ストリームは17年1月期第2四半期累計の利益を増額

 ストリーム<3071>(東マ)は家電やパソコンなどのネット通販事業を主力として、子会社エックスワンはインバウンド需要に対応した化粧品販売事業を強化している。9月7日、17年1月期連結業績予想の修正を発表した。売上高は計画を下回るが、販管費抑制効果などで第2四半期累計の利益予想を増額修正した。株価は安値圏モミ合いだが下値固め完了感を強めている。第2四半期累計利益増額を好感する動きを強めそうだ。なお9月8日に第2四半期累計業績発表を予定している。

■家電製品やパソコンなどのネット通販が主力

 家電製品、パソコン、デジタルカメラなどを販売するネット通販サイト「ECカレント」「イーベスト」「特価COM」の運営(インターネット通販事業)を主力として、各種販売支援事業、オンライン・ゲーム事業、および14年2月扶桑化学工業<4368>から株式80%取得して子会社化したエックスワンの化粧品・健康食品販売事業を展開している。16年1月期の事業別売上高構成比(連結調整前)はインターネット通販事業89%、その他事業11%だった。

 なお17年1月期から事業セグメント区分をインターネット通販事業、ビューティー&ヘルスケア事業、その他事業(各種販売支援事業およびオンライン・ゲーム事業)に変更した。従来のその他事業をビューティー&ヘルスケア事業に名称変更し、従来のインターネット通販事業に含まれていた各種販売支援事業およびオンライン・ゲーム事業をその他事業とした。

■インターネット通販事業はアイテム数充実や適正利益確保などを強化

 インターネット通販事業では売れ筋商材の確保、アイテム数の充実、在庫の適正化、適正利益の確保などを推進し、16年4月ネット通販サイト「ECカレント」および子会社イーベストのネット通販サイト「イーベストCD・DVD館」を、総合オンラインストアAmazon内の「Amazonマーケットプレイス」に新規出店した。

■ビューティー&ヘルスケア事業は新製品投入でインバウンド対応を強化

 子会社エックスワンのビューティー&ヘルスケア事業は、訪日外国人旅行客のインバウンド需要も追い風として拡大基調であり、さらに免税店での販売強化や新製品の開発・投入を推進している。

 14年9月ラオックス<8202>と提携してエックスワンのコスメティック関連商品をラオックス免税店で販売開始、14年12月エックスワンの幹細胞コスメ・シリーズ「XLUXES(エックスリュークス)」の免税店舗における販売でラオックス独占とした。ラオックスにおける16年1月期末のエックスワン商品取扱店舗数は全国25店舗となった。

 15年5月エックスワンが専用エステ・サロン「XLUXES AOYAMA」を青山・骨董通りに、幹細胞コスメ「XLUXES」を主力としたコスメ・ブティック「XLUXES GINZA」を銀座八丁目に路面店として開設した。16年4月には東京・青山に美容総合スクール「ビューティーマスターカレッジ(BMC)」を開校した。

 新商品では15年3月エックスワンがタカラバイオ<4974>の研究開発素材を用いた健康維持サプリ「Xフコイダン テルペン」を発売、15年8月エイジングケアサプリメント「XELESANTE(エックスエレサンテ) BioxSuiso(バイオックス水素)」を発売、16年1月液体栄養ドリンク「エックスワンVLゴールド」を発売した。

 16年6月には多様化するインバウンド需要に対応した新スキンケアシリーズ「ORIGAMI(オリガミ)」を発表し、大和撫子の代名詞として中国で人気の高い酒井法子さんをイメージキャラクターに起用した。

■品揃え強化や売上総利益率上昇で収益改善基調

 四半期別推移を見ると、16年1月期の売上高は第1四半期58億32百万円、第2四半期59億12百万円、第3四半期51億24百万円、第4四半期61億50百万円、営業利益は93百万円、1億37百万円、37百万円、1億08百万円だった。なおエックスワンの会員収入が期末に集中するため、エックスワンの収益は第4四半期の構成比が高くなる季節要因がある。

 16年1月期は15年1月期比2桁増収増益となり収益改善基調である。インターネット通販事業が品揃えの強化や売上総利益率の上昇などで同11.6%増収、同9.3%営業増益、その他事業がインバウンド需要を追い風に同47.5%増収、同2.6倍営業増益と好調に推移した。

 売上総利益は同25.1%増加し、売上総利益率は20.9%で同2.0ポイント上昇した。販管費は同24.4%増加し、販管費比率は19.3%で同1.8ポイント上昇した。特別利益では負ののれん発生益が一巡し、特別損失では情報セキュリティ対策費や事務所移転費用などが一巡した。ROEは20.2%で同4.4ポイント低下、自己資本比率は34.0%で同1.9ポイント上昇した。配当は無配を継続した。

■17年1月期第1四半期は経費増加で減益だが売上総利益率は上昇

 今期(17年1月期)第1四半期(2~4月)の連結業績は、売上高が前年同期比4.6%減の55億62百万円、営業利益が同1.2%減の92百万円、経常利益が同8.3%減の83百万円、純利益が同30.6%減の67百万円だった。インバウンド需要における高額品大量購入の一巡、販売経費の増加などで減収減益だが、売上総利益率は上昇傾向を強めている。

 売上総利益は同11.8%増加し、売上総利益率は22.0%で同3.3ポイント上昇した。販管費は同13.0%増加し、販管費比率は20.3%で同3.2ポイント上昇した。営業外では為替差損益が悪化し、支払手数料が増加した。特別利益では受取補償金が一巡した。

 セグメント別(連結調整前)の動向を見ると、インターネット通販事業は売上高が48億円で営業利益が1億13百万円、ビューティー&ヘルスケア事業は売上高が5億93百万円で営業利益が12百万円、その他事業は売上高が2億91百万円で営業利益が21百万円だった。

 インターネット通販事業をカテゴリー別に見るとSIMフリー端末、パソコン・OA関連商品、家電製品、調理家電が堅調だったが、周辺機器・デジタルカメラが低調だった。ビューティー&ヘルスケア事業の売上高内訳はパーソナルケア(化粧品)が5億02百万円、ヘルスケア(健康食品)が73百万円、その他が17百万円だった。なお16年1月会員募集開始した「X-oneショッピングクラブ」会員数も順調に拡大しているようだ。

■17年1月期業績予想を修正、第2四半期累計の利益を増額

 9月7日、今期(17年1月期)連結業績予想の修正を発表した。売上高はインターネット通販事業の売上不振、ビューティー&ヘルスケア事業で展開する国内免税店における訪日観光客向けの売上減少、オンライン・ゲームの配信時期遅延などで第2四半期累計(2~7月)および通期とも計画を下回るが、ビューティー&ヘルスケア事業における広告宣伝費や各種手数料など販管費抑制効果で第2四半期累計の利益を増額した。

 修正後の第2四半期累計は前回予想(3月14日公表)に対して、売上高が12億47百万円減額して前年同期比3.8%減の112億95百万円、営業利益が61百万円増額して同40.0%減の1億38百万円、経常利益が53百万円減額して同47.6%減の1億24百万円、純利益が30百万円増額して同55.2%減の91百万円とした。

 通期の連結業績予想については、前回予想(3月14日公表)に対して、売上高が26億43百万円減額して前期(16年1月期)比0.0%減の230億08百万円、営業利益は据え置いて同36.8%増の5億13百万円、経常利益は据え置いて同33.0%増の5億円、純利益は据え置いて同27.7%増の3億88百万円とした。配当予想は無配継続としている。

 通期の売上高については第3四半期(8~10月)以降も回復が見込まれないとして減額したが、インターネット通販事業における商品特性を踏まえた価格政策による利益率改善、さらにグループ全体での販管費抑制効果などで通期利益予想を据え置いた。通期予想に対する修正後の第2四半期累計の進捗率は低水準の形だが、エックスワンの会員収入が期末に集中するため期初時点で下期偏重の計画であり、通期ベースで収益改善基調に変化はないだろう。

■20年東京五輪に向けてテレビ買い替え需要も期待

 重点戦略として、インターネット通販事業ではWEBマーケティングによる販促強化、販売効率の向上、販売価格の適正化と粗利益の確保などの施策を強化し、子会社エックスワンでは、訪日外国人旅行客をターゲットとする免税店での販売強化、新製品の開発・販売を推進する。20年東京夏季五輪に向けてテレビ買い替え需要も期待され、収益は改善基調だろう。

■株主優待制度は1月期末に実施

 株主優待制度については毎年1月31日現在の株主に対して実施している。優待内容は100株以上~2500株未満所有株主に対して優待割引券1枚(1000円相当)、2500株以上~5000株未満所有株主に対して優待割引券3枚(3000円相当)、5000株以上所有株主に対して優待割引券5枚(5000円相当)を贈呈する。

■株価は下値固め完了感

 株価の動きを見ると、安値圏でのモミ合い展開だが、2月の年初来安値を割り込むことなく、140円近辺で推移して下値固め完了感を強めている。

 9月7日の終値138円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS14円27銭で算出)は9~10倍近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS60円88銭で算出)は2.3倍近辺である。時価総額は約39億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形だが、下値固めが完了し、第2四半期累計利益増額を好感する動きを強めそうだ。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)

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