メディカル・データ・ビジョンの第3四半期は、大規模診療データベースの利活用サービスが好調で増収大幅増益

■10月から医療費専門の決済事業へ本格的に進出

 メディカル・データ・ビジョン<3902>(東マ)は14日、今期第3四半期連結業績を発表した。大規模診療データベースの利活用サービスが、製薬会社や研究機関、OTC・H&BC企業に留まらず、新たに インシュアランス業界に向けてサービスを開始していることから、増収増益となった。

 売上高は17億32百万円(前年同期比2.7%増)、営業利益1億23百万円(同23.0%増)、経常利益1億22百万円(同24.5%増)、純利益75百万円(同33.9%増)であった。

 第3四半期までの同社の現況は、医療機関向けのパッケージ販売を主としたデータネットワークサービスで、DPC分析ベンチマークシステム「EVE」の累計導入数が779病院と、大規模なDPC実施病院のベンチマークデータを保有している。 また、病院向け経営支援システム「Medical Code」の累計導入数は208病院となった。新規事業として、デジタル健康ソリューション「エースビジョン」を導入した病院が発行する診療情報統合IDカード「CADA」に、決済機能を付加することにより、医療費決済サービスの実証実験を開始した。10月から医療費専門の決済事業へ本格的に進出している。患者にとって、長い支払いの待ち時間がなくなるうえ、自己負担分の医療費後払いが可能となるサービスであり、子会社CADAが行っている。主として製薬会社向けのデータ利活用サービスでは、診療データ分析ツール「MDV analyzer」の利用社数が、13社となっている。医療関連業界においてもビッグデータの活用が注目されている中、同社が保有する大規模 診療データベースについて、9月末現在で、実患者数が全日本国民の8人に1人に相当する1,597万人となった。これら大規模診療データベースの利活用サービスは、製薬会社や研究機関、OTC・H&BC企業に留まらず、新たに インシュアランス業界に向けてサービスを開始している。

 特に、注目されるべきことは、診療情報統合IDカード「CADA」を利用することで、Web上で患者自身が診療内容を見ることが出来ることと、カードに決済機能を付加したことで、医療費の支払いが便利になったことである。このことは、患者にとっても、医療機関にとっても画期的なことで、今後「CADA」を導入する医療機関は、急増するものと思われる。一方、同社にとっては、リアルタイムの診療データが得られことで、これまで欠損していたデータも集まることになり、医療の質を更に高めることに役立つ。その結果、医療費の抑制にもつながることになる。

 進捗率は、売上高57.7%、営業利益40.6%、経常利益40.7%、純利益43.1%である。

 前期の進捗率は、売上高69.9%、営業利益35.5%、経常利益35.0%、純利益34.1%であった。

 売上高の進捗は遅れているが、利益面の進捗は早いことから利益面での上ブレも期待できる。

 ちなみに、通期連結業績予想は、売上高30億01百万円(前期比24.3%増)、営業利益3億03百万円(同7.1%増)、経常利益3億円(同7.1%増)、純利益1億74百万円(同6.6%増)を見込む。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  2. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…
  3. ■節約志向が市場を動かす?  日本の消費者は、節約志向と低価格志向を持続しており、これが市場に影響…
  4. ■投資家の心理を揺さぶる相場の波  日米の高速エレベーター相場は、日替わりで上り下りと忙しい。とく…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る