セレスは調整一巡して6月高値目指す、16年12月期増収増益予想で増額余地

 セレス<3696>(東マ)は、スマホ向けポイントサイト運営が主力のスマートフォンメディア事業を展開し、ポイントサイト登録会員数が増加基調である。7月26日には「ポケモンGO」課金額7%ポイント還元キャンペーンを開始した。16年12月期増収増益予想で増額余地がありそうだ。FinTech・O2O関連などのテーマ性も注目され、株価は調整一巡して6月の上場来高値を目指す展開だろう。なお8月12日に第2四半期累計業績発表を予定している。

■ポイントサイト運営などスマートフォンメディア事業を展開

 国内最大級のスマホ向けポイントサイト「モッピー」をはじめ、ポイントメディア「モバトク」「お財布.com」およびHRメディア「モッピージョブ」を運営するスマートフォンメディア事業を展開している。

 15年12月期の事業別売上高構成比はポイントメディア事業98%、HRメディア事業2%だった。ポイントメディア事業の「モッピー」「モバトク」「お財布.com」は広告閲覧、スマホアプリダウンロード、ショッピング、アンケートなどのアクションに応じて、現金・電子マネー・ビットコイン等との交換が可能なポイントが貯まる無料会員サービスを提供している。HRメディア事業の「モッピージョブ」はアルバイト求人広告サイトで、成功報酬型などの広告収入が収益柱である。

■自社運営メディア利用価値最大化を目指す

 自社運営メディアの利用価値を最大化することを目指し、M&A・アライアンスも積極活用してユーザー数拡大や掲載広告数増加を推進している。ポイントメディア事業の強化、自社運営メディアのポイントとビットコインのビジネスシナジーの強化などを推進するとともに、中期的にはウェアラブルメディア(ウェアラブル広告)としてのスマートウォッチ向けアプリサービスの提供、スマートフォン端末と自社ポイントメディアを活用したO2Oビジネス分野への進出などにより、事業収入の多様化を図る方針を打ち出している。

 15年4月オープンキューブから「お財布.com」譲り受け、15年5月ビットコイン販売・買取・決済サービスのbitFlyerと業務提携、15年8月ビットコインサービス「coincheck」提供のレジュプレスと資本業務提携、15年9月ブロックチェーン技術を基に非中央集権型クラウドコンピューティングシステム「orb」を開発するOrbに出資(当社含む5社)、15年12月一般社団法人FinTech協会に入会、15年12月ビットコインサービス「ビットバンクウォレット」「ビットバンクトレード」のビットバンクに追加出資および業務提携した。

 16年5月決済連動マーケティングCLO(Card Linked Offer)アプリ「CRECO」のアイ・ティ・リアライズと資本業務提携、16年6月東京大学発ベンチャー企業のジャノムとビットコインに関するアプリケーション共同開発で業務提携、O2O関連サービスの共同開発でゆめみと資本業務提携(持分法適用関連会社化)した。

 7月7日にはスマホ向けビットコイン関連サービス「breadwallet」を提供する米国のベンチャー企業breadwallet社との資本業務提携を発表した。FinTech領域と当社が運営する各メディアとのシナジーを追求する。

 また7月26日には「ポケモンGO」の世界中での大ヒットに伴い、当社「モッピー」「モバトク」において、期間限定で課金額の7%ポイント還元キャンペーンを開始したと発表した。

■四半期ベースで増収基調

 15年12月期の四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期6億71百万円、第2四半期7億95百万円、第3四半期8億50百万円、第4四半期8億49百万円、営業利益は1億05百万円、1億23百万円、1億59百万円、76百万円だった。四半期ベースで増収基調である。

 なお15年12月期の売上総利益率は36.6%で14年12月期比2.0ポイント低下、販管費比率は21.9%で同3.1ポイント低下、ROEは15.2%で同16.2ポイント低下、自己資本比率は57.2%で同8.3ポイント上昇した。

■16年12月期第1四半期は大幅増収増益

 今期(16年12月期)第1四半期(1~3月)の非連結業績は、売上高が前年同期比比34.5%増の9億03百万円、営業利益が同54.4%増の1億63百万円、経常利益が同52.5%増の1億60百万円、純利益が同62.7%増の99百万円だった。販管費増加を増収効果で吸収した。前四半期(15年12月期第4四半期)との比較でも増収増益だった。

 友達紹介など効率的なプロモーションやM&Aを含めた積極投資の効果でポイントメディア会員数が増加基調である。16年3月末ポイントサイト登録会員数は15年3月末比92万人増加の278万人となった。また営業活動強化の効果でHRメディア「モッピージョブ」求人広告掲載件数は15年3月末比約2倍の約6.8万件に増加した。なお「モッピージョブ」求人広告掲載件数は、16年末までに大手メディア並み10万件という目標に対して、5月13日時点で7.2万件に達している。

 売上総利益は同26.0%増加したが、売上総利益率は37.2%で同2.5イント低下した。販管費は同7.4%増加したが、販管費比率は19.1%で同4.8ポイント低下した。16年3月末時点の従業員数は75名(うち正社員58名)となった。15年4月に「お財布.com」を譲り受けたこともあり、前年同期比24名増加した。正社員の5割がエンジニア職である。

■16年12月期通期2桁増収増益予想で増額余地

 今期(16年12月期)通期の非連結業績予想(2月12日公表)は売上高が前期(15年12月期)比15.3%増の36億52百万円、営業利益が同11.8%増の5億20百万円、経常利益が同10.6%増の5億07百万円、そして純利益が同20.1%増の3億23百万円としている。ポイントサイト登録会員数が増加基調であり、HRメディア「モッピージョブ」求人広告掲載件数も伸長して、2桁増収増益予想である。配当は無配継続としている。

 通期会社予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高が24.7%、営業利益が31.4%、経常利益が31.6%、純利益が30.7%と利益進捗率が高水準である。四半期ベースで増収基調であることも考慮すれば通期会社予想に増額余地があるだろう。

■株価は調整一巡して6月の上場来高値を目指す

 株価の動きを見ると、6月の上場来高値2849円から利益確定売りや地合い悪化の影響で反落し、その後は1600円~2000円近辺で推移して調整一巡感を強めている。

 7月26日の終値1841円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS36円65銭で算出)は50倍近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS215円90銭で算出)は8.5倍近辺である。時価総額は約171億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線近辺で下げ渋りサポートラインを確認した形だ。下ヒゲをつけて下げ渋る動きだ。FinTech・O2O関連などのテーマ性も注目され、調整一巡して6月の上場来高値2849円を目指す展開だろう。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)

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