【アナリスト水田雅展の銘柄分析】セキドは今期減額修正の売り一巡、16年2月期収益改善期待で出直り

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 ファッション専門店チェーンのセキド<9878>(東2)の株価は、今期(15年2月期)減額修正で1月6日と13日に130円まで調整する場面があったが、19日は142円まで戻している。売りが一巡したようだ。訪日外国人旅行客のインバウンド需要や低PBRが支援材料であり、来期(16年2月期)の収益改善期待で出直り展開だろう。

 12年10月に家電の店舗販売事業から撤退してファッション専門店事業に経営資源を集中した。海外ブランド品などを扱うファッション専門店「GINZA LoveLove」「スーパーセレクトショップラブラブ」を直営で展開している。前期(14年2月期)末の店舗数は首都圏中心に24店舗である。

 中期成長戦略として「GINZA LoveLove」のブランディング戦略強化を掲げ、高額のナショナルブランド品、中・低価格帯のプライベートブランド(PB)品、アウトレットブランド品の品揃えを強化している。さらに収益力改善に向けて、新規出店と既存店リニューアル、ネット通販の強化、滞留期間短縮による商品在庫の鮮度アップ、売れ筋商品の機会ロス低減、店舗運営の効率化などへの取り組みを強化している。

 ネット通販についてはストリーム<3071>と業務提携している。さらに今後の事業展開として小売法人向け商品供給や販売業務委託を強化する方針を打ち出し、14年7月にはラオックス<8202>と業務提携した。当社がラオックスに対して高級ブランド品(バッグ・財布など)を提供し、ラオックスが当社に対して高級時計を中心とした宝飾品を供給する。相互の効率的な商品供給体制を確立して販売増につなげる戦略だ。

 今期(15年2月20日期)第3四半期累計(2月21日~11月20日)の業績(非連結)は売上高が前年同期比19.0%減の66億73百万円で、営業利益は4億23百万円の赤字、経常利益は4億72百万円の赤字、純利益は4億48百万円の赤字だった。消費増税や天候不順の影響が想定以上に長期化して大幅減収となり、赤字幅が拡大した。

 通期の業績(非連結)見通しについて12月30日に減額修正した。前回予想(10月3日に減額)に対して売上高は7億円減額して前期比13.5%減の103億円、営業利益は7億70百万円減額して6億60百万円の赤字(前期は89百万円の黒字)、経常利益は7億60百万円減額して7億20百万円の赤字(同97百万円の黒字)、そして純利益は7億50百万円減額して7億円の赤字(同1億07百万円の黒字)とした。

 第3四半期累計が前年同期比19.0%減収となり、来期(16年2月期)の商品戦略に向けた滞留在庫の処分に伴って損失を計上する見通しだ。また配当予想については無配(前期は年間1円)に修正した。

 今期の収益は大幅に悪化するが、来期は消費増税や天候不順の影響が一巡する。さらに収益改善に向けて、DMや催事による販促強化、小売法人向けの商品供給や販売委託の強化、売上総利益率の改善、人件費や広告宣伝費の見直しによる効率化を推進する。ラオックスとの業務提携により、訪日外国人旅行客のインバウンド需要の取り込みも強化する。来期の収益改善が期待されるだろう。

 株主優待については、毎年2月20日および8月20日現在で1000株以上所有株主に対して実施している。優待内容は、1000株以上所有株主に対して一律「株主ご優待券5%割引券」5枚、3000株以上所有株主に対して「1000株あたり500円のお買い物券+株式数に応じたお買い物券」を贈呈している。さらに2年以上継続保有の株主に対しては「お買い物券」が上乗せされる(詳細は会社ホームページ等で確認のこと)。

 株価の動きを見ると、14年11月の戻り高値161円から反落し、12月30日の今期業績見通し減額修正で水準を切り下げ、1月6日と13日に130円まで調整する場面があった。しかし19日は142円まで戻している。売りが一巡したようだ。

 1月19日の終値140円を指標面で見ると、前期実績PBR(前期実績のBPS260円59銭で算出)は0.5倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線突破の動きを強めている。また週足チャートで見ると52週移動平均線がサポートラインの形だ。訪日外国人旅行客のインバウンド需要や低PBRが支援材料であり、来期の収益改善期待で出直り展開だろう。

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