【株式評論家の視点】ユー・エム・シー・エレクトロニクスは上期営業利益過去最高、最高値奪回を期待

株式評論家の視点

 ユー・エム・シー・エレクトロニクス<6615>(東1)は、本年3月15日に東京証券取引所第一部市場に上場。平成12年6月の香港現地法人設立を皮切りに海外への進出を加速し、現在では中国(深セン・東莞)、ベトナム(ハノイ)、タイ(バンコク)に製造拠点を有し、EMS(電子機器受託製造サービス)事業を展開する「UMCグループ」を形成している。昨年には新たに、精密金型・成形事業の三和盛塑コウ製品(東莞)有限公司(中国東莞市)、画像鮮明化技術の株式会社サイバーコア(日本)をグループに加え、事業の幅を拡大している。

 グループでは、前年度に子会社化した精密金型・成形品メーカーが安定的に稼働していることに加え、過去から継続的に取り組んでいる車載機器、産業機器製品の取扱高が加速度的に伸長している。車載・産機比率は、2018年度目標を前倒しで達成。また、引続き製造全拠点においてLCA(Low Cost Automation、自社開発の自動・省力化設備)の導入を促進させており、特に今年度上期は前年同期比約4倍の台数を導入することで労務費削減等のコスト改善効果を生み出している。

 11月9日大引け後に発表した今2017年3月期第2四半期業績実績は、売上高が522億4800万円、営業利益が14億7000万円、経常利益が10億0200万円、純利益が3億1600万円に着地。上期ベースで過去最高の営業利益を達成と業績は好調に推移している。

 今17年3月期通期業績予想は、売上高が119億7500万円(前期比8.7%増)、営業利益が27億4800万円(同17.5%増)、経常利益が24億5100万円(同16.4%増)、橋頭工場への集約化に伴う労働者の退職金等を事業構造改善費用として特別損失に計上するため、純利益は16億0200万円(同11.7%減)を見込んでいる。配当は期末一括44.60円を予定している。 

 株価は、5月2日につけた上場来の安値1846円から7月13日に上場来の高値2705円と上昇。8月25日安値2190円と調整してから2300円を軸にモミ合っている。車載機器の収益機会が拡がると予想されることを踏まえ、新たな製造拠点としてメキシコに新工場の立上げに向け準備を進めているほか、中国でのコスト競争力強化に向け、橋頭(チャオトウ)工場へ集約化している。また、車載機器分野での新たな環境対応向け製品等、各拠点にて多数の新規プロジェクトを開始しており、今後も事業拡大が見込まれる。2300円割れを下値として固め、業績好調が確認されたことで、モミ合いを上放れる方向となっている。通期業績予想の上ブレが視野に入ることから高値奪回が期待されそうだ。(株式評論家・信濃川)

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