【編集長の視点】ベネフィットジャパンは反落も連続最高業績を手掛かりに公開価格水準から直近IPO株買いが再燃余地

 ベネフィットジャパン<3934>(東マ)は、63円安の2020円と反落して始まっている。きょう28日に日経平均株価が、欧米株の続落が響いて281円安と反落してスタートしていることから、同社株にも目先の利益を確定する売り物が先行している。ただ株価水準は、今年3月24日の新規株式公開(IPO)時の公開価格1980円目前となっており、今年5月12日に開示した今3月期業績が、連続して過去最高更新と予想されていることを手掛かりに下げ過ぎとして直近IPO株買いが下値に交錯している。テクニカル的にも、英国のEU(欧州連合)離脱ショックで25日移動平均線を下抜き、約11%のマイナスかい離水準まで突っ込んだだけにリカバリー期待も高めている。

■34名の新入社員が戦力化し催事開催日数も前期比27%増を計画

 同社の今3月期業績は、前期業績がIPO時予想から上方修正して着地したのに続き、売り上げ44億1900万円(前期比4.7%増)、営業利益7億1300万円(同31.9%増)、経常利益6億7800万円(同30.4%増)、純利益4億6000万円(同22.8%増)と連続の2ケタの増益が予想され、過去最高を連続更新する。特定の店舗を持たずショッピングセンターやスーパーマーケットなどの全国約1万店舗の催事場で独自の対面販売手法の「コミュニケーションセール」によりMVNO(仮想移動体通信事業)サービス事業を展開、すでに120万人の新規顧客の開拓実績を誇っているが、このストック効果に加えて今期は今年4月に新入社員が34名増加し、催事開催日数も延べ4060日と前期比27%増と伸び、初心者でも安心して使える月額900円からの「オンリーモバイル」の会員数が、前期比1.4倍となることなどが寄与する。

 事業環境も、同社の売り上げの48%、利益の78%を占めるMVNO事業の市場は、2015年3月末の326万回線から2016年3月末に510万回線に56%増と伸び、来年3月末に770万回線への拡大が予測されるなど高成長し、昨年12月の総務省の高額な端末購入補助への是正指導やデータ通信接続料の低下などのサポートも予想されることから市場規模がさらに拡大する見込みと好調に推移しており、経営資源をMVNO事業に集中する同社の成長戦略に強い追い風となる。

■PER8倍台の割り負け修正で「半値戻し」奪回から「全値戻し」を目指す

 株価は、今年3月に公開価格1980円でIPOされ3310円で初値をつけ初値直後に上場来高値3700円をつける高人気となった。同高値後は、IPO人気の一巡と4月以降の全般相場の記録的な続落に巻き込まれて上場来安値1802円まで売られたが、前期業績の上方修正、今期業績の続伸予想が底上げを加速、最高値から最安値までの調整幅の半値戻しとなる2720円までリバウンド、25日移動平均線水準での中段固めを続けてきた。足元は、英国の「離脱ショック」で25日線を下抜いて急落、マイナスかい離幅は11.1%、PERは8倍台、さらに株価水準自体も公開価格に並ぶなど下げ過ぎを示唆しており、戻り高値抜けから相場格言通りに「半値戻しは全値戻し」を目指すことになろう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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