【株式評論家の視点】ヨシムラ・フードはロックアップ期間明け直後に上場来安値つけたが底打ち確認、上昇相場入り

株式評論家の視点

 ヨシムラ・フード・ホールディングス<2884>(東マ)は、本年3月4日に東京証券取引所マザーズに上場。食材総合商社である株式会社ヨシムラ・フード、赤い箱のシウマイで有名な楽陽食品株式会社、伝統ある白石温麺(しろいしうーめん)を製造・販売する白石興産株式会社、「鍋セット」を主力商品に食品の企画・販売を行っている株式会社ジョイ・ダイニング・プロダクツ、日本酒等の製造・販売を行う株式会社桜顔酒造、業務用冷凍かきフライなど冷凍食品を製造・販売する株式会社オーブン、ピーナッツバターを製造・販売する株式会社ダイショウ、そして、ねぎとろ、まぐろの切り落としの製造・販売を行う株式会社雄北水産の8社をグループ会社とする持株会社。

 事業承継を希望する企業や優れた商品や技術力を持ちながら経営上の制限のため、成長することができない中小食品企業を子会社化し、同社の統括により、各子会社の「強み」を伸ばし、「弱み」を補い合う仕組みである「中小企業支援プラットフォーム」を通じて営業、製造、商品開発、品質管理、経営管理といった機能ごとに支援および統括を行っている。

 同社グループでは、子会社を機能別に横断的な管理を行うため、同社内の機能別統括責任者のもと、各子会社が持つ販路、生産管理手法、商品開発ノウハウなどを共有し、子会社各社での相互活用や、経営管理の効率化、グループ信用力を活用した資金調達により同社グループ全体で成長を図っている。

 今2017年2月期は、引き続き「中小企業支援プラットフォーム」を活用し、各機能別に的確な経営指導・支援を行うことで、各社に設定している重点目標の達成を目指している。製造事業については、販売面においては、全国に有する販売網を中小企業支援プラットフォームを通じて活用し、各エリア戦略のもと空白エリアに対し製品の導入を行うほか、新製品の開発およびラインナップの増強により新規顧客の獲得、既存顧客の深耕を図っている。製造面においては、引き続き積極的に設備投資を行い、生産性の向上とコスト削減を推進している。販売事業については、販売品目の増強を図るとともに、企画・提案力の向上を図り、顧客ニーズに的確に応えられるよう取り組んでいる。

 今17年2月期第2四半期業績予想は、売上高が63億6900万円(前年同期比3.8%増)、営業利益が1億4100万円(同1.8%減)、経常利益が1億4100万円(同3.0%減)、純利益が8600万円(同7.1%減)を見込んでいる。

 通期業績予想は、売上高が132億5000万円(前期比3.2%増)、営業利益が3億7100万円(同13.2%増)、経常利益が3億6200万円(同10.7増)、純利益が2億2200万円(同51.8%減)を見込んでいる。同社は、設立以来配当は実施しておらず、事業拡大のための投資および既存事業の必要運転資金に充当しているが、将来的には、各事業年度の経営成績および財政状態を勘案しながら株主への利益還元を検討していく方針。

 株価は、3月4日の上場初値は公開価格の880円を50%上回る1320円、これを高値に4月5日安値892円まで調整を挟んで5月16日高値1200円と上昇。3月4日から90日間のロックアップ期間が明け、大株主による保有株の売却懸念が拡がり6月7日に上場来の安値818円をつけた後、モミ合っている。事業承継を求める中小食品企業の数は、今後もますます増加することが予想されることから、同社の収益機会は拡がる見通し。連続営業最高益更新を見込んでおり、7月14日に予定される第1四半期決算の発表に期待は持てる。公開価格の880円を割り込み値幅調整は済んでおり、日柄調整が進めば十分リバウンド相場入りが予想される。ここから下押す場面があれば、買い妙味が膨らみそうだ。(株式評論家・信濃川)

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