【編集長の視点】バロックは悪材料出尽くしで割り負け直近IPO株人気再燃を期待して突っ込み買い余地

 バロックジャパンリミテッド<3548>(東1)は、前日13日に56円安の1303円と4営業日続落して引けた。前週末9日に今年11月1日の新規株式公開(IPO)後に初めて発表した今年11月の月次売上速報で、国内販売が連続して前年同月を下回ったことが響いてダメ押しとなった。ただ、株価的には、今年11月16日につけた上場来安値1290円目前で踏み止まっており、下値では悪材料出尽くしとして突っ込み買い妙味を示唆した。同時発表の同11月の中国の卸売上が、前年同月比187.7%と大きく伸び、中国での新規出店が加速したことがポジティブに評価され、2番底形成とのコンサンスも形成されつつあるからだ。既上場の同業他社に比べて割り負けが目立つことも見直され、直近IPO株人気の再燃につながりそうだ。

――――今期は国内店舗36店舗、中国合弁店舗61店舗を出店増と積極店舗政策を継続――――

 同社の今年11月の月次売上は、国内では既存店が前年同月比90.0%、全店では同94.9%と伸び悩んだが、中国の卸売上は181.7%と続伸した。同じく12月9日に発表した出退店情報で、10月に中国で4店舗を開店(閉店4店舗)、10月までの今1月期通期累計で45店舗を開店(閉店5店舗)し月末店舗数が176店舗と順調に出店が続いたことなどが寄与した。

 同社は、女性向けの衣料や服飾雑貨を主力とする製造小売業(SPA)で、ブランドは、20代の女性をターゲットとする「マウジー」から40代の女性を顧客層とする大人レディースウエア「エンフォルド」まで幅広く展開し、店舗数も、前2016年1月末現在で国内が直営店・FC店合計で336店舗、中国の合弁事業の店舗数も136店舗に達し、会員数が90万人を突破した自社通販サイト「SHEL’TEER」によるオンライン販売も行っている。

 一方、今2017年1月期業績は、国内店舗では36店舗の出店増、中国では61店舗の出店増を計画し、売り上げ728億4300万円(前期比5.9%増)、営業利益61億4600万円(同2.5%増)、経常利益63億8600万円(同4.0%増)、純利益44億2400万円(同4.8%増)と予想している。サプライチェーンマネジメント(SCM)改革継続による仕入原価の低減や、物流センターの集約化・効率化による費用削減効果なども、業績を押し上げる。配当は、現在のところ未定としているが、1月決算期末にかけ株価的にも催促の動きが見込まれるほか、市場では株主優待制度導入なども観測され期待を高めている。

――――PER評価は9倍台に過ぎず「小さく産んで大きく育てる」投資セオリーに合致――――

 株価は、IPOに際した資金吸収額が約275億円と大規模だったことが敬遠され、公開価格2000円を下回る1900円で初値をつけ上場来安値1290円まで下値を探ったが、いったん下げ過ぎとして1477円の戻り高値までリバウンドし上場来高値(1903円)から最安値への調整幅の3分の1戻しをクリアした。足元では再び最安値目前となっているが、PER評価は、9倍台と同業他社のSPA株に比べて割り負けており、「小さく産んで大きく育てる」とされるIPO株の投資セオリーに即対応、戻り高値抜けから初値を回復し公開価格を奪回したあと上値を目指す絶好のチャンスとなりそうだ。(本紙編集長・朝妻昭二)

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