【編集長の視点】イトクロは連続最高業績に加え相次ぐM&Aを再評価して反発

 イトクロ<6049>(東マ)は、47円高の2748円と4日ぶりに始まっている。今10月期業績の連続最高業績に加え、今年6月、7月と相次いだM&Aを再評価して内需株買いが再燃している。今年6月10日に発表した今期第2四半期(2015年11月~2016年4月期、2Q)累計業績が、2ケタ増収増益で着地し10月通期予想業績に対して高利益進捗率を示したことも、業績期待を高めている。

■「塾ナビ」は3年連続の業界トップと独走し新サイトのリリースも寄与

 同社の今10月期業績は、売り上げ33億7000万円~39億7000万円(前期比4.9%減~12.0%増)、営業利益11億5100万円(同20.0%増)、経常利益11億5100万円(同19.8%増)、純利益7億3500万円(同20.8%増)と予想され、前期に続き過去最高を更新する。教育業界と金融業界に領域特化したポータルサイトを運営するメディアサービス事業と、コンサルティングサービス事業を展開しているが、とくにメディア事業では、学習塾予備校領域の主力口コミポータルサイト「塾ナビ」は、「塾えらびは塾ナビ」といわれ、前期の年間訪問者が1230万人を突破し、口コミが11万件以上、掲載教室数が4万2000教室以上と3年連続で業界トップとなり、さらに口コミサイト「みんなの学校情報」、「家庭教師の比較ネット」への横展開、新サイト「習い事ナビ」、「医学部受験マニュアル」などのリリースが加わったことなどが要因となっている。

 また、もう一つメディアサービス事業の金融業界向けも、ポータルサイトの「みんなのカードローン」、「BEST証券比較」、「FX比較オンライン」が、規制緩和を受けたネット金融専業企業の増加、消費者ローンの非対面取引の拡大、リーマンショック後の外国為替証拠金取引(FX)の預り証拠金残高の続伸など消費者側の選択肢が年々多様化・拡大するなか複数の対象商品の比較ニーズが高まる好環境が続いている。

 一方、相次いだM&Aは、6月に学生向けポータルサイト「キャスティ」の運営事業を3500万円で買収し、7月には、地域ポータルサイト「ビットストリート」を運営するAcuz(東京都千代田区)の全株式を取得して完全子会社化している。「キャスティ」は、学生生活・部活・趣味・勉強法・悩み事など約1000件の掲示板を持ち、同社の教育メディアサービス事業との親和性が高く事業領域を拡大し、「ビットストリート」は、グルメ・教育保健・医療健康・ファッション美容など25ジャンルの10万店舗超の掲載店舗と約25万件の口コミを全国の9494駅ごとにまとめて掲載し企業規模の拡大につながるもので、いずれも即戦力として寄与する見込みである。

■25日線から9%超のマイナスかい離とダメ押しをしリバウンド幅拡大へ

 株価は、今期第1四半期(2015年12月~2016年2月期、1Q)の好決算を手掛かりに上場来高値3740円まで買い進まれ、昨年7月の新規株式公開(IPO)時の公開価格1930円から9割超高となった。最高値後は、今期第2四半期(2015年12月~2016年5月期、2Q)の好決算、6月、7月のM&Aなど好材料が出るたびに高値を窺う好反応をしたが、足元では全般波乱相場の波及もあって3000円台を下抜け下値探りが続いていた。最高値からほぼ3カ月を経過し、株価水準も、25日移動平均線から9.8%超のマイナスかい離とダメ押し、目先の日柄・値幅調整一巡感を強めており、一段の戻りを試そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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