【アナリスト水田雅展の銘柄分析】パイプドビッツは第3四半期累計大幅増収増益を好感して水準切り上げ、14年11月高値試す

銘柄分析

 情報資産プラットフォーム事業のパイプドビッツ<3831>(東1)の株価は、14年11月の昨年来高値1926円から一旦反落したが、1600円近辺で下値を固めて水準を切り上げている。第3四半期累計(3月~11月)の大幅増収増益も好感する動きだ。強基調を確認した形であり、中期成長力を評価して14年11月高値を試す展開だろう。

 国内最大規模の情報資産プラットフォーム「スパイラル」を基盤として、情報資産プラットフォーム事業(データ管理などクラウドサービス提供)、広告事業(アフィリエイトASP一括管理サービス「スパイラルアフィリエイト」など)、ソリューション事業(ネット広告制作、アパレル・ファッションに特化したECサイト構築・運営受託、子会社ペーパーレススタジオジャパンのBIMコンサルティング事業など)を展開している。

 情報資産プラットフォーム事業は「スパイラル」、アパレル特化型ECプラットフォーム「スパイラルEC」、会計クラウド「ネットde会計」「ネットde青色申告」、クラウド型グループウェア×CMS×SNS連携プラットフォーム「スパイラルプレース」などを主力して展開している。

 また薬剤・医療材料共同購入プラットフォーム「JoyPla」、美容関連のヘアカルテ共有サービス「美歴」、地域密着型SNS「I LOVE 下北沢」、政治・選挙プラットフォーム「政治山」、BIM建築情報プラットフォーム「ArchiSymphony」などを展開し、14年3月にはアズベイスを子会社化してコールセンタープラットフォームサービス「BizBase」にも事業領域を広げている。

 1月15日には、ベトナム航空日本支社のマイレージ会員向けクローズドアンケートを、情報資産プラットフォーム「スパイラル」を活用して支援したと発表している。

 14年3月発表の「中期経営計画2017」では、15年2月期から17年2月期を「次世代ITベンダーへと革新する3ヵ年」と位置付けて、目標数値に17年2月期売上高92億円、営業利益28億円を掲げている。

 なお14年9月に、純粋持株会社制への移行検討開始を発表している。経営効率の向上、組織再編の柔軟性・機動性確保、グループ全体の最適化とガバナンス機能の強化を目的として、15年5月下旬開催予定の定時株主総会での承認等が得られることを条件として、15年9月1日を目途に純粋持株会社制へ移行する方針だ。

 12月26日に発表した今期(15年2月期)第3四半期累計(3月~11月)の連結業績は、売上高が前年同期比27.7%増の23億12百万円、営業利益が同37.6%増の4億76百万円、経常利益が同35.5%増の4億73百万円、純利益が同29.7%増の2億75百万円だった。

 情報資産プラットフォーム「スパイラル」の機能強化の効果などで有効アカウント数が堅調に推移し、人件費や広告宣伝費の増加などを吸収して大幅増収増益だった。第3四半期末の有効アカウント数(全事業合計)は同3373件増加の1万166件となった。

 通期の連結業績見通しは前回予想(3月31日公表)を据え置いて売上高が前期比27.1%増の32億円、営業利益が同23.9%増の7億円、経常利益が同23.7%増の7億円、純利益が同22.6%増の4億20百万円、配当予想が同3円増配の年間16円(第2四半期末7円、期末9円)としている。

 主力の情報資産プラットフォーム事業の好調が牽引して大幅増収増益見通しだ。また広告事業では「スパイラルアフィリエイト」を中心に販売活動を強化し、ソリューション事業ではビッグデータ関連の大型案件獲得を目指すとしている。

 通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が72.3%、営業利益が68.1%、経常利益が67.7%、純利益が65.6%である。ストック型の収益構造であることを考慮すれば概ね順調な水準だろう。四半期別営業利益を見ると、第1四半期(3月~5月)1億40百万円、第2四半期(6月~8月)1億65百万円、第3四半期(9月~11月)1億71百万円と増加基調である。情報資産プラットフォーム事業が牽引して中期的にも収益拡大が期待される。

 株価の動きを見ると、衆院解散・総選挙観測を材料視した14年11月の昨年来高値1926円から一旦反落したが、1600円近辺で下値を固め、徐々に水準を切り上げている。今期第3四半期累計の大幅増収増益を好感する動きだ。

 1月16日の終値1747円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS53円86銭で算出)は32倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間16円で算出)は0.9%近辺、実績PBR(前期実績の連結BPS271円44銭で算出)は6.4倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって水準を切り上げている。強基調を確認した形であり、中期成長力を評価して14年11月の高値1926円を試す展開だろう。

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