フライトホールディングスは年初来高値更新して基調転換確認、17年3月期は新製品寄与して黒字化予想

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 フライトホールディングス<3753>(東2)は電子決済ソリューションを主力として、システム開発やECソリューションも展開している。17年3月期は新製品が寄与して黒字化予想である。株価は8月17日に「incredist premium」がドコモ「iD」に対応したとの発表を好感して動意づき、6月高値を突破して9月8日の年初来高値537円まで上伸した。目先的には過熱感を強めているが、基調転換を確認した形であり、上値を試す展開だろう。

■システム開発や電子決済ソリューションなどを展開

 フライトシステムコンサルティングが13年10月持株会社に移行してフライトホールディングスに商号変更した。14年10月にはECサイト構築パッケージソフトのイーシー・ライダー(14年11月DRAGON TECHNOLOGYから商号変更)を子会社化した。

 システム開発・保守などのコンサルティング&ソリューション(C&S)事業、電子決済ソリューションなどのサービス事業、B2B向けECサイト構築パッケージなどのECソリューション事業を展開している。16年3月期セグメント別売上高構成比(連結調整前)はC&S事業29.6%、サービス事業68.6%、ECソリューション事業1.9%だった。

■電子決済ソリューション分野に強み

 電子決済ソリューション分野では、スマートデバイス決済専用マルチ電子決済端末「incredist(インクレディスト)」と、スマートデバイス決済専用アプリ「ペイメント・マイスター」を展開している。

 スマートデバイス決済専用アプリ「ペイメント・マイスター」は、iPhoneやiPadをクレジットカード決済端末に利用する大企業向け国内初のBtoB決済ソリューションである。10年9月に提供開始し、高級ホテル・レストラン・観光タクシー・旅行代理店など幅広い業種に導入されている。

 13年4月にはJ-Debit、電子マネー、銀聯カード、クレジットカードといったカードの読み取りを1台で実現できる、スマートデバイス決済専用マルチ電子決済端末「incredist」を販売開始した。

■アライアンスも活用して事業展開

 15年9月イーシー・ライダーがラクーン<3031>と業務提携して、イーシー・ライダーのBtoB向けECサイト構築システム「EC-Rider B2B」とラクーンのBtoB掛売り・請求書決済代行サービス「Paid」を連携した。

 15年12月フライトシステムコンサルティングが、ソフトバンクロボティクスの人型ロボット「Pepper」の法人モデル「Pepper for Biz」向けロボアプリパートナーとして認定された。

 16年4月イーシー・ライダーがportia(ポーシャ)と業務提携し、BtoB向けECサイト構築システム「EC-Rider B2B」とポーシャの企業向けオンラインリアルタイム決済システム「portia」を連携した。またイーシー・ライダーがGMOインターネット<9449>のクラウドサービス「ConoHa byGMO」を基盤に採用した「EC-Rider B2B」新プランを発表した。

■海外展開も加速

 14年12月「ペイメント・マイスター」および「incredist」の拡販に向けて米国子会社FLIGHT SYSTEM USAを設立した。ICチップ付きクレジットカード決済(EMV決済)やApple PayなどのNFC決済においてグローバル展開を推進する。15年12月にはアジアを中心とした電子決済ソリューション事業展開に向けてFLIGHT台湾を設立した。

 16年5月にはフライトシステムコンサルティングが、EUでクレジットカード・アクワイアリング事業を行うCredoraxと業務提携した。フライトシステムコンサルティングの「ペイメント・マイスター」をCredoraxに接続し、クレジットカード決済装置の新製品「incredist premium」を活用したタブレット連動型カード決済ソリューションをEU圏で広く展開していく。接続完了は16年8月頃の予定としている。

■新製品を積極投入

 15年10月フライトシステムコンサルティングが北米市場向けにタブレット連動型クレジットカード決済装置の新製品「incredist premium」を発表した。磁気クレジットカード、接触型ICクレジットカード(EMV)、非接触型ICクレジットカード(コンタクトレスEMV)、および日本独自の電子マネーに対応した決済端末である。

 米国子会社FLIGHT SYSTEM USAは、米国の大手決済センター事業者PIVOTALと業務提携した。PIVOTALのGlobalOneサービスと協業して、新製品「incredist premium」の北米での販売を強化する。

 16年3月新製品「incredist premium」の日本国内での販売を開始した。米国ではセキュリティー基準審査を依頼中であり、審査が終了次第、米国子会社FLIGHT SYSTEM USAを通じて米国での販売を開始する。

 16年6月にはフライトシステムコンサルティングが、スマートデバイス決済専用アプリ「ペイメント・マイスター」の新たなラインナップとして、トッパン・フォームズ<7862>のグループ会社であるTFペイメントサービス(TFPS)と連携し、電子マネー対応版「ペイメント・マイスター for Thincacloud」の提供を開始した。第一弾の電子マネーブランドとしてNTTドコモ<9437>の「iD(アイディー)」がサービスインする。

 また8月17日には、タブレット向けマルチ決済装置の新製品「incredist premium」が電子マネーに対応し、第一弾としてNTTドコモの後払い電子マネー「iD」がサービスインしたと発表した。

■サービス事業の大型案件が影響する収益構造

 四半期別推移を見ると、15年3月期は売上高が第1四半期3億59百万円、第2四半期3億円、第3四半期2億38百万円、第4四半期6億95百万円、営業利益が7百万円の赤字、58百万円の赤字、77百万円の赤字、83百万円の黒字、16年3月期は売上高が1億83百万円、2億61百万円、1億73百万円、13億38百万円、営業利益が1億43百万円の赤字、79百万円の赤字、1億33百万円、2億63百万円だった。

 サービス事業における大型案件の売上計上が影響する収益構造だ。15年3月期は新規大型案件の先送りが影響し、16年3月期第4四半期は新製品「incredist premium」大型案件納品が寄与した。

 16年3月期は新製品「incredist premium」大型案件納品で増収だったが、開発費発生やECソリューション事業における固定費先行などで利益は赤字が拡大した。売上総利益は15年3月期比23.5%増加し、売上総利益率は25.9%で同0.1ポイント上昇した。販管費は同27.5%増加し、販管費比率は30.6%で同1.1ポイント上昇した。自己資本比率は22.0%で同10.8ポイント低下した。配当は無配を継続した。

 セグメント別(連結調整前)動向を見ると、C&S事業は売上高が同6.2%減の5億82百万円で営業利益が同3.3倍の11百万円、サービス事業は売上高が同40.2%増の13億51百万円で営業利益が同8.0%増の1億77百万円、ECソリューション事業は売上高が同54.8%増の36百万円で営業利益が46百万円の赤字(前々期は19百万円の赤字)だった。

 C&S事業は人材採用が計画どおりに進まず、サービス事業の立ち上げに要員を投入したため減収だったが、営業損益は改善した。サービス事業は新製品「incredist premium」大型案件納品で大幅増収だが、同製品の開発費発生のため営業損益は伸び悩んだ。ECソリューション事業は事業立ち上げのため固定費が先行して発生している。

■17年3月期第1四半期は赤字縮小

 今期(17年3月期)第1四半期(4~6月)の連結業績は売上高が前年同期比10.6%増の2億02百万円、営業利益が1億03百万円の赤字(前年同期は1億43百万円の赤字)、経常利益が1億15百万円の赤字(同1億52百万円の赤字)、純利益が1億16百万円の赤字(同1億53百万円の赤字)だった。増収効果や販管費抑制効果で赤字が縮小した。

 売上総利益は同5.4倍増加し、売上総利益率は23.7%で同18.8ポイント上昇した。販管費は同1.1%減少し、販管費比率は74.7%で同8.8ポイント低下した。営業外費用では為替差損10百万円を計上した。

 セグメント別(連結調整前)動向を見ると、C&S事業は売上高が同4.6%増の1億25百万円で営業利益が6百万円の赤字(同9百万円の赤字)、サービス事業は売上高が同5.1%減の59百万円で営業利益が30百万円の赤字(同46百万円の赤字)、ECソリューション事業は売上高が同3.2倍の18百万円で営業利益が0百万円の赤字(同19百万円の赤字)だった。

■17年3月期は黒字化予想、新製品も寄与して収益改善期待

 今期(17年3月期)通期の連結業績予想(5月20日公表)は、売上高が前期(16年3月期)比7.4%増の21億円で、営業利益が60百万円の黒字(前期は92百万円の赤字)、経常利益が50百万円の黒字(同1億28百万円の赤字)、純利益が30百万円の黒字(同1億62百万円の赤字)としている。配当は無配継続としている。

 C&S事業は前期からの仕掛案件や既存顧客のデータセンター移転案件に注力するほか、ITインフラのクラウド移行の営業を強化する。サービス事業は既存大口顧客に対する追加導入の提案活動、Apple Payを含むコンタクトレスEMVや電子マネーにも対応する新製品「incredist premium」の開発・販売に注力する。ECソリューション事業はカスタマイズ対応や越境ECにフォーカスして、BtoB向けECサイト構築パッケージ「EC-Rider B2B」の販売に注力する。

 利益面では、新製品「incredist premium」販売活動で前期に積み残した北米での検定費用、EU圏、台湾、シンガポールなどでの検定費用、Apple Pay到来に伴う決済センターとの接続など、1億円規模の開発費が発生する見込みだが、増収効果で吸収して黒字化予想だ。なおApple Pay開始時期が未確定のため、Apple Payが開始された場合に想定し得る売上については織り込んでいない。Apple Payが開始されたタイミングで売上・利益に関する見直しを行う予定としている。新製品の寄与で収益改善が期待される。

■株価は基調転換を確認して上値試す

 株価の動きを見ると安値圏300円台で推移していたが、8月17日に「incredist premium」がドコモ「iD」に対応したとの発表を好感して動意づき、6月高値を突破して9月8日の年初来高値537円まで上伸した。
8月17日に新製品「incredist premium」がドコモ「iD」に対応したとの発表を好感して8月17日に400円、そして18日に428円まで急伸する場面があった。

 9月9日の終値487円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS5円29銭で算出)は92倍近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS32円92銭で算出)は15倍近辺である。時価総額は約46億円である。

 日足チャートで見ると、25日移動平均線に対するプラス乖離率が20%を超えて、目先的にはやや過熱感を強めている。ただし週足チャートで見ると、26週移動平均線と13週移動平均線を一気に突破して基調転換を確認した形である。上値を試す展開だろう。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)

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