【編集長の視点】ヒロセ通商は続急落も総合利回り9%超の株主優待の権利取りが再燃し最高値奪回が有望

 ヒロセ通商<7185>(JQS)は、59円安の1233円と続急落して始まっている。同社株は、前日29日の前場取引時間中に上場来高値1379円まで買い進まれており、きょう30日に日経平均株価が、59円安と小反落してスタートしたこともあり、目先の利益を確定する売り物が先行している。ただ、下値には、今年8月19日に発表した株主優待制度の導入に手掛かりに、この優待制度と前3月期に実績配当16円を合計した総合利回りは、9%超と市場平均を大きく上回るとして優待制度の権利を取る買い物が継続している。同社の外国為替証拠金取引(FX)事業の月次動向が、日米の中央銀行の金融緩和策、政策金利引き上げ策の影響を受けて続伸していることも業績期待を高めており、最高値奪回に再騰する展開も想定される。

■今期1Q営業収益は26%増と伸び7月度の月次営業収益も続伸

 株主優待制度は、株主の日頃からの支援に感謝するとともに、同社株の投資魅力を高め多くの株主に中長期的に保有してもらうことを目的に導入した。優待内容は、9月30日を基準日に100株以上~1000株未満の同社株式を保有する株主には同社キャンペーン商品を1万円相当、1000株以上保有する株主には3万円相当を贈呈する。キャンペーン商品は、8月についてはLIONチャーハン、若鶏のから揚げなど4商品となっている。同社は、今3月期配当を未定としているが、前期配当は16円(前々期実績6円)に大幅増配しており、これと株主優待制度を合計した総合利回りは、9.40%となり、日銀が導入しているマイナス金利に伴う低金利状況下で高利回り評価を高めている。

 一方、同社の今3月期業績は、主要業務の外国為替証拠金取引(FX)事業が、為替変動率やマーケット環境に大きく影響を受け業績予測は困難として開示せず、その代わりに月次の営業収益などを早期に発表するのを業績開示方針している。今年7月29日に発表した今3月期第1四半期(2016年4月~6月期、1Q)業績は、営業収益19億6400万円、営業利益7億1200万円、経常利益6億9300万円、純利益4億4500万円となった。四半期決算は初作成となるため前年同期比較はないが、営業収益は前年同期比26.6%増と大きく伸びた。

 1Q決算発表後の8月12日に開示した7月度の営業収益は、5億5300万円と前年同月より1.6%増と続伸し、顧客口座数40万668口座(同24.7%増)、取引高4528億6500万円通貨(同57.5%増)、預り証拠金残高386億100万円(同17.3%増)となった。通常のFX取引の投資単位が1万通貨単位としているのに対して、同社は1000通貨単位と小口化しており、「オリコン顧客満足度ランキングFX部門」で3年連続でトップと評価されたことなどが要因となっている。今後も、9月20日から同時開催されるFRB(米連邦準備制度理事会)のFOMC(公開市場委員会)では政策金利の再利上げ、日銀の金融政策決定会合ではマイナス金利の深掘り(利下げ)などが予想され為替変動率が高まる方向にあり、同社業績への期待も高まる。

■実績ベースのPER7倍台の超割安修正で最高値奪回から上値チャレンジ

 株価は、今年3月の新規株式公開(IPO)時に初値を公開価格と同値の830円でつけ、期末の配当権利取りも加わりストップ高を交えて1050円高値まで買い上げられ、権利落ちに全般相場の波乱も重なって上場来安値580円へ調整した。同安値から公開価格割れは下げ過ぎとして底上げ、1Q好決算でストップ高、7月度月次営業収益の続伸でも再度ストップ高してIPO時高値を上抜き、株主優待制度導入を歓迎して最高値追いとなり、スピード調整局面となっている。総合利回りは9.40%、PERは、前期実績ベースでも7倍台となお割安であり、インカムゲイン妙味とともにキャピタルゲイン(値上がり益)妙味も強めて上値チャレンジに弾みをつけそうだ。(本紙編集長・浅妻昭治)

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