【編集長の視点】クレステックは反落もV字回復業績と増配を見直し割安株買いが再燃方向

 クレステック<7812>(JQS)は、7円安の705円と4営業日ぶりに反落して始まっている。今年2月につけた上場来安値660円に並ぶ安値水準からの底上げ途上にあり、目先の利益を確定する売り物が先行している。ただ下値には、同社の今6月期業績が下方修正続きとなった前期業績と様変わりのV字回復を予想されており、前期に減配した配当も増配を予定していることを見直し割安修正期待の買い物も交錯している。

■前期の下方修正要因が一巡し医薬品・医療機器向けなど新規顧客取引を拡大

 同社の今2017年6月期業績は、売り上げ139億3100万円(前期比10.6%減)、営業利益6億5200万円(同22.3%増)、経常利益5億4900万円(同63.0%増)、純利益2億5400万円(同24.6%増)と予想され、売り上げは減収転換するが、利益は2ケタ増益転換する。前期業績は、フィリピンでの倉庫改装の認可遅れによる一時的費用の発生や退職給付年金費用の負担増、円高に伴い前々期の為替差益が前期に差損に変わったことなどで期中に2回も下方修正され減益転換率を悪化させたが、今期は、この減益要因がすべて一巡し、医薬品・医療機器メーカーや生活用品メーカーなどの新たな業種の顧客との取引を拡大し、既存顧客の深掘りとしてIT・新メディア活用による新ソリューションを提供することなどが寄与する。なお今期の想定為替レートは、1ドル=100円を前提にしている。

 配当は、前期業績が減益転換したことから配当性向を30%以上とする配当政策に従って前期は、年間20円(前々期実績30円)に減配したが、今期は、業績のV字回復に伴い配当性向30%以上のクリアに向け年間26円へ増配を予定している。

■PER8倍台、PBR0.7倍、配当利回り3.6%の割安修正でまず公開価格奪回

 株価は、今年2月の前期業績の1回目の下方修正と自己株式取得が綱引きとなったものの、上場来安値660円まで突っ込み、2015年7月の新規株式公開(IPO)時の公開価格960円割れは下げ過ぎとして798円と反発した。続いて5月の2回目の下方修正と自己株式取得が綱引きして下値を探ったあと939円まで戻した。8月10日発表の今期業績の増益転換・増配予想では700円台出没を繰り返しているが、PERは8倍台、PBRは0.7倍、配当利回りは3.68%と割安顕著となっており、まず公開価格奪回を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■古典計算の限界を超えたシミュレーションを実現、5~10年以内の産業応用を視野に  理化学研究所は…
  2. ■ヤンマー開発の給餌システム、尾鷲物産の現場で実装  FOOD & LIFE COMPANIES(…
  3. ■北海道大樹町で飛行、安全性と着地精度を実証  ホンダ<7267>(東証プライム)の研究開発部門で…
2025年7月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  

ピックアップ記事

  1. ■九州地盤銘柄に割安感、福証単独上場企業にも注目集まる  東京エレクトロンやアドバンテストなどの半…
  2. ■参院選で与党過半数割れ、石破政権の行方不透明に  7月20日投開票の参議院議員選挙は、大手メディ…
  3. ■5月訪日客数が過去最高、6月も好調持続の見込みで市場活況  足元のインバウンド需要は、好調に推移…
  4. ■インバウンド関連株は「トランプ関税」のリーチ圏外で小型割安株特性を発揮  「たかが1%、されど1…
  5. ■内需株に広がる「トランプ・ディール」回避の波  東京電力ホールディングス<9501>(東証プライ…
  6. ■日米関税交渉、7月9日に運命の日「90日猶予」迫る潮目  「三日、三月、三年」とは、潮目、変わり…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る