【アナリスト水田雅展の銘柄分析】クレスコは高値更新の展開、割高感なく収益拡大基調を評価して上値追い

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 受託ソフトウェア開発のクレスコ<4674>(東1)の株価は、高値更新の展開で12月25日と1月15日の1750円まで上伸した。足元は利益確定売りで上げ一服の形だが、大きく下押す動きは見られず高値圏で堅調に推移している。指標面に割高感はなく、収益拡大基調を評価して自律調整を挟みながら上値追いの展開だろう。なお2月6日に第3四半期累計(4月~12月)の業績発表を予定している。

 ビジネス系のソフトウェア開発事業を主力として、組込型ソフトウェア開発事業、その他事業(商品・製品販売など)も展開している。重点施策としては品質マネジメント力の向上、新ビジネスモデル創出と事業領域拡大、グループ連携強化による収益性改善、組込型ソフトウェア開発事業の再構築、ニアショア・オフショア化(地方分散開発体制強化と海外開発体制整備)の推進などを掲げている。

 またクラウド関連ソリューション、オリジナル製品のインテリジェントフォルダやクレアージュの拡販を推進している。14年6月にはSAP基幹業務をモバイル化して業務効率を向上させる新ソリューション「Mobick(モビック)」の提供を開始した。

 得意分野を持つビジネスパートナーとのアライアンス・M&A戦略も積極活用し、13年4月にソリューション事業のクリエイティブジャパンを完全子会社化、企業コンサルティング事業のエル・ティー・エスを持分法適用会社化、13年9月に三谷産業<8285>とクラウドサービス事業で協業体制を構築した。14年3月にはゴマブックスと戦略提携して企業内文書デジタルサービス「Creage for Digital Publishing」の提供を開始し、8月には高速クラウド構築支援サービスでSkeedと戦略的技術提携した。

 14年12月には、受託ソフトウェア開発およびシステム基盤構築を主力とするエー・アイ・エム スタッフの第三者割当増資を引き受けて、同社を持分法適用会社化(出資比率25.9%)した。

 また1月22日には、子会社でブルートゥースに特化した近距離無線通信技術開発のワイヤレステクノロジーが、ウェアラブル製品企画・製造・販売のヴェルトが14年12月発売した日本初のスマートウォッチ「ヴェルト・セレンディピティ」専用回路基板のハードウェアおよびソフトウェアの設計開発を行ったと発表している。

 今期(15年3月期)の連結業績見通し(10月20日に増額修正)は売上高が前期比9.0%増の240億円、営業利益が同22.4%増の17億50百万円、経常利益が同13.3%増の19億円、そして純利益が同32.8%増の12億50百万円としている。

 配当予想(9月16日に増額修正)は前期比4円増配の年間34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。特別損益を零とした場合に算出される当期純利益の40%相当額の配当を継続的に実現することを目指している。

 第2四半期累計(4月~9月)は前年同期比15.0%増収、同68.3%営業増益、同52.6%経常増益、同76.2%最終増益だった。ソフトウェア開発事業で金融・保険分野、公共・サービス分野、組込型ソフトウェア開発事業でカーエレクトロニクス分野が好調に推移し、増収効果や効率化効果などで期初計画を上回る大幅増益だった。

 通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が50.0%、営業利益が55.4%、経常利益が56.9%、純利益が61.8%と高水準である。通期ベースでも、ソフトウェア開発事業で金融分野や公共サービス分野の好調が牽引し、日立グループ向けが主力の子会社クリエイティブジャパンの寄与、新ソリューション「Mobick」の拡販なども期待される。さらに第4四半期(1月~3月)の構成比が高い収益構造も考慮すれば、通期業績見通しは再増額の可能性が高いだろう。

 国内のIT投資需要は、クラウドやモバイル端末を活用したシステムへの移行、ITシステム基盤の統合・再構築、ビジネスプロセスの可視化・最適化、ビッグデータの分析と活用、仮想化技術の導入、ソーシャル・テクノロジーのビジネス活用などを背景として高水準に推移すると予想される。中期的にも収益拡大基調だろう。

 なお14年11月に発表したドイツ銀行ロンドン支店を割当先とする自己株式を活用した第三者割当による第1回~第3回新株予約権の発行、および新株予約権買取契約(行使許可条項付・ターゲット・イシュー・プログラム「TIP・2014モデル」)に関して、1月15日に第1回新株予約権の大量行使を発表した。1月1日~15日までの期間に行使価格1600円で5万個(5万株)が行使され、第1回新株予約権の未行使数は45万個(45万株)となった。

 株価の動きを見ると、ほぼ一本調子の上昇で高値更新の展開だ。12月25日と1月15日の1750円まで上伸した。足元は利益確定売りで上げ一服の形だが、大きく下押す動きは見られず高値圏で堅調に推移している。収益拡大基調を評価する流れに変化はないだろう。

 1月27日の終値1678円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS119円15銭で算出)は14倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間34円で算出)は2.0%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS849円71銭で算出)は2.0倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって13年秋起点の上昇トレンドだ。指標面に割高感はなく、収益拡大基調を評価して自律調整を挟みながら上値追いの展開だろう。

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