【業績でみる株価】採算改善、営業利益大幅増の久世は2017年3月期も2ケタ増を目指す、株価モミ合い放れへ

 久世<2708>(JQ・100株)は、外食産業向け卸売事業。2016年3月期4億8500万円は最高純益。前々期の2014年3月期は大幅減益、翌2015年3月期には赤字と苦戦していた。正にV字回復の決算となった。赤字となっていた要因は物流効率の悪化、原材料の高騰、不採算な大口取引先など。問題は山積みだった。

 これらの問題は簡単に解決できるものではない。取引先がエリアを拡大すれば配送効率が悪くても納品しなければならないのが卸の宿命だ。売れ筋商品ならば、原材料が高騰したからといって簡単に代替えできるもでもない。また、大口取引先から厳しい要請を受けると売上を優先するために採算改善はなかなか進まない。

 そんな折、「第三次C&G経営計画」をスタートさせた2016年3月期。「業績回復」「新規開拓と既存得意先との強化」「提案営業を重視」のテーマが三本柱だ。テーマを元に問題に取り組んだ。商品の代替品提案の実行は、これは取引先との信頼が深く提案力がないと実現できない。物流費の改善は、配送コースの見直しなど地道な努力を必要とする。不採算だった大口取引先は売上構成比10%超であり、取引解消には勇気がいたことだろう。

 結果は、通期で営業利益4億3900万円の黒字化。第2四半期時点では3100万円の赤字なことから、後期になって一気に花が咲いた。また、当初見込みの3.6倍以上だ。来期営業利益は10.4%増の4億8500万円を目指す。

 株価は24日終値で722円。時に突発的な動きをみせるが、基本は700円台のモミ合いの動きが長く続いている。業績苦戦だった2014~15年も底は固かったことから、下振れのリスクは低い。上方修正発表直後の5月10日に出来高を伴う上昇もみられたが、上値を切り上げる動きにはならなかった。中期経営計画効果が2期続けて成果を上げれば、切り上げる材料となりそうだ。

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