【編集長の視点】ユーザベースはもみ合いも3Q好決算で収益化フェーズ入りを再確認し直近IPO株買いが再燃余地

 ユーザベース<3966>(東マ)は、20円高の3245円と変わらずを含め3営業日ぶりに反発して始まったあと、125円安と下ぶれるなど前週末18日終値を挟んでもみ合っている。ただ、今年10月21日に新規株式公開(IPO)されたばかりの同社株の下値には、11月9日に発表のIPO後初決算となる今12月期1月~9月期(第3四半期、3Q)業績が、12月期通期業績に対して高利益進捗率を示したことを手掛かりに業績そのものが、先行投資フェーズから収益化フェーズ入りとなっていることが再確認できたとして、直近IPO株買いが続いている。AI(人工知能)マーケティングプラットフォーム構築に向け実証実験を開始したことも、AI関連株人気を高めている。

■3Q営業利益は大幅に黒字転換し年間利益をすでに8400万円上回る

 同社の3Q業績は、四半期決算が初作成となるため前年同期との比較はないが、売り上げ21億7800万円、営業利益2億3700万円、経常利益2億1300万円、純利益1億8100万円で着地した。法人向けに経済・金融情報を提供するプラットフォーム「SPEEDA(スピーダ)」事業の販売は、既存顧客の契約IDの追加や事業会社の新規導入で堅調に推移しID数が、1451IDと続伸、個人向けに経済ニュースを提供する「NewsPicks(ニューズピックス)事業の会員ユーザー数が175万3000人、有料課金ユーザー数が2万6255人となったことなどが要因となった。前年同期の営業利益は、決算説明資料では3億円の赤字とされており、同社業績そのものが、先行投資フェーズが収益化フェーズ入りとなっていること裏付けた。

 今12月期業績は、IPO時に売り上げ30億4500万円(前期比59.0%増)、営業利益1億5300万円(前期は3億3200万円の赤字)、経常利益1億1700万円(同3億3800万円の赤字)、純利益83000万円(前期比24.3%減)と予想されていたが、3Q業績は、利益が、この年間予想を8400万円~1億円上回る高進捗率を示した。12月通期業績は、IPO時予想を変更しなかったが、今後は期末に向け業績上ぶれ期待を高めてくる。なかでも今期通期純利益は、前期比減益を予想しているが、前期に一過性利益が4億円超発生したことによる反動であり、この続伸推移も有力となる。

 一方、AI関連では、同社の保有するAI技術を活用して、出張・経費管理クライド事業の業界リーダーのコンカー(東京都千代田区)と業務提携してAIマーケティングプラットフォーム構築に向け実証実験を開始、Account Based Marketingの高度化とマーケティング・営業効率の飛躍的な向上を目指している。

■上場来高値から最安値への調整幅の3分の2戻しをクリアしまず全値戻しを指向

 株価は、2510円を公開価格にIPOされ2908円で初値をつけ即日ストップ高し、上場来高値3545円まで買い進まれる高人気となったが、セカンダリーでは公開価格水準を再確認する上場来安値2550円まで調整し、3Q高利益進捗率業績を評価して再びストップ高を演じこの調整幅の3分の2戻し水準まで底上げし三角保ち合いに煮詰まり感を強めている。期末に向けて業績上ぶれ期待を高め、まず上場来高値奪回への全値戻しから上値チャレンジを強めよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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