アールシーコアは指標面の割安感を見直して反発期待、17年3月期増収増益・連続増配予想

 アールシーコア<7837>(JQ)はログハウスのオリジナルブランド「BESS」を販売している。17年3月期は2桁増収増益・連続増配予想である。株価は安値圏だが、1桁台の予想PERや4%台後半の予想配当利回りなど指標面の割安感を見直して反発展開が期待される。

■ログハウスのオリジナルブランド「BESS」を販売

 自然材をふんだんに使った個性的な木の家であるログハウスのオリジナルブランド「BESS」の販売を、国内直販部門、連結子会社BESSパートナーズ(BP)社、および国内販社で展開している。FCを中心とした事業展開で高資本効率を実現している。

 16年3月期末の契約販社数(BP社含む)は26社、営業拠点数は全国40拠点(直営2拠点、BP社2拠点、販社36拠点)となった。16年4月オープンの長野県(松本市)および京都府(久御山町)の2拠点、16年秋オープン予定の埼玉県(川口市)および大分県(大分市)の2拠点を合わせると44拠点となる。

 国内直販部門では東京・代官山「BESSスクエア」と神奈川県「BESS藤沢展示場」の直営展示場2拠点、およびタイムシェア別荘施設「フェザント山中湖」も運営している。

■中期経営計画で17年3月期ROE18%目標

 中期経営計画では、目標数値として17年3月期の契約棟数1600棟、売上高180億円、営業利益率8%、ROE18%を掲げている。

 重点戦略として「BESS」ブランドの深耕、強みであるログハウスを主軸に据えたマーケティング・商品戦略、販社再編、商品の納期短縮・コスト削減・価格競争力向上、営業拠点と営業員の拡充、営業スキル向上と営業力強化に向けたBESS営業(ホームナビゲーター)資格制度導入、展示場50拠点展開などを推進している。またΩ戦略室で法人向け等の事業開発に着手している。

 商品戦略強化では14年11月に新世代ログハウスとして新商品「G-LOG」を発売した。また16年6月には新商品としてLOG小屋「第三のトコロ IMAGO(イマーゴ)」を発表した。16年8月から予約販売を開始する。

 16年7月には新商品LOG小屋「第三のトコロ IMAGO(イマーゴ)」の展開として、農業ベンチャーのマイファーム(京都市)およびDIYライフスタイルカンパニーのDIYFACTORY大都(大阪市)との提携を発表した。

■部材製造販売のカナダの連結子会社を売却してファブレス化

 カントリーログハウスのキット部材を製造販売するカナダの連結子会社BFM社については、16年7月カナダのBAYWEST社に全株式を譲渡した。ファブレス化で経営資源をマーケティングや商品開発に集中させる方針だ。株式譲渡後も当面はBFM社からの取引を継続するとしている。

■契約(受注)高は回復傾向

 四半期別の業績推移を見ると、15年3月期は契約(受注)高が第1四半期15億25百万円、第2四半期30億47百万円、第3四半期24億42百万円、第4四半期34億75百万円、売上高が28億11百万円、32億75百万円、29億16百万円、29億39百万円、営業利益が1億14百万円、2億23百万円、1億95百万円、1億45百万円で、16年3月期は契約高が22億17百万円、35億10百万円、21億61百万円、39億88百万円、売上高が28億59百万円、34億93百万円、28億95百万円、30億71百万円、営業利益が1億29百万円、3億02百万円、1億23百万円、1億98百万円だった。

 収益は直販部門とBP社の「BESS」売上、販社からのロイヤリティ収入および販社へのキット部材売上などである。物件引き渡し件数・時期などで四半期収益は変動しやすいが、契約(受注)高は回復傾向を強めている。

 16年3月期は販管費抑制も寄与して15年3月期比増益での着地となった。契約(受注)棟数は同10.7%増の1004棟、契約(受注)高は同13.2%増の118億76百万円、期末契約(受注)残高は同12.0%増の71億16百万円だった。全国BESS展示場への新規来場者数は2.9万件でほぼ15年3月期並みだったが、強化ポイントの再来場者数は同2.1%増加した。営業員の質・量の拡充については、販社を含むBESS事業全体の営業員数(成約稼働ベース=トレーニング実済み)が前期末比1名増加の141名となった。

 売上総利益は同3.3%増加し、売上総利益率は33.3%で同横ばいだった。販管費は同1.7%増加したが、販管費比率は27.2%で同0.4ポイント低下した。純利益は法人税等の減少も寄与した。ROEは11.7%で同1.5ポイント上昇、自己資本比率は44.9%で同2.2ポイント上昇した。配当は同3円増配の年間45円(第2四半期末22円、期末23円)で配当性向は39.0%だった。

 セグメント別(連結調整前)に見ると直販部門は契約高が同15.7%増の36億91百万円、売上高が同1.4%増の35億76百万円、営業利益が同15.2%減の2億41百万円だった。展示場への新規来場者数は同15.2%増加した。販社部門は契約高が同12.8%増の66億円、売上高が同7.7%増の78億87百万円、営業利益が同8.8%増の15億41百万円だった。キット部材売上やロイヤリティ収入が増加した。BP社は契約高が同12.1%増の15億57百万円、売上高が同17.3%減の14億13百万円、営業利益が同61.8%減の22百万円だった。前期の受注不振が影響した。北米部門(BFM社)は売上高が6億19百万円、営業利益が17百万円だった。

■17年3月期第1四半期は減益

 今期(17年3月期)第1四半期(4~6月)の連結業績は売上高が前年同期比1.9%増の29億12百万円、営業利益が同58.4%減の54百万円、経常利益が同56.1%減の48百万円、純利益が同63.2%減の28百万円だった。

 期首の豊富な繰越契約残高からの売上が順調に推移したが、販社再編を主因とした契約(受注)遅れによりブランドロイヤリティ収入が減少し、カナダBFM社売却に伴う業務委託費増加、人員増に伴う人件費増加、本社ビル賃料増加などで減益だった。売上総利益は同0.2%減少し、売上総利益率は32.1%で同0.6ポイント低下した。販管費は同9.1%増加し、販管費比率は30.2%で同2.0ポイント上昇した。

 セグメント別(連結調整前)に見ると直販部門は契約高が同28.0%減の3億91百万円、売上高が同13.0%減の7億91百万円、営業利益が同28.7%減の50百万円だった。法人向け特需物件の一巡が影響したが、この影響を除くとほぼ前年同期並みだった。受注面では、展示場への新規来場者数は同29.1%増加したが、契約(受注)に繋がらなかった。

 販社部門は契約高が同11.4%減の11億90百万円、売上高が同9.1%増の19億13百万円、営業利益が同5.8%減の3億02百万円だった。期首の豊富な繰越契約残高からの売上が順調に推移したが、契約(受注)数が減少したためブランドロイヤリティ収入が減少して減益だった。

 BP社は契約高が同21.5%減の2億46百万円、売上高が同4.3%増の3億11百万円、営業利益が11百万円の赤字(前年同期は9百万円の赤字)だった。契約(受注)は札幌地区での不調、営業損益は岐阜地区での施工原価コントロール不足が影響した。北米部門(BFM社)は売上高が同44.5%減の1億16百万円、営業利益が同34.1%減の6百万円だった。

■17年3月期通期は2桁増益予想で収益改善期待

 今期(17年3月期)通期の連結業績予想(5月13日公表)は、売上高が前期(16年3月期)比15.3%増の142億円、営業利益が同19.5%増の9億円、経常利益が同14.6%増の8億50百万円、そして純利益が同13.6%増の5億80百万円としている。配当予想は同2円増配の年間47円(第2四半期末23円、期末24円)で予想配当性向は36.1%となる。

 契約が回復傾向を強めて増収・2桁増益予想である。契約棟数は同19.5%増の1200棟、契約高は同22.1%増の145億円、売上総利益率は同0.2ポイント低下の33.1%、販管費比率は同0.4ポイント低下の26.8%の計画としている。第1四半期は減益だったが、通期は収益改善が期待される。

 なお展示場拠点展開は16年4月BESS松本(長野県)およびBESS久御山(京都府)の2拠点をオープン、16年5月BESS京滋(滋賀県)が移転・拡充してリニューアルオープンした。また16年6月BESS蒲郡(愛知県)が周辺再開発の着手に伴って閉鎖となったが、16年秋にはBESS川口(埼玉県)およびBESS大分(大分県)の2拠点のオープンを予定している。

■株主還元はDOEを重視、株主優待は3月末と9月末に実施

 利益配分についての基本方針は、DOE(純資産配当率)を重視した長期的視点での安定的配当を実施するとしている。15年3月期のDOEは4.5%、16年3月期のDOEは4.4%で、17年3月期のDOEは4.6%となる見込みだ。

 株主優待制度は毎年3月末・9月末時点で100株以上保有株主に対して実施している。優待内容は15年3月期から改訂し、保有株数に応じて「BESS指定工事請負契約にかかる優待割引」「フェザント山中湖タイムシェア・別荘オーナー制度・メンバー制度の優待割引」「フェザント山中湖宿泊利用割引・サービス利用割引」「BESSオリジナル外部用防腐スプレー販売割引」などの優待券を贈呈している。

■株価は指標面の割安感を見直して反発期待

 株価の動きを見ると、安値圏940円~980円近辺でモミ合う形だが、4月の年初来安値935円を割り込むことなく下値固め完了感を強めている。

 10月14日の終値967円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS130円23銭で算出)は7~8倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間47円で算出)は4.9%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1005円76銭で算出)は1.0倍近辺である。時価総額は約43億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形だが、一方で950円近辺が下値支持線の形だ。1桁台の予想PERや4%台後半の予想配当利回りなど指標面の割安感を見直して反発展開が期待される。
(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)

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