ジオネクストは日柄調整完了して再動意の可能性、16年12月期営業黒字化目途で新たな成長戦略期待

 ジオネクスト<3777>(JQ)は16年12月期営業黒字化および上場廃止回避に目途が立ち、17年12月期以降の収益拡大に向けた新たな成長戦略に対する期待感が高まっている。フィンテック関連やホテル・民泊関連なども想定される。なお8月31日に「臨時株主総会招集のための基準日設定に関するお知らせ」をリリースしている。株価は急動意後の日柄調整完了感を強めている。残存する新株予約権全部取得により、潜在売り圧力が一掃されて上値の重しが取れている。新たな成長戦略に対する期待感で再動意のタイミングだろう。

■新経営陣の下で新たな成長戦略策定の動き

 14年4月ターボリナックスHDから現ジオネクストに商号変更した持株会社である。収益改善に向けた基本戦略として、14年開始の再生可能エネルギー事業(太陽光発電所開発・運営・O&Mサービス、地熱・温泉バイナリー発電開発)に収益柱をシフトし、ヘルスケア事業(仙真堂の調剤薬局・サプリメント事業)もスタートした。

 そして16年3月就任した新経営陣の下で、新たな成長戦略策定に向けた動きが活発化している。

 16年5月には調剤薬局を運営する仙真堂の株式をGrand Gate Holdingsに譲渡した。これによって仙真堂は連結子会社から除外されるが、当社が仙真堂に対して店舗賃貸借契約および調剤薬局運営支援に関するアドバイザリー契約を締結する。

 16年8月には残存する新株予約権全部の取得を発表した。14年12月発行の第15回新株予約権340個(=3400万株)に関して残存する全部325個(=3250万株)を9月20日付で取得する。本新株予約権発行要項第13項に定める取得事由に抵触したため、残存する本新株予約権の全部を取得することとした。

 また8月31日には「臨時株主総会招集のための基準日設定に関するお知らせ」をリリースしている。16年10月下旬から11月中旬までの間に開催予定の臨時株主総会を招集するための基準日を9月16日とした。臨時株主総会の日程および付議議案の内容は決定次第、別途公表するとしている。

■継続企業の前提に疑義注記

 なお営業損失の発生および営業キャッシュ・フローのマイナスが10期継続して発生している。このため継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような状況が存在している。そして16年12月期に営業利益および営業活動によるキャッシュ・フローがいずれもマイナスとなった場合には、JASDAQ市場の上場廃止基準に抵触して当社株式は上場廃止となる。

■16年12月期営業黒字化と上場廃止回避に目途

 今期(16年12月期)第2四半期累計(1~6月)の連結業績は、売上高が前年同期比3.9倍の3億80百万円、営業利益が81百万円の黒字(前年同期は1億63百万円の赤字)、経常利益が83百万円の黒字(同1億96百万円の赤字)、純利益が20百万円の黒字(同1億99百万円の赤字)だった。

 再生エネルギー事業において、前期売電開始した三笠市弥生町太陽光発電所の売電収入、開発案件の譲渡、太陽光パネル関連における収益獲得などが牽引して黒字化した。調剤薬局運営で赤字が継続していた仙真堂の株式を売却して第2四半期(4~6月)から連結除外し、仙真堂調剤薬局の店舗運営支援等サービスを提供したことも寄与した。特別利益には関係会社株式売却益1億93百万円、特別損失には債権売却損2億24百万円を計上した。

 通期の連結業績予想(2月12日公表)は、売上高が前期(15年12月期)比22.5%増の9億76百万円、営業利益が44百万円の黒字(前期は1億47百万円の赤字)、経常利益が9百万円の赤字(同2億09百万円の赤字)、純利益が13百万円の赤字(同8億11百万円の赤字)としている。

 ただし第2四半期累計の営業利益が81百万円の黒字となり、通期会社予想の営業利益44百万円を超過達成している。通期営業利益は期初計画を上回る可能性が高く、通期営業黒字化に目途が立った。

■17年12月期以降の収益拡大に向けた新たな成長戦略が注目点

 今後は16年3月就任した新経営陣の下で、17年12月期以降の収益拡大に向けた新たな成長戦略が注目点となる。新規事業として、フィンテック関連やホテル・民泊関連なども想定されそうだ。

■株価は急動意後の日柄調整完了感、再動意のタイミング

 株価の動きを見ると、安値圏50円台でのモミ合いから上放れて急動意の展開となった。8月22日には112円まで上伸する場面があった。その後は80円近辺で推移して日柄調整完了感を強めている。

 日足チャートで見ると25日移動平均線が追いついて目先的な過熱感が解消している。また週足チャートで見ると13週移動平均線が26週移動平均線を上抜くゴールデンクロスが接近している。

 残存する新株予約権全部の取得によって、発行済株式総数4139万株に対し、122円以上において存在した新規3250万株もの潜在売り圧力が一掃され、上値の重しが取れている。新たな成長戦略に対する期待感も強く、日柄調整が完了して再動意のタイミングだろう。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)

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