テクマトリックスの前期はクラウドビジネス、セキュリティビジネスが伸びたことで、過去最高益を更新

■アプリケーション・サービス事業の営業利益は、NOBORIの契約施設数の増加もあり前年同期比147.5%増

 テクマトリックス<3762>(東1)の前16年3月期は、クラウドビジネス、セキュリティビジネスが伸びたことで、過去最高益を更新した。その結果、中期経営計画の初年度の目標数値をクリアしている。

 16年3月期連結業績は、売上高209億20百万円(前年同期比13.6%増)、営業利益13億81百万円(同22.2%増)、経常利益14億20百万円(同25.4%増)、純利益8億29百万円(同41.9%増)であった。

 事業別の売上高は、情報基盤事業では、大型案件が取れたことから、前年同期に比較し18億7百万円の増収となった。中でも、セキュリティ関連製品、官公庁ビジネス、セキュリティ監視サービスは10%以上の増収であった。その結果、売上高138億52百万円(前年同期比15.0%増)となった。
 営業利益は、1億2百万円増の11億31百万円(同9.9%増)であった。売上高の伸びに比較して営業利益の伸びが低いのは、大型の入札案件を取ったことで、利益率が低下した影響。

 アプリケーション・サービス事業は、ソフトウェア品質保証分野、医療分野、CRM分野共に10%以上の増収であったことから、売上高70億68百万円(同10.9%増)となった。
 営業利益は1億49百万円増の2億50百万円(同147.5%増)と大幅増益となった。要因のひとつとして、医療クラウドNOBORIの契約施設数の順調な増加に伴い、マイナス幅が期初計画より縮小したことが挙げられる。

■地方自治体の自治体クラウド、自治体セキュリティクラウド等の需要が今期も継続

 医療情報クラウドNOBORIの契約施設数は、1年間で約150施設を獲得し、事業開始3年半で約450施設と計画通りとなっている。特に、前期終盤で、関東圏で大型病院グループ向けの案件を受注したこと今期17年3月期も良いスタートが切れている。

 サイバー攻撃に対する需要は、マイナンバーの特需もあるが、霞が関周辺のセキュリティ対策は前期で一巡した感はあるものの、地方自治体の関連向けの需要が今期も継続していることから、今期も中規模以上の案件が全国的に見込める。また、経済産業省がサイバーセキュリティ経営ガイドライン制定、情報セキュリティ管理基準を改正したこともあり、サイバー攻撃に対するセキュリティは、経営上の重要な要素であり、サイバー攻撃に対する対策を行うことは企業としての義務となる。このような状況から、セキュリティ関連製品についても非常に順調に推移している。

 以上のように、セキュリティ関連製品の受注及び保守、監視サービスが好調なことに加え、クラウドへのシフト需要もあることから、受注残高は、15年3月期の88億85百万円から16年3月期は111億36百万円と25.3%増と大幅に伸びている。

■ストック比率は、情報基盤事業37.7%、アプリケーション・サービス事業43.9%

 当社の業績が右肩上がりに順調に拡大している要因として、ストック比率が高いことが挙げられる。前期の情報基盤事業のストック比率は、大型案件を獲得し、販売製品が増加した影響もあり、37.7%と前年の40.2%から低下した。しかし、製品の受注の後には、保守契約があることから、一時的な動きと捉えている。
 一方、アプリケーション・サービス事業は、クラウドの売上が伸びていることもあり、前年の41.8%から43.9%と順調にストック比率を高めている。

 当社は、中期経営計画「TMX.3.0」を15年5月22日に発表している。数値目標として、16年3月期売上高、204億円、営業利益13億円、17年3月期売上高227億円、営業利益17億円、最終年度である18年3月期は売上高251億円、営業利益23億50百万円を掲げている。
 中期経営計画初年度である16年3月期の業績は売上高、営業利益共に目標数値を超過達成をしている。

■NOBORIのプラットフォーム化を進めるNOBORI-PAL(ノボリパル)でクラウド資産を有効に多角化

 業績が順調に拡大している背景には、ストック比率が順調に伸びていることもあるが、一方で、医療分野、CRM分野、ネットワーク・セキュリティ分野、品質保証分野、インターネットサービス分野において、時流に沿ったサービスを提供していることが挙げられる。

 医療分野においては、「NOBORIのプラットフォーム化(多角化)」を行う「NOBORI-PAL」は、NOBORIが医療画像に特化したクラウドサービスであるが、その周辺で医療機関が使うサービスを同じクラウドのプラットフォームのうえに集めていくことで、結果的に医療機関にとっては当社のサービス以外にも医療機関が必要としている機能を連携して使うことが出来る。例えば、3次元で医療画像を解析できるフランスのIntrasense SA社が提供する「myrian(R)」、アドバンス・メディアの医療向けの音声入力サービス「AmiVoice CLx(R)」、当社が提供している検査予約サービス「TONARI」、緊急時外部画像参照サービス「TSUNAGU」がある。これらのサービスをNOBORIの上に集めることで、クラウド資産を有効に多角化していく。

 CRM分野では、顧客企業の優位性を高めるコンタクトセンターCRMシステムを提供している。

■ネットワーク・セキュリティ分野で保守サービスと監視サービスの両方をワンストップで提供

 ネットワーク・セキュリティ分野では、入り口の防御対策等のソリューションと自社ブランドのTRINITYという監視システムを提供している。当社の特徴は、セキュリティ機器が故障した際の保守サービスに加えて、セキュリティのインシデントを検知した際の対応も含む監視サービスの両方をワンストップで提供できるところにある。他社の場合は、セキュリティの監視専業のベンダーであったり、機器の導入・保守のベンダーであったり、対応範囲が分かれている。例えば、機器が壊れたときは、導入・保守のベンダーとやり取りし、インシデントの時は監視センターとやり取りすることになる。ところが当社の場合は、機器の死活管理も含めて保守・監視サービスを全て行っていることから、すべてワンストップで対応が可能となる。

■あらゆるデバイスがインターネットに接続される時代、ソフトウェア、セキュリティの品質が重要

 品質保証分野では、ソフトウェアの品質向上のためのソリューションを提供している。あらゆるデバイス(製品)がインターネットに接続される(IoT)時代となり、ソフトウェア、セキュリティの品質保証が重要になっている。自動車や医療機器などは今やすべてソフトウェアで制御されている。そのため、特に、自動車、電気・電子機器、医療機器では製品の安全性を担保するための国際規格も整備されている。このようにソフトウェアの品質を向上させるための技術が求められており、当社は、ソフトウェアのテスト、設計、構成管理等に関するソリューションを提供、及び国際規格準拠のためのコンサルティングも行っている。

 インターネットサービス分野では、オープンソースによるクラウドサービスの提供、クラウドに集約されたビッグデータの解析、金融工学をベースとした、リスク管理システムの提供を行っている。

 このような取り組みを進めることで、今期17年3月期連結業績予想は、売上高223億円(前期比6.6%増)、営業利益16億50百万円(同19.4%増)、経常利益16億50百万円(同16.1%増)、純利益10億30百万円(同24.2%増)、一株当たり純利益102円64銭、配当25円(前期20円)を見込む。

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