【編集長の視点】鴻池運輸は1Q好決算を見直し2Q業績への期待を高めて反発し割安修正

 鴻池運輸<9025>(東1)は、今年11月11日に今3月期第2四半期(2016年4月~9月期、2Q)累計決算の発表を予定しているが、今年8月10日に発表した今期第1四半期(2016年4月~6月期、1Q)業績が、続伸して期初予想の2Q累計業績に高利益進捗率を示したことを見直し、2Q累計業績への期待を高めて割安修正買いが再燃している。今臨時国会でTPP(環太平洋経済連携協定)承認案と関連法案の審議が進んでいることも、アジア諸国・北中米地域へ事業基盤を積極的に強化している同社の成長戦略に追い風となるとしてフォローの材料視されている。

■食品関連、鉄鋼関連、空港関連が新拠点開設も寄与し好調推移

 同社の今3月期1Q業績は、売り上げ646億7500万円(前年同期比4.3%増)、営業利益31億2300万円(同10.3%増)、経常利益31億4100万円(同8.8%増)、純利益22億3800万円(同37.1%増)と続伸して着地し、期初予想の2Q累計業績に対する利益進捗率は、54%~67%と目安の50%を上回った。食品関連分野では、新規拠点開設による取扱量の増加、鉄鋼関連分野では、顧客工場内の製造設備増強工事や昨年子会社化したARSリサイクリング鹿島の堅調推移、空港関連では、インバウンド(外国人観光客)関連のグランドハンドリング業務の好調持続などが要因となった。

 今期2Q累計業績は、期初に売り上げ1329億円(前年同期比5.4%増)、営業利益57億円(同0.6%減)、経常利益57億円(同1.4%減)、純利益33億円(同2.1%減)と増収・小幅減益転換が予想されているが、1Qの好決算から上ぶれ期待につながっている。また今3月期通期業績も、売り上げ2660億円(前期比5.3%増)、営業利益110億円(同7.2%増)、経常利益111億円(同3.6%増)、純利益68億円(同6.1%増)と続伸が予想されているが、この続伸幅がさらに伸びるか、11月11日の2Q累計決算の発表が注目されている。

■分割権利落ち後調整幅の半値戻しをクリアし定石通りに全値戻しを目指す

 株価は、今年6月の英国の欧州連合(EU)離脱ショックの波及で2015年3月末割り当てで実施した株式分割(1対2)の権利落ち安値1008円へ調整し、今期1Q好決算やインドでの合弁会社設立で底上げ、中間配当の権利取りで1395円高値をつけ、権利落ち後は、国内証券の最上位投資判断・強気目標株価維持で1404円の戻り高値をつけ25日移動平均線水準での値固めを続けている。PERは11倍台、PBRは0.9倍と割安で一段の上値評価は有力になる。分割落ち後高値1628円から同安値までの調整幅の半値戻しをクリアしたここからは、相場格言の「半値戻しは全値戻し」の通りに落ち後高値1628円の奪回を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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