【トピックス】築地市場の水産仲卸組合「初」の電子商取引サービスが事前会員登録を開始

■「いなせり」、飲食事業者の仕入れを大幅に効率化

 日本エンタープライズ<4829>(東1)の子会社・いなせり株式会社(東京都渋谷区)と東京・築地市場に所属する水産仲卸業者で形成される東京魚市場卸協同組合(伊藤淳一理事長)は、同組合として初めての電子商取引サービスとなる「いなせり」の共同運営開始に先駆け、さる10月19日から飲食事業者を対象に事前会員登録を開始した。

■飲食事業者がスマートフォンやタブレットなどで直接仕入れ

 「いなせり」は、お寿司屋さんなどの飲食事業者がマグロなどの生鮮水産物を、スマートフォンやタブレット、パソコンなどにより、築地市場内に店を構える数百の仲卸業者から直接、仕入れることができる即日配送の電子商取引サービスだ。現在は電話やファクシミリ、あるいは買い付けなどで行っている仕入れに新たな利便性の高いスタイルが加わるとして注目を集めている。

 仲卸業者は、翌日の入荷状況を基に「目利き」で選んだ品物の品目データを写真つきで「いなせり」のサイトにアップ(出品)し、飲食事業者はサイトを見ながら仕入れ注文を行う。注文の締切時間は毎日午前2時で、これは飲食事業者側が店舗の営業を終え、在庫を確認した後、仕入をするとして、おおむね都合のいい時間のようだ。システム稼働後は、品物のアップもサイトの閲覧も無料で、サイトそのものは登録会員でなくても誰でも見ることができるという。マグロの見事な切身の写真が並ぶサイト画面などは、さすがプロ向けのためか、インパクトが強い。

 配送は日本通運<9062>(東1)がハブとなって仕分けなどを行い、協力する各配送業者が発注先の飲食事業者の各店舗へ即日配送する。サービス開始当初は、即日配送という観点から関東地方の店舗などが対象になるが、その後は日本全国、海外も視野に取り扱い商品や対象顧客層を拡充していく計画だ。

 購入代金の決済は「クレジットカード決済」と「口座自動引落し」に対応し、専用の銀行口座振替サービスはソニー<6758>(東1)グループのソニーペイメントサービス株式会社とオリエントコーポレーション<8585>(東1)が提供する「BtoB向けカードレス仕入決済サービス」によって売掛金保証などが受けられる。このため決済関連事務が格段に省力化できるほか、市場関係者からは、新規客も受け入れやすくなるとの声が出ているようだ。一方、いなせり株式会社には、取引の場を提供する立場から、取引高に応じて運営手数料が入る仕組みになっている。

 飲食事業者の事前会員登録はまだ始まったばかりだが、仲卸事業者の「いなせり」への参加は、問い合わせなどを含めるとすでに100社以上が積極的な姿勢を示しているという。

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