ASIANSTARは急落したが調整一巡感、16年12月期は特別利益計上で大幅最終増益

 ASIANSTAR(エイシアンスター)<8946>(JQS)は不動産関連事業を展開し、中国でのワンルーム賃貸事業も推進している。16年12月期通期の営業利益と経常利益を減額したが、特別利益を計上して大幅最終増益予想である。株価は高値圏から急落したが調整一巡感を強めている。

■国内と中国で不動産事業を展開

 15年4月、陽光都市開発からASIANSTAR(エイシアンスター)に商号変更した。

 投資用マンション「グリフィンシリーズ」の企画・販売事業を一旦縮小し、国内の不動産管理・賃貸・仲介事業のストック型フィービジネスへ事業構造を転換した。そして13年8月アパマンショップホールディングス<8889>の子会社アパマンショップネットワークとFC加盟契約締結、13年10月ストライダーズ<9816>と資本業務提携した。

 11年12月の上海徳威グループとの資本提携効果などで財務基盤が改善し、さらに国内不動産管理・賃貸・仲介事業の安定的な収益体系が構築できたとして、14年2月中国における不動産関連事業(サービスアパートメント運営管理事業、ワンルームマンション賃貸事業)へ進出した。

■資本提携先を変更

 16年5月に資本提携先変更を発表した。11年12月に上海徳威企業(徳威企業)、思源国際(当社取締役であり徳威企業の薫事長でもある呉文偉氏の個人会社)、およびフィンテックグローバル証券(13年2月資本提携契約から脱退)の3社と資本提携契約を締結したが、2社との資本提携契約を解消することとなった。

 一方で当社と徳威企業との事業協力関係については変更がないこと、当社の株式を保有しているのは徳威国際(徳威企業の100%子会社)であることを鑑み、新たに徳威企業および徳威国際の2社との資本提携契約を締結することとなった。

■中国でワンルーム賃貸事業を推進

 中国における不動産関連事業では、14年2月香港柏雅および子会社でサービスアパートメント運営・管理コンサルティングを展開する柏雅酒店管理(上海)などベルグラビアグループ3社を連結子会社化した。このうち上海柏雅投資管理を14年6月売却し、14年7月香港柏雅の子会社として陽光智寓(香港)を設立した。

 14年11月世界有数の大型テーマパークから約5km圏内に位置する上海市周浦エリアにおいて、周浦印象春城サービスアパートメント1棟(220戸)の管理受託契約を締結した。14年12月陽光智寓(香港)が上海市で新規事業の実務を行うため上海陽光智寓を設立した。

 15年8月柏雅酒店管理(上海)と東急不動産上海が、合弁会社の上海雅東企業発展有限公司を設立(柏雅酒店管理の出資比率55%)した。柏雅酒店管理のサービスアパートメント運営管理実績、中国国内の物件情報開発力および許認可取得交渉力と、東急不動産上海の日本人向けサービスアパートメント運営ノウハウ、東急不動産グループの企画・設計力ならびに信用力・知名度を活用し、両社の強みを融合したサービスアパートメント運営管理事業を展開する。

 また蘇州市人民路所在の中古建物を賃借し、マンション用に内装工事を施して賃貸するワンルーム賃貸事業当該物件の計画(賃貸部屋数80室予定、投資金額約56百万円予定)を策定した。上海市においてもワンルームマンション賃貸権を購入して賃貸事業を開始する。当該案件は上海徳威企業の連結子会社である上海布科投資管理有限公司からワンルームマンションの賃貸事業を譲り受ける。

■国内リゾート開発は事業運営の連結子会社を譲渡

 一層の事業規模拡大を図ることを経営課題として、一旦縮小した国内不動産販売事業をあらためて拡大する方針を打ち出し、15年2月新規事業としてリゾート開発事業を開始すると発表した。

 日本国内で約70ヶ所合計約46万坪の事業用地を取得し、宅地造成後に住宅用建物を建設してセカンドハウスなどとして販売する事業、概ね10年を目途に別荘地として区画分譲する事業、開発や区画分譲を開始するまでの期間を固定資産として賃貸する事業を計画した。

 その後、別荘地としての土地区画販売については16年5月までに約27千平方メートルを販売して76百万円の売上を計上した。セカンドハウスなどとして販売する事業については白浜事業用地(和歌山県白浜市)を第1段事業と定め、タイムシェア型商品を開発して主に中国の投資家に販売する計画を策定した。

 そして16年6月連結子会社の持分譲渡と特別利益計上を発表した。リゾート事業運営を行う目的で15年2月設立した連結子会社の合同会社TYインベスターズの出資持分全てを、上海兆世信息科技有限公司(上海兆世)に譲渡(譲渡実行日16年8月末予定)する。本件譲渡後は当社自体がリゾート開発事業を推進し、白浜事業用地に次ぐ第2段事業用地の選定等を行っていくとしている。

■大型案件で変動しやすい収益構造

 15年12月期の四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期2億77百万円、第2四半期3億26百万円、第3四半期2億37百万円、第4四半期3億48百万円、営業利益は22百万円、15百万円、7百万円の赤字、26百万円だった。大型案件によって変動しやすい収益構造である。

 15年12月期は大型物件がなかったため大幅減収減益だった。売上総利益率は37.2%で同14.6ポイント上昇、販管費比率は32.3%で同16.6ポイント上昇、ROEは3.1%で同21.1ポイント低下、自己資本比率は60.0%で同12.3ポイント上昇した。

■16年12月期第1四半期は赤字

 今期(16年12月期)第1四半期(1月~3月)連結業績は、売上高が前年同期比6.0%増の2億93百万円、営業利益が2百万円の赤字(前年同期は22百万円の黒字)、経常利益が21百万円の赤字(同6百万円の黒字)、純利益が21百万円の赤字(同2百万円黒字)だった。大型案件がなく、販管費が増加して赤字だった。売上総利益は10.4%増加し、売上総利益率は41.9%で同1.7ポイント上昇した。販管費は同40.8%増加し、販管費比率は42.8%で同10.6ポイント上昇した。

 セグメント別動向を見ると、不動産販売事業は売上高が15百万円(前年同期はなし)、営業利益(連結調整前)が3百万円の赤字(同1百万円の赤字)だった。中古マンションや土地などの引き渡しを完了したが、販売に係る業務委託費用が膨らんだため赤字だった。不動産管理事業は売上高が同5.6%増の1億39百万円、営業利益が同1.5%減の55百万円だった。中国におけるサービスアパートメント管理事業が増収だったが、費用も増加した。

 不動産賃貸事業は売上高が同6.5%減の84百万円、営業利益が同97.9%減の0百万円だった。中国のワンルームマンション賃貸事業に係る先行費用が影響した。不動産仲介事業は売上高が同1.3%減の53百万円、営業利益が同16.3%増の16百万円だった。その他事業は売上高がなく、経費計上で営業利益が0百万円の赤字(同0百万円の赤字)だった。

■16年12月期通期は増収増益予想、特別利益計上

 今期(16年12月期)通期の連結業績予想について6月22日に修正を発表した。前回予想(2月16日公表)に対して売上高を据え置き、営業利益を10百万円減額、経常利益を50百万円減額、純利益を2億円増額した。売上高は順調に推移しているが、人員増によって人件費が増加し、営業外費用で為替差損40百万円の計上を見込んだ。一方で合同会社TYインベスターズの持分譲渡によって特別利益約3億円を計上する。

 修正後の通期連結業績予想は売上高が前期(15年12月期)比26.2%増の15億円、営業利益が同5.2%減の55百万円、経常利益が同81.5%減の10百万円、純利益が同6.1倍の2億50百万円とした。配当は無配を継続する。

 不動産販売事業は全国リゾート地における土地の販売および首都圏の戸建開発によって収益の積み上げを目指す。安定した収益が見込める不動産管理事業は日本国内および中国においてサービスの向上や管理戸数の増加による収益拡大を図る。不動産賃貸事業は現状の稼働率維持によって収益を確保する。不動産仲介事業は国内顧客および海外投資家に向けた物件斡旋等を積極的に展開して収益拡大を図る。

■財務基盤改善

 新株予約権行使、第三者割当増資、そして利益の積み上げで財務基盤改善も進展している。自己資本比率は13年12月期末9.0%、14年12月期末46.7%から、15年12月期末60.0%に改善した。また1株当たり純資産(BPS)は13年12月期末19円92銭、14年12月期末72円12銭から、15年12月期末104円45銭に改善した。

■株価は急落したが調整一巡感

 株価の動きを見ると、5月の年初来高値圏350円~400円近辺から急落し、地合い悪化も影響して6月24日に年初来安値となる165円まで調整した。その後は200円近辺で推移して調整一巡感を強めている。

 7月14日の終値196円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS14円05銭で算出)は14倍近辺、実績連結PBR(前期実績の連結BPS104円45銭で算出)は1.9倍近辺である。時価総額は約35億円である。

 週足チャートで見ると52週移動平均線を割り込んだが、安値圏の下ヒゲで調整一巡感を強めている。反発が期待される。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)

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