【編集長の視点】ユー・エムー・シー・エレクトロニクスは反落も連続最高営業利益更新と自動運転などのテーマ性を手掛かりに再騰が有力

編集長の視点

 ユー・エムー・シー・エレクトロニクス<6615>(東1)は、44円安の2399円と3営業日ぶりに反落して始まっている。きょう6日の日経平均株価が、急速な円高進行を嫌って319円安と急反落してスタートしていることから、同社株にも目先の利益を確定する売り物が先行している。ただ同社が、今年5月13日に今年3月15日の新規株式公開(IPO)後の初決算として発表した前2016年3月期業績が、過去最高の売り上げ、営業利益で着地、続く今2017年3月期業績も連続の過去最高更新と予想したことを見直し、下値には割安修正買いが続いており、やや下げ渋る動きもみせている。また、同社が有望案件として開発を進めているドローンや自動運転関連の画像鮮明化技術も、テーマ株人気の再燃を期待させている。

■前期から量産本格稼働の車載向け動力系制御基板が続伸し工場生産高は連続過去最高

 同社の今3月期業績は、売り上げ1195億7500万円(前期比8.7%増)、工場生産高260億9700万円(同10.9%増)、営業利益27億4300万円(同17.25%増)、経常利益24億5100万円(同16.4%増)、純利益16億200万円(同11.7%減)と予想されている。同社は、電子回路基板の実装や加工組立製造・開発を国内外の有力メーカーから受託するEMS(受託製造サービス)メーカーで、同EMS企業にとっては、売り上げは受注する生産単価に左右されるため付加価値を示す「工場生産高」をより重視しており、同生産高は、前期の7.2%増より伸び率を拡大し、前期の過去最高を連続更新する。前期から量産が本格稼働した車載向け動力系制御基板が続伸し、新規参入した精密成形・金型事業の取扱高も拡大して工業生産高が、2ケタ続伸となり、つれて営業利益も2ケタの続伸となる。

 なお、ドローンは、ドローンメーカーから完成品を受注し、また画像鮮明化技術では、昨年4月に子会社化したサイバーコアで逆光に影響されず対象の被写体を鮮明に映し出すLynxEye技術により自動運転やセキュリティ関連分野を開拓する。同社は、こうした有望案件を積極展開する中期経営計画や長期ビジョンも推進しており、中期計画では2018年3月期に工業生産高320億円、営業利益45億円を目標にしている。

■初値水準でもみ合いもPERは12倍台と割り負け最高値抜けから公開価格を目指す

 株価は、IPO時に3000円の公開価格を下回る2480円で初値をつけ、上場来高値2554円と上ぶれたものの、その後は、スマートフォンの世界的な需要伸び悩みや世界同時株安の波及で、下値を探る展開が続き、上場来安値1846円からは今期業績の連続最高予想をテコに底上げ、初値水準までリバウンドしもみ合っている。PERは12倍台と割り負けており、上場来高値抜けから公開価格奪回を目指す再騰が有力視される。(本紙編集長・浅妻昭治)

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