【アナリスト水田雅展の銘柄診断】モブキャストは急反発して底打ち感、15年12月期収益拡大への期待感で出直り

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 ゲーム開発・配信のモブキャスト<3664>(東マ)の株価は、900円~1000円近辺でのモミ合いから下放れの形となったが、1月13日711円から急反発し、800円近辺まで戻して底打ち感を強めている。今期(15年12月期)収益拡大への期待感で出直り展開だろう。なお2月12日に前期(14年12月期)の決算発表を予定している。

 プロ野球ゲーム「モバプロ」やサッカーゲーム「モバサカ」など、スポーツ分野に特化したモバイルスポーツメディア「mobcast」運営とゲーム開発・配信を展開している。経営資源をモバイルエンターテインメント事業に集中するため、14年2月に子会社モブキャストグローバルのPCオンラインゲーム事業を譲渡し、4月にはモブキャストグローバルを吸収合併した。

 自社ゲーム開発を強化するとともに、プラットフォームを開放して外部ディベロッパー製のゲーム配信と海外展開も強化している。13年4月には韓国で「mobcast」をオープンして「モバサカ」の配信を開始した。13年8月には世界有数のモバイルゲームディストリビューターであるブースターメディア(オランダ)と業務提携、13年12月には韓国のモバイルゲーム大手COM2USと業務提携した。

 14年12月には、IQUE社が運営するマルチSNSキャンペーンツール「Soraps」の事業を譲り受けた。国内外のアプリディベロッパーに向けて、アプリパブリッシングを支援するプラットフォームサービスを提供していくとしている。

 スマートフォン向けゲームを3作展開するMGGC(モブキャスト・グローバル・ゲーム・チャレンジ)プロジェクトの第一弾として、14年12月に「ドラゴンスピンZ」をリリースした。さらに1月14日には、MGGC第二弾となる超思考型ミステリアスパズル「18(エイティーン)~キミトツナガルパズル~」を近日中に配信すると発表している。

 前期(14年12月期)の連結業績見通し(10月15日に売上高を減額、利益を増額)については、売上高が39億円~41億円(前々期比24.7%減~20.8%減)、営業利益が2億50百万円~3億円(前期は4億45百万円の赤字)、経常利益が2億50百万円~3億円(同4億04百万円の赤字)、純利益が1億30百万円~1億60百万円(同6億57百万円の赤字)としている。

 ブラウザゲームを中心とした自社開発タイトルの売上が減少していること、ネイティブアプリゲーム「ドラゴンスピンZ」の投入が遅れたことを主因として大幅減収だが、固定費や広告宣伝費の抑制などが寄与して黒字化見通しだ。

 四半期別売上高を見ると、第1四半期(1月~3月)11億07百万円、第2四半期(4月~6月)9億25百万円、第3四半期(7月~9月)9億11百万円となり、第3四半期には既存タイトルの売上減少に概ね歯止めがかかった形だ。14年9月末時点の会員数(日本と韓国の合計)は600万人を突破した。自社タイトルのアプリストア最適化を目的としたリニューアルを実施した効果で第3四半期に70万人増加したようだ。

 通期見通し(レンジ上限値)に対する第3四半期累計(1月~9月)の進捗率は売上高が71.8%、営業利益が73.3%、経常利益が73.7%、そして純利益が83.8%と順調な水準である。12月リリースの「ドラゴンスピンZ」が寄与して通期増額の可能性もあるだろう。さらに今期(15年12月期)は「ドラゴンスピンZ」および「18~キミトツナガルパズル~」の本格寄与で一段の収益拡大が期待される。

 なお1月21日に、行使条件に該当しなくなったストックオプション(新株予約権)全部の無償取得および消却を行い、15年12月期第1四半期(1月~3月)に特別利益として、新株予約権戻入益約7百万円を計上すると発表している。

 株価の動きを見ると、900円~1000円近辺でのモミ合いから下放れの形となり、14年10月安値810円を割り込んで水準を切り下げた。ただし1月13日の711円から急反発し、800円近辺まで戻して底打ち感を強めている。

 1月23日の終値781円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社レンジ予想連結EPSの上限値11円40銭で算出)は69倍近辺、前々期実績PBR(前々期実績の連結BPS131円96銭で算出)は5.9倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が抵抗線の形となったが、日足チャートで見ると底打ち感を強めている。今期収益拡大への期待感で出直り展開だろう。

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