巴工業は1月の年初来高値に接近、フシ突破すれば上げ足速める可能性

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 巴工業<6309>(東1)は遠心分離機械や化学工業薬品を主力としている。16年10月期は化学工業製品販売事業の収益改善が牽引して計画超の大幅営業増益だった。17年10月期は営業減益予想だが、保守的な印象も強く上振れ余地があるだろう。株価は1月の年初来高値に接近している。上値を試す展開だろう。0.6倍近辺の低PBRも見直し材料であり、1600円近辺のフシを突破すれば上げ足を速める可能性がありそうだ。

■機械製造販売事業と化学工業製品販売事業を展開

 遠心分離機械を中心とする機械製造販売事業、合成樹脂や化学工業薬品などを中心とする化学工業製品販売事業を2本柱として、中国・深圳ではコンパウンド加工事業も展開している。15年10月期のセグメント別売上構成比は機械製造販売事業が24%、化学工業製品販売事業が76%だった。

 13年11月には、中国の連結子会社・星科工程塑料に対するテクノポリマーおよび日本カラリングの出資持分をすべて譲り受け、両社との資本・業務提携を解消して当社主導で収益立て直しを進めている。15年12月にはタイにおける商社活動を目的として、100%出資子会社TOMOE Trading(Thailand)を設立した。

 なお17年1月開催予定の第87回定時株主総会において承認されることを条件に、監査等委員会設置会社に移行する。

■売上総利益率は改善基調

 四半期別の業績推移を見ると、15年10月期は売上高が第1四半期95億72百万円、第2四半期105億14百万円、第3四半期88億37百万円、第4四半期104億31百万円、営業利益が2億87百万円、6億47百万円、2億54百万円の赤字、7億07百万円だった。機械製造販売事業は設備投資関連のため、第2四半期および第4四半期の構成比が高くなりやすい収益構造である。

 15年10月期は機械製造販売事業における機械および装置・工事の販売減少、化学工業製品販売事業における国内合成樹脂分野の販売減少などで減収だったが、機械製造販売事業における収益性の高い部品・修理の販売伸長などで営業増益だった。

 15年10月期の売上総利益率は19.9%で14年10月期比1.1ポイント上昇、販管費比率は16.3%で同0.7ポイント上昇した。営業外収益では為替差益が増加した。特別利益では負ののれん発生益が一巡した。特別損失では減損損失を計上した。ROEは4.2%で同0.5ポイント低下、自己資本比率は73.4%で同2.6ポイント上昇した。配当性向は43.7%だった。

■16年10月期は計画超の大幅営業増益

 12月7日発表した前期(16年10月期)の連結業績(12月2日に売上高を26億20百万円減額、営業利益を6億50百万円増額、経常利益を4億50百万円増額、純利益を3億円増額修正)は、売上高が前々期(15年10月期)比0.4%減の391億80百万円で、営業利益が同42.0%増の19億70百万円、経常利益が同4.5%増の17億80百万円、純利益が同5.8%減の9億68百万円だった。

 海外向け機械販売や香港拠点における樹脂販売などの伸び悩みで売上高は計画を下回ったが、化学工業製品販売事業の収益改善が牽引して営業利益は計画超の大幅増益だった。

 売上総利益は同5.9%増加し、売上総利益率は21.1%で同1.2ポイント上昇した。販管費は同1.9%減少し、販管費比率は16.1%で同0.2ポイント低下した。営業外では為替差損益が悪化(前々期は差益2億57百万円、前期は差損2億23百万円)した。ROEは3.8%で同0.4ポイント低下、自己資本比率は72.4%で同1.0ポイント低下した。配当は前々期と同額の年間45円(第2四半期末22円50銭、期末22円50銭)とした。配当性向は46.3%である。

 セグメント別動向を見ると、機械製造販売事業は売上高が同7.9%増の101億78百万円、営業利益が同45.5%増の4億03百万円だった。売上面では国内官需向けが全般的に好調だった。国内民需向け機械、装置・工事、海外向け装置・工事も増加した。利益面では、一部在庫の減損処理で売上総利益率が前々期並みだったが、販管費が減少して大幅営業増益だった。

 化学工業製品販売事業は売上高が同3.1%減の290億02百万円、営業利益が同41.1%増の15億66百万円だった。電子材料分野のワイヤ・ボンディング装置と半導体製造向け搬送用トレイ、国内合成樹脂分野、および香港拠点の樹脂・製品などが低調で減収だが、利益面では工業材料分野における収益性の高い商材、および機能材料分野の伸長が寄与して大幅営業増益だった。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期89億12百万円、第2四半期109億35百万円、第3四半期85億26百万円、第4四半期108億07百万円、営業利益は1億09百万円、8億09百万円、1億73百万円、8億79百万円だった。

■17年10月期は営業減益予想だが上振れ余地

 今期(17年10月期)連結業績予想(12月7日公表)は売上高が前期(16年10月期)比6.4%増の417億円、営業利益が同9.1%減の17億90百万円、経常利益が同横ばいの17億80百万円、純利益が同21.8%増の11億80百万円としている。なお営業外での為替差損および特別損益を見込んでいない。配当予想は前期と同額の年間45円(第2四半期末22円50銭、期末22円50銭)で予想配当性向は38.1%となる。

 セグメント別には、機械製造販売事業の売上高が同7.1%増の109億円、営業利益が同0.4%増の4億百05万円としている。売上面では、国内官需向けで大型案件を見込めないが、中国やアジアなどの海外向けと国内民需向けが好調に推移する。利益面では販管費の増加で営業利益が小幅増にとどまる見込みとしている。

 また化学工業製品販売事業は、売上高が同6.2%増の308億円、営業利益が同11.6%減の13億85百万円としている。国内の機能材料分野の半導体製造用装置や香港拠点の樹脂・製品の販売増加、および中国・深圳コンパウンド事業の業績回復を見込むが、国内の販管費増加で減益見込みとしている。

 ただし会社予想には保守的な印象も強い。上振れ余地がありそうだ。

■中期経営計画の16年10月期目標未達だが、次期計画での収益改善策期待

 13年12月策定の中期経営計画「Target2016」では、経営目標値として16年10月期売上高475億円、営業利益25億80百万円、経常利益26億円、純利益16億円、ROE6.3%、ROA4.4%を掲げていた。

 油井関連市況の悪化や中国の景気減速など、事業環境の変化で目標未達となったが、次期中期経営計画では収益改善策を期待したい。

■株主優待制度は10月末に実施、ワインを贈呈

 株主優待制度については、毎年10月31日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して実施している。優待内容はワイン(当社関連会社取扱商品)1本を贈呈する。

■株価は年初来高値に接近、低PBRも見直し

 株価の動きを見ると戻り高値圏1580円近辺で推移している。そして1月の年初来高値1598円に接近している。10月の戻り高値圏1600円近辺から反落したが、地合い悪化が影響した直近安値11月9日1480円から切り返す動きだ。

 12月20日の終値1585円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS118円25銭で算出)は13~14倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間45円で算出)は2.8%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS2522円81銭で算出)は0.6倍近辺である。時価総額は約167億円である。

 週足チャートで見ると1600円近辺がフシの形だが、26週移動平均線がサポートラインとなって下値を切り上げている。上値を試す展開だろう。0.6倍近辺の低PBRも見直し材料であり、1600円近辺のフシを突破すれば上げ足を速める可能性がありそうだ。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)

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