【材料でみる株価】新日鐵住金は世界規模の鉄道整備ブームに乗る、大型コンテナ輸送が背景、PER買い可能

材料でみる株価

新日鐵住金<5401>(東1・売買単位1000株)は粗鋼生産世界第二位の日本最大の鉄鋼メーカーだ。その技術力の高さは群を抜いている。

同社を取り巻く事業環境は明るい。その最たるものが鉄道レールの生産だ。一度に大量に、しかも低公害で物を運ぶことが出来る鉄道は新興国や先進国で、その整備に積極的だ。このためヨーロッパで2013年に21兆円だった鉄道市場が19年までに25兆円に拡大する見通しだ。また米国では現在、3本の大陸横断鉄道(3万8000キロ)が通っているが、目下、貨物の輸送力増強を図っている。これにつれて鉄道レールをこれまでの60キログラムレールから80キログラムレールへ徐々に入れ替えている。

その理由は大型のコンテナ列車を運行させることによる。この大型列車は1両にコンテナ(1個5トン)を12個乗せて、それを50両連結し、先頭と中央、最後尾にディーゼル機関車を設置して動かすというもの。そうすると、1編成は約3000トンの重量となる。このように重い列車を安全に走らせるためには、鉄道レールを重い80キログラムレールにしないとダメなのだ。このレールは摩耗が少なく、振動も大幅に抑えることが出来る。日本でも新幹線がこの80キロレールに替わりつつある。

現在、世界的に鉄道のインフラ整備拡大が注目されているが、こうした中、車両や信号などの設備に関心が集まっている。この流れは鉄道レールにも波及しよう。そして、この80キログラムレールは世界中で新日鐵住金とJFEの2社だけしか製造されていない。新日鐵住金はトップランナーとして有利に展開することになるとみられる。

一方、同社の業績は好調そのものだ。2015年3月期は売上高5兆6500億円(前期比2.4%増)、経常利益4000億円(同10.8%増)、当期純利益2500億円(同3.0%増)を確保する見通しだ。しかし、一部の見方として、原料安と合理化効果で経常利益4200億円(同16.3%増)前後、当期純利益2620億円(同7.9%増)前後に上方修正される公算があるという。予想一株当たり利益は28.7円(前期26.7円)にアップ。さらに2016年3月期経常利益5000億円(今期会社側予想比25.0%増)、当期純利益3000億円(同20.0%増)が期待できるとしている。この時点の一株当たり利益は約33円となる。

PERは8.5倍と低くなる。今期の会社側が予想している一株当たり利益に基づいたPERは10.5倍。来期の一株当たりの10.5倍までに株価が買われるとすると、350円が目先の目標値となろう。

株価は320円どころで、まとまったシコリ玉が残っているために、この近辺に到達すると売り圧力に押されてしまいがちになる。しかし、玉整理は徐々に進行中。2014年10月に243円の安値をつけて底値を打った感が強い。このため280円前後は安心買いのできる水準であり、積極的に拾いたい。

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