【今日の言葉】消費税2つの前提

 『消費税2つの前提』=2017年春に予定していた消費税10%(現行8%)を2019年10月まで2年半延期することが本決まりとなるようだ。安倍総理が閣僚や党の幹部にその旨を伝え始めていることが報道されている。

 総理は、消費税実施について2つのことを前提としていた。(1)リーマンショックのような大不況がないこと、(2)東日本震災のような大災害が起きないことだった。このどちらかが起きない限り消費税引上げは行うと言ってきた。

 今回のG7で総理は、最初の条件であるリーマンショックを持ち出し、今がリーマンショック前に類似していると強調、消費税延期の理由にしていると受け止められている。しかし、今がリーマンショック前と似ているかどうかについて異論が出されている。素人目にもそれほど景気は悪いとは思えないだけにリーマンショックの言葉には違和感がある。むしろ、素直に東日本震災並みの熊本大地震が発生したことを理由としたほうがよかったのではないだろうか。G7首脳もそうほうが納得したように思われる。

 マーケットは、消費税延期を好感する展開だ。消費税見送りは財政悪化につながるが、「先のことより今が大切」という短期重視のマーケット独特の受け取りのようだ。確かに、今、消費税をやれば消費はいっそう冷え込むものとみられるし熊本大震災の傷が癒えないのに税負担は避けるべきだろう。

 野党からは消費税延期はアベノミクスの失敗というが、そうとは言えない。日経平均は野党政権時代の水準を足元では8500円ていど上回っている。アベノミクスの第1ステージから第2ステージの本格化が遅れているだけのこととみることはできる。

 それだけに、金融の量的緩和を含む思い切った景気対策を打つところにきている。そうでないと消費税を延期する意味がなくなってくる。幸い、内閣支持率は今回のオバマ大統領の広島訪問効果でハネ上がっている。これに、東日本、熊本の復興を本格化させれば参議院選挙での勝利は確実となるだろう。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■歯周病の進行抑制に向け、老廃物除去と免疫調整の2軸で研究  ライオン<4912>(東証プライム)…
  2. ■バリア性能と印刷適性を両立、2030年までに10億円売上目指す  大日本印刷<7912>(東証プ…
  3. ■胃がん・大腸がん対策で「Train the Trainerプログラム」を展開  オリンパス<77…
2025年9月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■01銘柄:往年の主力株が再評価、低PER・PBRで買い候補に  今週の当コラムでは、買い遅れカバ…
  2. ■日米同時最高値への買い遅れは「TOPIXコア30」と「01銘柄」の出遅れ株でカバー  日米同時最…
  3. ■東京株、NYダウ反落と首相辞任で先行き不透明  東京株式市場は米国雇用統計の弱含みでNYダウが反…
  4. ■株式分割銘柄:62社に拡大、投資単位引き下げで流動性向上  選り取り見取りで目移りがしそうだ。今…
  5. ■金先物相場を背景に産金株が収益拡大の余地を示す  東京市場では金価格の上昇を背景に産金株が年初来…
  6. ■大統領の交渉術が金融市場を左右し投資家心理に波及  米国のトランプ大統領は、ギリシャ神話に登場す…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る