黒字化

 インテージHD<4326>(東1)の16年3月期は、売上高、営業利益、経常利益ともに過去最高を達成した。最終利益については、前年に臨床事業の一部を売却した売却益の影響もあり若干の減益となった。

 16年3月期連結業績は、売上高454億81百万円(前年同期比3.5%増)、営業利益38億83百万円(同8.7%増)、経常利益39億47百万円(同14.5%増)、純利益23億26百万円(同5.6%減)であった。

 売上高については、昨年は官公庁からの大型案件があった影響もあり、成長率は3.5%増にとどまった。
 営業利益の伸びを経常利益が上回っているのは、4年前にドコモと設立したジョイントベンチャーであるドコモ・インサイトマーケティング(持分法適用関連会社)が黒字化したことで、利益を計上できた影響によるもの。

 当社のセグメントは、マーケティング支援(消費財・サービス)、マーケティング支援(ヘルスケア)、ビジネスインテリジェンスの3つに分けられる。

■パネル調査の売上高は横ばい、その他のカスタムリサーチの分野は10%以上の成長

 マーケティング支援(消費財・サービス)の主な業界は、消費財・耐久消費財、サービス、官公庁。16年3月期は、対話型プロモーション、i-SSP(インテージシングルソースパネル)などのコミュニケーション分野や、カスタムリサーチの既存調査、インターネット調査が好調であったことから、売上高は300億80百万円(同3.9%増)であった。
 営業利益については、コミュニケーション分野において事業拡大に伴う費用が発生したものの、カスタムリサーチの既存調査、インターネット調査における収益状況が貢献したことで、20億45百万円(同6.8%増)となった。

 マーケティング支援(ヘルスケア)の主な業界は、製薬業界。売上高は、アンテリオにおけるカスタムリサーチやアスクレップの市販後調査が好調であったことから、97億34百万円(同3.5%増)となった。
 営業利益についても収益性の高い案件の伸びや事業の譲渡によるコスト削減が奏功したことで、13億65百万円(同18.2%増)と高い伸びを示した。なお、OTC関連のマーケティングリサーチ領域は、16年3月期インテージからアンテリオに移管している。
 全体としては、パネル調査の売上高は横ばいであったが、その他のカスタムリサーチの分野は10%以上の成長であったことから、まだまだカスタムリサーチという事業は、顧客ニーズにこたえていく余地はあると捉えている。

 ビジネスインテリジェンスの主な顧客は、サービス、製薬、健保業界。16年3月期、従来インテージが持っていたシステムソリューション領域をインテージテクノスフィアに移管している。売上高に関しては、旅行分野において、システム構築案件を受注するなど堅調に推移したことから、56億65百万円(同2.0%増)となった。現在は50億円規模であるが、早期に100億円規模にしていきたい方針だ。
 営業利益については、前年同期の大型案件による反動もあり4億71百万円(同5.5%減)であった。

■第11次中期経営計画の5つの戦略を着実に実行して、成果を上げる

 第11次中期経営計画では2015年度のグループの基本方針として、「リノベーション&イノベーションの更なる加速」を掲げている。達成するための戦略としては、「新セグメントの導入」、「グループフォーメーションの再編」、「グループ成長実現のための戦略的投資」、「海外事業トータルでの黒字化、ガバナンス強化」、「メディアコミュニケーション事業の着実な成長」と5つの方法を出していた。

 これまでの進捗状況を振り返ると、「新セグメントの導入」については、業界軸とサービス軸をベースとした区分にするため、16年3月期より、マーケティング支援(消費財・サービス)、マーケティング支援(ヘルスケア)、ビジネスインテリジェンスの3つの新しいセグメントを導入している。

 「グループフォーメーションの再編」については、OTC関連のマーケティングリサーチ領域をインテージからアンテリオへ移管、システムソリューション領域をインテージからインテージテクノスフィアに移管したことで、グループ内事業移管による専門性への特化を実現した。また、顧客経営層へのアプローチへの活性化のためのインテージコンサルティングを設立した。

 「グループ成長実現のための戦略的投資」では、次世代データ活用プラットフォーム構築に向けて人工知能技術を扱うクロスコンパス・インテリジェンスとの資本業務提携、安全性情報サービスの拡充に向けた京都コンステラ・テクノロジーズとの資本業務提携を行った。

 「海外事業トータルでの黒字化、ガバナンス強化」については、海外事業の黒字化はあと一歩のところまで来ている。現在、リージョナルオフィス主導の各種施策実行により、大幅な収益改善が実現している。中国事業については、回復に向けた事業改革を引き続き実施する。

 「メディアコミュニケーション事業の着実な成長」に関しては、取引先が様々な業態に拡大し、売上高、取引件数、社数といずれの分野でも拡大している。また、ニールセンとジョイントベンチャーのインテージ・ニールセンデジタルメトリクスを設立している。

 以上のように、5つの戦略を着実に実行して、成果を出している。今期は、5年先を見据えた戦略的投資環境およびグループマネジメント体系の整備・構築を行う年として位置付けている。戦略ポイントとしては、新たな成長エンジン創出のための更なる戦略投資を行うことを挙げている。

■キーワードはIoT、ビッグデータ、AI

 今期も、研究開発への投資に注力する。具体的には、Deep Learning技術を活用した新サービス領域の創出のための投資、株式会社IXT(イクスト)への投資、海外事業における取り組みへの投資を積極的に行っていく。キーポイントとなるキーワードはIoT、ビッグデータ、AI。現在、製造業の世界でさえ、情報に対応する投資を行なわないと生き残れない時代になっていることから、情報に携わっている当社の投資は当然であり、当社なりに現況を咀嚼し、取り込んでいかなければならないとしている。

 マーケティングリサーチの業界は、意図的に収集した情報をマーケティング活動に活用するMI(マーケティングインテリジェンス)分野とシステム上に発生する情報を業務に活用するBI(ビジネスインテリジェンス)分野の融合が進むと予想されている。また、デジタルマーケティングとして、オムニチャネルの進展により、リアルだけでなくデジタルも重要になっていることから、カスタマーズジャーニーを把握するツールとして、当社のシングルソースパネルが対応している。ところが、コンテンツの有効性を判定するサービスが現在ないことから、新しいサービスの創出が必要となっている。

■コンテンツの有効性を判定するため、自動認識のシステム化が必要

 そこで、コンテンツの有効性を判定するため、Deep Learning技術を活用した新サービスの創出に取り組んでいる。接触したコンテンツ(広告・動画)を自動認識して抽出したものを刺激と反応の関係・法則を発見し、分類、パターン化、最適配置を行う自動認識のシステム化を実現するため、Deep Learning技術を活用する。

 IXTは、スマートTV、メタデータの情報を集め、ビッグデータを価値化するのが目的。現在は、まだ研究段階中である。

 海外事業については、今年から組織再編の締めくくりとして、海外事業統括本部をタイのバンコックに設置した。タイからアセアン、インドまで統括する体制とした。この地域で、日本発のシンジケート型、またはパッケージ型商品をリリースしている。この2年間で、かなり日本語のソリューションを現地に移植することが出来た。その結果、現在、現地発の商品を作れる段階に入ってきている。例えば、スマートフォンは、タイや台湾でも相当普及していることから、実験が出来る環境が整っているため、簡易型シングルソースパネルの実証実験を行っている。

 アジアにおけるヘルスケア事業については、アンテリオと連携し、日本だけでなく、アジアでの展開を目指している。現在、タイで数千人からなる医者のモニターを作っている。また、PLAMED Koreaをジョイントベンチャーで作っている。このように、アジア一円で、医師のリレーションを構築し、モニター組織を作る動きとなっている。アンテリオの100%子会社で医者のネットワークを運営しているPLAMED、元々医者のSNSサービスを行う京大発のベンチャーであったが、当社に入り医者のネットワークを管理している。そこで、アジアにおいても医者のネットワークを構築し、運営するPLAMED Asiaを作り、アジア各国グループの現地法人との連携を進めている。

 このような取り組みを進めることで、今期17年3月期連結業績予想は、売上高480億円(前期比5.5%増)、営業利益42億円(同8.2%増)、経常利益42億50百万円(同7.7%増)、純利益26億50百万円(同13.9%増)、一株当たり純利益132円75銭、配当35円(前期32円50銭)と過去最高の業績を見込む。

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