フォーカスシステムズは動意づいて安値圏モミ合いから上放れ、AI・ロボット関連も注目点

 フォーカスシステムズ<4662>(東1)は公共関連・民間関連のシステム構築・保守・運用を主力としてセキュリティ機器関連事業も展開している。16年6月には医療事業へのAI活用に向けた共同研究を開始し、10月11日にはソフトバンクロボティクスのロボアプリパートナー認定取得を発表した。株価は10月上旬に動意づいて安値圏モミ合いから上放れの展開となった。AI・ロボット関連も注目点となって戻りを試す展開だろう。

■システム構築・保守・運用を主力としてセキュリティ機器関連事業も展開

 公共関連・民間関連のシステム構築・保守・運用・管理サービスを主力として、セキュリティ機器関連事業も展開している。16年3月期事業別売上高構成比は公共関連事業35%、民間関連事業59%、セキュリティ機器関連事業6%だった。

 顧客別に見るとNTTデータ<9613>関連および日本IBM関連を主力として、CTC(伊藤忠テクノソリューションズ)<4739>関連、沖電気<6703>関連、ソフトバンク<9984>関連などが続いている。

 16年5月には女性活躍推進法に基づく厚生労働大臣認定「えるぼし」企業に認定された。認定は基準を満たす項目数に応じて3段階あり、最も高い「3段階目」の最上位認定を受けた。

■中期成長に向けてAI・ロボット分野を開拓

 中期成長に向けた重点戦略として、需要が潤沢なインフラビジネス分野における技術者の育成、ノウハウ蓄積にも繋がる運用系業務分野におけるシェア拡大、業務アプリケーション分野における専門技術への取り組み強化による対応領域拡大を推進している。また民間関連事業では関東圏・近畿圏に加えて、東海圏での業務拡大に取り組んでいる。

 16年1月にはベトナムの日系ソフトウェア開発会社であるインディビジュアルシステムズ(IVS)社に出資した。協業関係を一段と強化する。

 16年4月には、日立製作所<6501>のシステム運用に必要なあらゆる情報を関連付けて一元管理できるクラウドサービス「Hitachi Cloudアプリケーション運用ナビゲーションサービス」の販売パートナーになったと発表した。当社の強みであるintra-martとの連携導入も可能なため、システム構築から運用までをトータルにサポートする。

 16年6月には洛和会ヘルスケアシステム、FRONTEO(フロンテオ)<2158>(UBICが7月1日付で社名変更)および当社が、病院経営や医療現場の運営に関わる意思決定や判断支援など、医療事業分野に人工知能(AI)を用いるための共同研究を開始すると発表した。

 10月11日には、ソフトバンクロボティクスのロボアプリパートナー(Basic)認定取得を発表した。さらに上位資格ロボアプリパートナー(Basic)with Microsoft Azureの認定取得を目指し、将来的にロボット分野への参入を目指すとしている。

■第4四半期の構成比が高い収益構造

 四半期別の業績推移を見ると、15年3月期は売上高が第1四半期35億83百万円、第2四半期37億03百万円、第3四半期35億90百万円、第4四半期42億05百万円、営業利益が99百万円、1億96百万円、2億40百万円、4億05百万円、16年3月期は売上高が35億42百万円、39億52百万円、42億02百万円、47億86百万円、営業利益が26百万円、1億75百万円、2億98百万円、4億54百万円だった。

 年度末にあたる第4四半期の構成比が高い収益構造である。16年3月期は受注が高水準で計画超の増収増益だった。売上総利益は15年3月期比4.4%増加したが、売上総利益率は13.3%で同0.7ポイント低下した。販管費は同6.8%増加したが、販管費比率は7.6%で同0.1ポイント低下した。特別利益には投資有価証券売却益を計上した。ROEは10.4%で同0.4ポイント上昇、自己資本比率は49.6%で同2.4ポイント上昇した。

 配当は年間16円(期末一括、普通配当12円50銭+記念配当3円50銭)で15年10月1日付株式2分割を考慮して年間32円に換算すると、15年3月期の年間25円(期末一括、普通配当10円+特別配当15円)に対して実質的に7円増配だった。配当性向は30.0%だった。

 セグメント別に見ると、公共関連事業は売上高が同6.7%増の57億34百万円で営業利益(連結調整前)が同2.4%減の8億35百万円、民間関連事業は売上高が同12.8%増の97億38百万円で営業利益が同13.1%増の11億87百万円、セキュリティ機器関連事業は売上高が同6.1%減の10億09百万円で営業利益が同12.7%減の1億73百万円だった。

■17年3月期第1四半期は増収減益

 今期(17年3月期)第1四半期(4~6月)の非連結業績は、売上高が前年同期比14.9%増の40億68百万円、営業利益が同22.8%減の20百万円、経常利益が同14.3%減の26百万円、純利益が同90.1%減の17百万円だった。

 受注増加に対応するための人材確保やビジネスパートナーへのコスト増加の影響で減益だったが、受注は高水準で2桁増収だった。売上総利益は同1.7%減少し、売上総利益率は9.3%で同1.6ポイント低下した。販管費は同0.2%減少し、販管費比率は8.8%で同1.3ポイント低下した。特別利益では前期計上の投資有価証券売却益2億08百万円が一巡した。

■17年3月期は先行投資負担で減益予想

 今期(17年3月期)通期の非連結業績予想(5月13日公表)は売上高が前期(16年3月期)比3.1%増の170億円、営業利益が同16.1%減の8億円、経常利益が同19.0%減の7億70百万円、純利益が同33.7%減の4億90百万円としている。配当予想は記念配当を落として同3円50銭減配の年間12円50銭(期末一括)としている。予想配当性向は35.3%となる。

 人材確保のための採用投資、技術者への教育投資、ガバナンス強化を目的とした社内管理体制へのシステム投資および人的投資など、中期成長に向けた先行投資の影響で減益予想としている。純利益は投資有価証券売却益一巡も影響する。ただし受注は高水準であり、会社予想には保守的な印象も強い。上振れ余地があるだろう。

■株価は安値圏モミ合いから上放れ

 株価の動きを見ると、10月上旬に動意づいて安値圏450円近辺でのモミ合いから上放れの展開となり、10月4日に606円まで急伸する場面があった。第2位株主となっているFRONTEO<2158>の株価急伸が材料視されたようだ。

 10月13日の終値510円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS35円39銭で算出)は14~15倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間12円50銭で算出)は2.5%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS535円58銭で算出)は1.0倍近辺である。時価総額は約83億円である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線が上向きに転じた。また週足チャートで見ると26週移動平均線と52週移動平均線を一気に突破し、13週移動平均線が上向きに転じた。基調転換を確認した形であり、AI・ロボット関連も注目点となって戻りを試す展開だろう。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)

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