【アナリスト水田雅展の銘柄分析】山田コンサルティンググループは高値圏での自律調整一巡感、中期成長力を評価して14年8月高値試す

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 経営・財務・M&Aなどコンサルティング事業を展開する山田コンサルティンググループ<4792>(JQS)の株価は、高値圏3100円~3300円近辺で堅調に推移して自律調整一巡感を強めている。2%台後半の高配当利回りや自己株式取得も評価材料であり、中期成長力を評価して14年8月高値3450円を試す展開だろう。

 各種コンサルティング事業を展開するグループの純粋持株会社である。傘下の事業会社では、山田ビジネスコンサルティングが経営・財務・事業承継・M&A支援などの経営コンサルティング事業、山田FASがM&A・企業再編の財務アドバイザイリー業務や中堅・中小企業対応M&A関連業務などの資本・株式・株主に関するコンサルティング事業、山田不動産コンサルティングが不動産有効活用などの不動産コンサルティング事業、東京ファイナンシャルプランナーズがFP資格取得講座などのFP関連事業、キャピタルソリューションおよび投資事業有限責任組合が投資ファンド事業(事業承継ファンド)を展開している。

 中期経営目標としてROE20%以上を掲げ、重点戦略としては、大手金融機関・証券会社・地方金融機関・提携会計事務所との連携強化、中堅・中小企業対応M&A関連分野の拡大、中国現地法人およびシンガポール支店を拠点とした中国・アジア展開の強化などを推進している。投資ファンド事業では、事業承継問題を抱えている優良な中堅・中小企業をターゲットとして、投資リスクを最小限に抑えながら投資案件を発掘している。

 コンサルティングニーズが「事業再生」に加えて「事業成長」も顕在化し、今後その傾向が高まってくると見込んでいるため、こうしたニーズに対応すべく「事業再生コンサルティング中心」から「事業成長コンサルティング」も大きな柱とするビジネスモデルへの変換も進めている。

 今期(15年3月期)の連結業績見通し(10月23日に増額修正)は、売上高が前期比8.3%増の84億円、営業利益が同11.9%増の19億20百万円、経常利益が同9.6%増の19億70円、純利益が同26.0%減の12億円としている。配当予想(5月8日公表)は年間90円(第2四半期末45円、期末45円)で、13年10月1日付の株式100分割を考慮すると実質的に前期比10円増配となる。

 第2四半期累計(4月~9月)は前年同期比20.0%増収、同17.8%営業増益、同27.5%経常増益、同12.4%最終減益で、売上高、利益とも計画を上回った。大型案件も寄与して受注が好調に推移した。営業外での為替差益計上も寄与した。そして通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が49.4%、営業利益が50.1%、経常利益が53.0%、純利益が53.9%と順調な水準である。

 通期ベースでは、前期計上した関係会社株式売却益や子会社間合併に伴う繰延税金資産計上の一巡で最終減益見通しだが、専門コンサルとしての認知度が向上した効果で、経営コンサルティング事業、資本・株式・株主に関するコンサルティング事業、不動産コンサルティング事業が順調に推移して増収増益見通しだ。大型案件の計上や投資ファンド事業のイグジットなどで収益が変動しやすい収益構造だが、中期的にも収益拡大基調だろう。

 なお14年5月に発表した自己株式取得(取得株式総数の上限10万株、取得価額総額の上限20億円、取得期間14年6月1日~15年3月20日)については、14年12月31日時点の累計で取得株式総数が3万8500株、取得価額総額が1億1732万4400円となっている。

 株価の動きを見ると、14年11月の戻り高値3380円から利益確定売りで一旦反落したが、大きく下押すことなく15年1月以降は高値圏3100円~3300円近辺で堅調に推移している。今期増収増益見通しを評価する動きだろう。

 1月22日の終値3200円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS248円93銭で算出)は12~13倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間90円で算出)は2.8%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1518円77銭で算出)は2.1倍近辺である。

 日足チャートで見ると一旦割り込んだ25日移動平均線を回復して自律調整一巡感を強めている。また週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって強基調を維持している。2%台後半の高配当利回りや自己株式取得も評価材料であり、中期成長力を評価して14年8月高値3450円を試す展開だろう。

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