【アナリスト水田雅展の銘柄分析】インテージHDは年初来高値に接近、17年3月期増収増益・4期連続増配予想

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 インテージホールディングス<4326>(東1)は市場調査の国内最大手である。国内外におけるM&Aも積極活用して業容を拡大している。消費財・サービス分野のマーケティング支援事業、およびヘルスケア分野のマーケティング支援事業が好調に推移して、17年3月期も増収増益予想、そして4期連続増配予想である。株価は年初来高値に接近してきた。強基調に転換して戻りを試す展開だろう。

■市場調査大手の持株会社、システムソリューションなども展開

 13年10月に持株会社へ移行した。SCI(全国個人消費者パネル調査)やi-SSP(インテージシングルソースパネル)など国内首位の市場調査事業を主力として、システムソリューション分野や医薬情報分野にも事業展開している。

 15年8月にはアメリカマーケティング協会「Marketing News」誌に「AMA GOLD GLOBAL TOP50 Report」(グローバルマーケティングリサーチ企業トップ50)が発表され、インテージグループは前年に続いて世界9位にランクインした。

 15年12月には創立55周年を機にグループとしてのビジョンや行動指針を示した「THE INTAGE WAY」を、新たに「THE INTAGE GROUP WAY」に改定した。そして16年4月には、コーポレートアイデンティティ「THE INTAGE GROUP WAY」の改定と、インテージグループのロゴ策定を発表した。新グループビジョンは「知る、つなぐ、未来を拓く」(対外メッセージ用英語表記はKnow today、Power tomorrow)とした。

 また3月28日には監査役設置会社から監査等委員会設置会社に移行すると発表している。6月17日開催予定の第44回定時株主総会における承認を前提として実施する。

 なお16年3月期からセグメント区分を、消費財・サービス分野のマーケティング支援事業(事業会社インテージ、インテージリサーチ、アクセス・ジェーピー、海外子会社)、ヘルスケア分野のマーケティング支援事業(事業会社アンテリオ、アスクレップ、医療情報総合研究所、プラメド)、およびITソリューション分野のビジネスインテリジェンス事業(事業会社インテージテクノスフィア)とした。

 16年3月期の売上構成比は、消費財・サービス分野のマーケティング支援事業が66.1%、ヘルスケア分野のマーケティング支援事業が21.4%、ビジネスインテリジェンス事業が12.5%だった。

■M&A・アライアンス戦略で業容拡大

 国内外における積極的なM&A戦略で業容を拡大している。11年9月ベトナムの市場調査会社FTA、12年9月医療情報総合研究所、12年11月医療関連インターネット調査会社プラメド、13年8月香港の市場調査会社CSG香港を子会社化した。14年5月には子会社INTAGE INDIAがインドの市場調査会社RSMRS社の株式を取得してグループ化した。

 アライアンス戦略では、12年4月NTTドコモ<9437>と合弁会社ドコモ・インサイトマーケティング設立、13年10月韓国の業界4位の市場調査会社Hankook Researchと包括的事業協力を締結、13年11月インドネシアの市場調査会社DEKA社と合弁会社を設立、14年10月医薬品有害事象情報システムの京都コンステラ・テクノロジーズと資本業務提携した。

 また14年10月には、世界的な情報・調査企業であるニールセンの消費者購買行動分析部門ニールセン・カンパニー合同会社と、小売店パネル調査の相互販売を可能にするパートナーシップを締結し、新たな広告効果測定ソリューション開発を目指してインテージ・ニールセン・デジタルメトリクス(INDIGIM)を設立した。

 15年7月には、子会社インテージテクノスフィアがクロスコンパス・インテリジェンス(東京都)と、人工知能情報処理技術を活用した企業向け事業に関する資本業務提携契約を締結した。人工知能情報処理技術を当社顧客企業のビジネス課題に適用し、当該技術のシステム実装および運用を行う企業向け事業を展開する方針だ。

 15年10月には、子会社インテージの共創コミュニティプラットフォーム上に集英社の共創型コミュニティ「Love LEEs Cafe」をオープンすると発表した。生活感度の高い暮らしを楽しむ女性の声を新商品・サービスの開発に活かしたい企業向けに、共創マーケティング支援サービスの販売を開始する。

 16年1月には、INDIGIMが開発したターゲットセグメントごとのデジタル広告到達率を測定するTargeting Metrics(ターゲティング・メトリクス)の販売開始を発表した。ニールセンのデジタル広告視聴率とインテージの消費者パネル情報を組み合わせた新たな広告測定指標である。

 16年3月にはAGS(さいたま市)と業務提携に関する基本合意を締結し、当社連結子会社インテージテクノスフィアとAGSの共同出資による合弁会社を設立すると発表した。AGSの高いIT技術力やコンピュータ運用能力と当社の市場調査力など、経営戦略上の相乗効果や相互補完が期待できるとしている。

 16年4月には、みずほ銀行、インテージ、NHNテコラス、データセクションの4社協働で、14年4月発足したデータエクスチェンジコンソーソアム(DXC)での活動を発展させた取り組みとして、ビッグデータ利活用の実証試験を開始すると発表した。

■収益力強化に向けてグループ再編も推進

 収益力強化に向けたグループ再編も進展した。14年6月、子会社アスクレップの臨床開発事業を承継したエーケーピーを伊藤忠商事<8001>に譲渡した。アスクレップは医薬情報事業を継続する。15年4月、コンサルティング事業を強化するため子会社インテージコンサルティングを設立した。

 15年10月には子会社インテージが、ビッグデータのクリーニング・分析・価値化を図るIXT(イクスト)を設立した。企業のマーケティング活動にビッグデータを活用する際の課題解決に取り組む。

 16年4月にはアンテリオの定性調査等のフィールド業務をプラメドに移管し、医師パネルの管理・運用およびフィールド業務全般をプラメドに集約した。

■期後半の構成比が高い収益構造

 15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)91億78百万円、第2四半期(7月~9月)101億60百万円、第3四半期(10月~12月)107億98百万円、第4四半期(1月~3月)137億89百万円、営業利益は第1四半期2億71百万円、第2四半期10億46百万円、第3四半期12億52百万円、第4四半期10億02百万円だった。期後半の構成比が高い収益構造である。

 15年3月期の売上総利益率は27.8%で14年3月期比1.0ポイント上昇、販管費比率は19.7%で同1.1ポイント上昇、ROEは13.4%で同3.3ポイント上昇、自己資本比率は59.3%で同8.8ポイント上昇した。また配当性向は24.5%だった。

■16年3月期は増収・営業増益

 前期(16年3月期)連結業績は、売上高が前々期(15年3月期)比3.5%増の454億81百万円、営業利益が同8.7%増の38億83百万円、経常利益が同14.5%増の39億47百万円、純利益が同5.6%減の23億26百万円だった。純利益は前々期計上の関係会社売却益が一巡して減益だったが、消費財・サービス分野のマーケティング支援事業、およびヘルスケア分野のマーケティング支援事業が好調に推移して、増収・営業増益・経常増益だった。

 売上総利益は同0.2%増加したが、売上総利益率は26.9%で同0.9ポイント低下した。販管費は同3.4%減少し、販管費比率は18.3%で同1.4ポイント低下した。営業外では受取保険金および配当金が減少(前々期43百万円計上、前期11百万円計上)したが、持分法投資損益が改善(前々期は損失1億44百万円計上、前期は利益39百万円計上)した。特別利益では前々期計上した関係会社売却益29億11百万円が一巡した。特別損失では関係会社株式評価損1億20百万円を計上したが、一方で前々期計上した減損損失7億03百万円、特別退職金1億31百万円、退職給付制度終了損3億96百万円が一巡した。

 またROEは11.4%で同2.0ポイント低下、自己資本比率は57.5%で同1.8ポイント低下した。配当は同2円50銭増配の年間32円50銭(期末一括)とした。配当性向は28.1%である。利益配分については、配当と内部留保のバランスを考慮した利益配分を行うことを基本方針とし、連結配当性向30%を目安にしている。

 セグメント別に見ると、消費財・サービス分野のマーケティング支援事業は売上高が同3.9%増の300億80百万円、営業利益が同6.8%増の20億45百万円だった。対話型プロモーションやi-SSP(インテージシングルソースパネル)といったコミュニケーション分野、カスタムリサーチの既存顧客およびインターネット調査が好調に推移した。利益面では、重点領域であるコミュニケーション分野において事業拡大に伴う費用が発生したが、カスタムリサーチの既存顧客およびインターネット調査における収益状況が貢献した。

 なお売上高の内訳は、パネルが同0.8%増の125億98百万円、CR-既存が同13.7%増の40億71百万円、CR-Webが同11.1%増の43億01百万円、Coが同37.1%増の25億01百万円、海外が同14.6%増の37億44百万円、その他が同26.8%減の28億63百万円だった。

 ヘルスケア分野のマーケティング支援事業は売上高が同3.5%増の97億34百万円、営業利益が同18.2%増の13億65百万円だった。売上面ではアスクレップの一部事業譲渡が減収要因だったが、アンテリオにおけるカスタムリサーチの既存調査、インターネット調査、グローバルリサーチなどが好調に推移した。利益面では収益性の高い案件の伸びや事業譲渡によるコスト削減が寄与した。

 なお売上高の内訳はパネルが同0.3%増の23億26百万円、CR-既存が同24.4%増の8億05百万円、CR-Webが同6.4%増の20億43百万円、CROが同5.0%増の38億60百万円、その他が同16.8%減の6億97百万円だった。

 ビジネスインテリジェンス事業は売上高が同2.0%増の56億65百万円、営業利益が同5.5%減の4億71百万円だった。旅行分野においてシステム構築案件を受注するなど堅調だったが、利益面では前々期計上した大型案件の反動で減益だった。なお売上高の内訳は、国内CG&Sが同2.9%増の32億06百万円、ヘルスケアが同0.7%増の24億58百万円だった。

 四半期別業績推移をみると、売上高は第1四半期(4月~6月)93億27百万円、第2四半期(7月~9月)110億16百万円、第3四半期(10月~12月)114億11百万円、第4四半期(1月~3月)137億27百万円で、営業利益は第1四半期4億02百万円、第2四半期9億17百万円、第3四半期13億45百万円、第4四半期12億19百万円だった。

■17年3月期増収増益・4期連続増配予想

 今期(17年3月期)の連結業績予想(5月12日公表)については、売上高が前期(16年3月期)比5.5%増の480億円、営業利益が同8.2%増の42億円、経常利益が同7.7%増の42億50百万円、純利益が同13.9%増の26億50百万円としている。配当予想は同2円50銭増配の年間35円(期末一括)としている。4期連続の増配で予想配当性向は26.6%となる。

 セグメント別の計画については、消費財・サービス分野マーケティング支援事業の売上高が同4.7%増の315億円、営業利益が同12.4%増の23億円、ヘルスケア分野マーケティング支援事業の売上高が同7.9%増の105億円、営業利益が同4.0%増の14億20百万円、そしてビジネスインテリジェンス事業の売上高が同5.9%増の60億円、営業利益が同1.7%増の4億80百万円としている。

 パネル調査ではインテージのSCI(全国個人消費者パネル調査)やi-SSP(インテージシングルソースパネル)、さらに医療情報総合研究所の処方情報分析サービス、カスタムリサーチではアンテリオのヘルスケア関連インターネット調査などが好調に推移する。

■中期計画で戦略的投資を加速

 第11次中期経営計画では、グループ基本方針を「リノベーション&イノベーションのさらなる加速」として、戦略ポイントには、新セグメントの導入、グループインフォーメーションの再編、グループ成長実現のための戦略的投資、海外事業トータルでの黒字化とガバナンス強化、メディアコミュニケーション事業の着実な成長を掲げている。

 新たな成長エンジン創出のための戦略的投資では、DeepLearning技銃を活用した新サービス領域の創出、ビッグデータのクリーニング・分析・価値化を図る子会社IXT(イクスト)の設立(15年10月)などを推進している。

■株価は年初来高値に接近、強基調に転換して戻り試す

 株価の動きを見ると、6月6日に前日比121円(8.02%)高の1630円まで急伸する場面があった。そして1月の年初来高値1737円に接近してきた。好業績を評価する動きだろう。

 6月6日の終値1618円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS132円75銭で算出)は12~13倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間35円で算出)は2.2%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1060円17銭で算出)は1.5倍近辺である。時価総額は約326億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線突破し、13週移動平均線が上向きに転じてサポートラインの形となった。強基調に転換して戻りを試す展開だろう。

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