【編集長の視点】ラクト・ジャパンはもみ合いも決算発表先取りで業績急回復と連続増配を期待して割り負け修正余地

 ラクト・ジャパン<3139>(東2)は、実質の配当権利付き最終日となった11月25日から出直る動きを強めており、目先の利益を確定する売り物が交錯していた。ただ目下、前2016年11月期決算を集計中で来年1月12日に発表を予定している同社株の下値には、前期業績の上ぶれ着地期待や続く2017年11月期業績が急回復し、配当も連続増配が観測されていることを手掛かりに割り負け訂正買いが続いている。

 今臨時国会で審議されているTPP(環太平洋経済連携協定)承認・関連法案は、米国の次期大統領のトランプ氏の発言でやや不透明化しているが、同社業績を圧迫していた乳製品の国際価格が上昇に転じていることもフォローの材料視されている。

■欧州のバター価格は9月までに史上最高レベルの上昇など国際乳製品市況が様変わり

 目下集計中の同社の前2016年11月期業績は、売り上げ851億4000万円(前々期比13.1%減)、経常利益10億8000万円(同19.6%減)、純利益7億円(同15.8%減)と続落が見込まれていた。主力の乳原料・チーズ部門の販売数量は、新規取引先の開拓効果などで増加しているものの、国際乳原料価格の低下や円高による販売単価の下落がそれ以上に厳しく慎重な業績予想となっていた。

 ただこの国際乳原料価格は、同社が今年11月10日に発表した乳製品情報の10月サマリーでは、欧州委員会の酪農家に対する緊急支援金交付による減産や、オセアニアの大雨による減産、さらに国内では8月下旬以来の北海道への相次ぐ台風の接近・上陸などで減産となり、需要面でも中国などの需要も徐々に増加に転じており、とくに欧州のバター価格は、今年安値圏の4月から9月までの半年で倍近く上昇、短期的な上げ幅は史上最高レベルと分析されており、様変わりの展開となっている。

 このため前期業績の上ぶれ着地余地とともに、続く2017年11月期業績の急回復予想が強まっている。東洋経済会社四季報最新号では、純利益を10億円(前期推定比42.3%増)とし、また年間配当も、前期の31円(前々期実績30円)に対して31円~35円と連続増配含みと観測している。来年1月12日の決算発表が、注目されることになる。

■公開価格クリアもPERは11倍台、PBR0.7倍と低評価で最高値奪回へ

 株価は、昨年8月に公開価格1400円で新規株式公開(IPO)され初値を公開価格と同値でつけ、昨年10月のTPP(環太平洋経済連携協定)合意で上場来高値1713円をつけたが、今期業績の減収減益予想などが響いて上場来安値971円へ調整した。同安値からは、株主優待制度導入をテコに底上げし25日移動平均線にサポートされて右肩上がりに水準訂正、公開価格を上回ってきた。前期推定ベースのPERは11倍台、PBRは0.7倍と割り負けており、上場来高値奪回に弾みをつけよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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