協立情報通信は基調転換して戻り試す、17年2月期減額修正だがアク抜けの可能性

 協立情報通信<3670>(JQ)は法人向けソリューション事業とモバイル事業を展開している。17年2月期業績予想を減額修正したが、株価のネガティブ反応は見られず、安値圏モミ合いから上放れの動きを強めている。アク抜け感に繋がっているようだ。基調転換して戻りを試す展開だろう。

■法人向けソリューション事業とモバイル事業を展開

 法人向けソリューション事業(情報通信システムソリューション、会計情報ソリューション、情報活用教育ソリューション、情報活用レンタルソリューション)と、モバイル事業(法人向けモバイルソリューション、ドコモショップ6店舗運営)を展開している。16年2月期セグメント別売上高構成比はソリューション事業33%、モバイル事業67%、そして営業利益構成比はソリューション事業94%、モバイル事業6%だった。

 企業のICT(情報通信技術)化実現に向けて、NEC<6701>、オービックビジネスコンサルタント<4733>、NTTドコモ<9437>、サイボウズ<4776>、日本マイクロソフトなどパートナー企業の製品・サービスを融合し、情報通信システムの構築から導入・保守・運用・教育までを提供するソリューション企業である。

 ソリューション事業は、情報通信システムソリューションでNECのPBX(構内交換機)、会計情報ソリューションでオービックビジネスコンサルタントの「奉行シリーズ」をベースとして、中堅・中小企業向け中心に情報インフラ、情報コンテンツおよび情報活用支援(プラクティカルユース)の3分野を統合した経営情報ソリューションをワンストップサービスで提供している。また常設デモスペースの体感型フューチャーラボ「情報創造コミュニティー」で、製品活用体験セミナー、フェア、イベント、システム導入相談会、教育サービスなどを提供していることも特徴だ。

 モバイル事業はNTTドコモの一次代理店であるティーガイア<3738>の代理店として、ドコモショップ6店舗(東京都内2店舗、埼玉県内4店舗)を運営し、個人向けモバイル端末などの店頭販売、および法人向けモバイルソリューションを展開している。16年1月にはティーガイアからの再卸を受けて、自社ブランドによる法人向け光アクセスサービス「KCC光powered by TG光」を開始した。通信機器販売・設置・工事・保守から光回線までワンストップでの提供が可能になる。

■第1四半期の構成比が高い収益構造

 四半期別推移を見ると、15年2月期は売上高が第1四半期15億47百万円、第2四半期14億43百万円、第3四半期13億66百万円、第4四半期14億10百万円、営業利益が1億02百万円、88百万円、24百万円、52百万円、16年2月期は売上高が17億01百万円、14億30百万円、15億19百万円、15億30百万円、営業利益が1億37百万円、64百万円、75百万円、60百万円だった。法人向けソリューションは企業のICT投資関連のため、3月期決算企業の年度末にあたる第1四半期の構成比が高くなる傾向がある。

 16年2月期非連結業績は特別利益一巡で最終減益だが、ソリューション事業が牽引して2桁営業増益だった。売上総利益は15年2月期比7.9%増加し、売上総利益率は30.6%で同0.2ポイント上昇した。販管費は同4.7%増加したが、販管費比率は25.2%で0.6ポイント低下した。ROEは17.4%で同4.9ポイント低下、自己資本比率は49.1%で同6.9ポイント上昇した。

 配当は同5円減配の年間50円(期末一括)で配当性向は30.6%だった。利益還元については、継続的かつ安定的な配当を年1回(期末)実施することを基本方針としている。配当水準については、配当性向30~40%程度を目途に、業績に連動させて適正な配当を行うとともに、万一業績が悪化したとしても一定の水準を維持していきたいとしている。

 ソリューション事業は売上高が同20.4%増の20億33百万円、営業利益が同94.2%増の3億19百万円で、受注高が同28.0%増の10億60百万円、期末受注残高が同22.9%減の1億92百万円だった。モバイル事業は売上高が同1.7%増の41億48百万円、営業利益が同81.9%減の18百万円だった。

■17年2月期第2四半期累計は減収減益

 今期(17年2月期)第2四半期累計(3~8月)の非連結業績は、売上高が前年同期比4.9%減の29億79百万円、営業利益が同29.2%減の1億42百万円、経常利益が同30.5%減の1億42百万円、純利益が同33.6%減の84百万円だった。前年同期が高水準だった反動で減収減益だった。

 売上総利益は同7.1%減少し、売上総利益率は30.6%で同0.7ポイント低下した。販管費は同1.3%減少したが、販管費比率は25.8%で同0.9ポイント上昇した。

 セグメント別動向を見ると、ソリューション事業は売上高が同6.4%減の10億08百万円で営業利益が同19.5%減の1億50百万円、受注高は同22.7%減の4億55百万円、受注残高は同46.1%減の1億26百万円となった。納期の短い中小型のPBXリプレース案件は堅調だが、マイナンバー対応をきっかけとした大型案件や基幹システムバージョンアップ案件が減少した。情報創造コミュニティーへの来場者数は298社で同47.9%減少したが、新規来場社比率は73.8%で同27.1ポイント上昇した。

 モバイル事業は売上高が同4.1%減の19億71百万円、営業利益が7百万円の赤字(前年同期は14百万円の黒字)だった。総務省「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」に沿って「実質0円販売」を終了したことに伴う来店客数減少傾向が続き、新型iPhone発売前の買い控えも影響した。総販売台数は2万1128台で同3.5%減少した。iPhone比率は同7.6ポイント低下した。

■17年2月期増収増益予想

 今期(17年2月期)通期の非連結業績予想については10月12日に減額修正した。前回予想(4月12日公表)に対して、売上高は6億31百万円減額して前期(16年2月期)比4.4%減の59億09百万円、営業利益は96百万円減額して同19.5%減の2億72百万円、経常利益は97百万円減額して同20.9%減の2億73百万円、純利益は59百万円減額して同16.5%減の1億63百万円とした。配当予想は据え置いて前期と同額の年間50円(期末一括)としている。予想配当性向は36.7%となる。

 修正後のセグメント別の計画は、ソリューション事業の売上高が同3.7%減の19億58百万円で営業利益が同15.4%減の2億70百万円、モバイル事業の売上高が同4.7%減の39億51百万円で営業利益が2百万円(前期は18百万円)としている。

 ソリューション事業は中型PBXのリプレース需要が継続するが、メーカーサポート期限切れに伴う既存顧客の大型PBXリプレース案件が一巡し、マイナンバー対応関連の大型案件やバージョンアップ案件が減少する。またEラーニングを軸に教育サービスを強化するための先行投資で広告費や販促費が増加する。なおセキュリティ環境の見直し提案、マイナンバーの年末調整対応案件の掘り起こし、教育サービスの早期拡販によるストック収益の拡大、マイクロソフト「Office365」情報活用支援サービス提供開始によるソリューション拡大などに取り組む方針だ。

 モバイル事業は上期未達分のリカバリは困難と判断した。ただし9月以降はiPhone7の予約が好調のようだ。またSDカードなど利益率の高い重点副商材の拡販に取り組む。

■ソリューションへのシフトやストック型モデルの強化で高収益化目指す

 企業のICT投資需要は「クラウド」「モバイル」「セキュリティ」をキーワードとして高水準に推移することが予想されるため、中期的に物販からソリューションへのシフト、モバイル事業の利益率改善など、ストック型収益モデルの強化によって高収益化を目指す方針だ。

 中期基本方針として、情報創造コミュニティーの活性化(教育サービスメニューの開発、顧客創造力の増強、定期的なパートナー交流)、パートナー企業との共同開発の積極化、ソリューションサービスのモバイル化とインフラ・コンテンツ・教育・生産価値情報・セキュリティをキーワードとしたサービス展開を掲げている。

 なお19年10月に、ドコモショップ茅場町店と情報創造コミュニティーを元の中央区八丁堀に移転する。移転に伴って情報創造コミュニティーのフロア面積を約2倍に拡張する。出会いと共創の場として、さらに進化させる方針だ。

■株主優待制度は毎年2月末に実施

 株主優待制度は毎年2月末に実施している。優待内容は500株以上~1000株未満保有株主に対して島根県仁多郡産コシヒカリ「仁多米」2kg(1500円相当)、1000株以上保有株主に対して同5kg(3700円相当)を贈呈する。

■株価は安値圏モミ合いから上放れ、基調転換して戻り試す

 株価の動きを見ると、安値圏1500円~1600円近辺でモミ合う展開だったが、10月11日に1770円まで上伸し、その後も1700円台で推移してモミ合い上放れの動きを強めている。17年2月期業績予想減額修正に対するネガティブ反応は見られない。アク抜け感に繋がっているようだ。

 10月20日の終値1745円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS136円22銭で算出)は12~13倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間50円で算出)は2.9%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS994円39銭で算出)は1.8倍近辺である。時価総額は約21億円である。

 週足チャートで見ると戻りを押さえていた13週移動平均線と26週移動平均線を突破し、さらに52週移動平均線も突破した。基調転換を確認した形であり、指標面の割安感も見直して戻りを試す展開だろう。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)

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